
- [フィリピン]6月25日、サラ・ドゥテルテ副大統領がロシア国営メディアRTの番組に出演し、「マルコス政権は米国寄りに偏っており、中国を疎外している」「米中が覇権を争うゲームの中で、フィリピンは協力や競争に関わるべきではない」「どちらかに肩入れせず中間にとどまるのが最適だ」と発言した。同副大統領は議会で弾劾訴追の対象となっているが、国民の人気は高く、2028年大統領選における最有力候補とみられている。
- [日本]総務省「消費者物価指数」によると、6月の東京都区部の消費者物価指数(総合)は前年同月比+3.1%だった。上昇率は5月(+3.4%)から縮小したものの、3か月連続で3%台を維持しており、物価上昇基調は続いている。また、生鮮食品を除く総合(コア指数)は+3.1%、5月(+3.6%)から縮小した。生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコア指数)も+3.1%と、5月(+3.3%)から縮小し、いずれも3か月連続で3%台の伸びを保った。これらを踏まえると、物価の基調も依然として強めで推移していると言える。
内訳を見ると、引き続きうるち米(コシヒカリを除く)は+89.2%と高い伸びだった。チョコレート(+48.2%)やおにぎり(+18.1%)、コーヒー豆(+49.8%)なども引き続き高いままであり、食品全体では+6.4%と、5月(+5.8%)から上昇率を拡大させ、日常生活の重石になっている。また、光熱・水道は▲0.7%と5月(+7.1%)からマイナスに転じ、負担が軽減した。ここでは、電気代(+5.3%)が上昇した一方で、東京都が水道の基本料金を無償化したため、水道料(▲34.6%)が低下した影響が大きかった。また、携帯電話通信料は一部会社の料金プラン改定により+11.9%となり、5月(+3.0%)から上昇率を拡大させた。
なお、財・サービス別に見ると、財は+4.2%となり、5月(+4.8%)から縮小し、サービスも+2.1%と5月(+2.2%)から小幅に縮小した。
- [アフリカ/アラブ首長国連邦(UAE)]国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した「世界投資報告2025」によると、2024年の世界からアフリカ向けの海外直接投資(FDI)額は970億ドルで、前年の554億ドルから+75%となった。アフリカ向け投資額は開発途上国向けの総投資額の11%を占めた。
アフリカ向けFDIの急増の要因は、UAEの政府系投資持ち株会社・ADQによるエジプトのラス・アルヘクマ都市開発プロジェクト向けの350億ドルの新規投資によるものだった。同プロジェクトを除くとアフリカ向けFDIは前年比+12%、世界全体の4%と穏やかなものに留まる。
アフリカ54か国の国別FDI受け入れ額(フロー)では、上記の大型投資があったエジプトが465億ドルと地域全体の約半数を占めた。2位は経済改革・市場開放が続くエチオピアの39億ドル、深海原油・天然ガス開発が進むコートジボワール(38億ドル)、同じく天然ガス開発が進むモザンビーク(36億ドル)が続いた。FDI受け入れ額(ストック)でも、エジプトが2,052億ドルと地域全体の約1/5を占め、2位の南アフリカ(1,130億ドル)、3位のナイジェリア(692億ドル)を大きく突き放した。
産業別のグリーンフィールド投資額では、「エネルギー・ガス供給」が404億ドル最も多く、「建設(250億ドル)」、「採掘産業(129億ドル)」と続いた。
アフリカに対するFDI投資国(ストック、2023年時点)では、トップはオランダの700億ドルで、英国(580億ドル)、米国(560億ドル)、フランス(530億ドル)、中国(420億ドル)の順となった。ただしUNCTADは、オランダの大規模なFDIは他国(特に米国)からオランダ経由で間接投資を行っているためだと指摘している。
投資残高では依然として旧宗主国のヨーロッパや米国、一帯一路政策を進めてきた中国が上位だが、前述のUAEによるアフリカ向け投資が急増している。2019~23年のUAEによるアフリカ向け投資表明額は110億ドルで、同時期の英国、フランス、中国からの投資の2倍を上回った(The Guardian紙)。UAEは化石燃料産業からの脱却と経済の多角化を推進しており、国営企業を中心にアフリカの再生可能エネルギープロジェクトへの投資のほか、インフラ・都市・港湾開発、鉱山権益取得、農業・金融支援等を積極的に行っている。
- [ロシア]ロシアの国内銀行は不良債権が増加し、向こう1年間に金融危機が発生するリスクがある。公式統計では、深刻な問題はまだ表れていないが、高金利に苦しみ、融資の返済が滞るようになった法人や個人の顧客の数について、各行は内々に警鐘を鳴らしていると当局者は語っている。状況が改善しなければ、2026年には債務危機が金融セクターに広がるリスクがあると指摘されている。さらにロシア経済は、成長の減速、インフレの加速、労働力不足といった見通しに直面しており、ロシアの第2都市、サンクトペテルブルク市で開かれた国際経済フォーラム(6月18~21日)では、ロシア経済のリスクを巡る政権幹部の緊張が表面化した。レシェトニコフ経済発展相は「リセッション(景気後退)に陥る瀬戸際にある」と発言。シルアノフ財務相も「これから厳しい時期に入る」と認めた。国内銀行は政府の戦争努力を資金面で支えるため、今まで有利な条件での融資を提供してきた。だが、景気が後退すると、資金の回収という問題が起きたら、国内銀行の不良債権に関する緊張が一気に高まる可能性があると思われる。
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