- [ヨルダン国王、11年ぶり訪中]8月18~24日、ヨルダンのアブドラ2世国王は中国を公式訪問し、習近平国家主席と会談する。国王の訪中は2015年以来11年ぶりで、北京のほか上海、深圳を訪れ、中国企業幹部とも会談する予定。経済閣僚らも同行し、投資や貿易、再生可能エネルギー、テクノロジー、観光など幅広い分野で協力拡大を図る。中国はヨルダンにとって最大の輸入相手国であり、今回の訪問では複数の協力協定締結が見込まれている。
訪中の背景には、米国とイランの紛争により、ヨルダンが厳しい立場に置かれていることがある。ヨルダンは中東における米国の重要な同盟国で、国内には米軍が駐留している。7月以降、米軍拠点などを狙ったイランからの攻撃が相次ぎ、人的被害も発生し、観光や物流を中心に経済への打撃も広がっている。一方、中国はイラン産原油の主要な買い手で、米国・イラン双方と一定の関係を維持しながら、中東情勢で仲介的な立場をアピールしている。
アブドラ国王は中国に対し、パレスチナ問題を含む中東情勢の緊張緩和でより大きな役割を果たすことも期待していると現地メディアは報じている。今回の訪中では、安全保障面で米国への依存を維持しつつ、経済・外交面で中国との関係を拡大するヘッジ外交とみられている。同時に、イランと緊密な関係を持つ中国との意思疎通を強めることで、対イラン関係を安定させる狙いがあるのではとみられる。中国側にとっては、米国の重要な中東同盟国との関係を深め、自らの地域的な外交・経済的影響力を拡大したい意図がある。(国際部 前田宏子) - [UAE/イランとの貿易停止を発表]
UAE外務省は8月18日、地域情勢の悪化が地域および国際的な平和と安全を損なっているとして、イランとのすべての貿易、商業・金融取引を追って通知があるまで停止すると発表した。UAEは対話や地域協力への姿勢は維持するとしている。発表に先立ち、UAE国防省はイランから弾道ミサイル2発が発射され、防空システムが探知したと発表。いずれも航行中の船舶を狙ったとされ、海上に落下した。イラン外務省はUAEへのミサイル発射を否定している。イランによる湾岸諸国への攻撃が確認されたのは5月以来初めてで、UAEで戻りつつあった平常化の流れに影響を与える可能性がある。
UAEはこれまで米国のアラブ同盟国の中でもイランによる攻撃を数多く受け、約3,000件のミサイル・ドローン攻撃にさらされ、少なくとも12人が死亡、200人以上が負傷している。UAEもイランに対して数十回の報復攻撃を実施した。ただ、ここ数カ月はイランとの外交・経済ルートを再開する動きもみられ、報道によるとUAEとイランの港湾間の一部貿易やイランからUAEへの一部航空便も再開していたとのこと。今回の貿易・金融取引停止は、改善しつつあった対イラン関係を再び後退させる動きとなる。
海上でも緊張が高まっている。UAEによれば、8月に入ってイランによるUAE関連船舶への攻撃は7件発生した。アブダビ国営石油会社(ADNOC)の船舶も13、14日にホルムズ海峡で相次いで攻撃を受けたほか、18日にはオマーン東方で、ばら積み貨物船の機関室が攻撃を受け、1人が死亡した。ADNOCによると、紛争開始以降、同社船舶23隻がホルムズ海峡通過中に攻撃を受け、乗組員1人が死亡、20人が負傷している。船舶追跡サービスKplerによれば、紛争期間中、ホルムズ海峡とバーブルマンデブ海峡を通過する商船への攻撃は計70件に達し、24人が死亡、45人が負傷した。
こうした攻撃の増加により、ホルムズ海峡などの通航量は戦争前を大幅に下回り、エネルギー市場への懸念も強まっている。北海ブレント原油は8月18日に1バレル=91ドルを上回り、WTIも85ドル近辺で推移し、ホルムズ海峡の早期正常化への期待は後退した。8月にホルムズ海峡やバーブルマンデブ海峡付近で攻撃された船舶は14隻に達し、すでに7月の総数に迫っている。米軍も7月に再発動されたイラン港湾封鎖を執行するため、これまでに商船64隻を迂回させ、3隻を航行不能にし、2隻に接舷検査を実施しており、湾岸地域をめぐる軍事的緊張が海上輸送とエネルギー供給への圧力を一段と強めている。(国際部 広瀬真司)
- [日本/機械受注統計(6月)]8月19日、内閣府は6月の機械受注統計調査を発表した。機械等製造業者の受注した設備用機械類について、毎月の受注実績を調査しているもの。民間設備投資の先行指標とされる船舶と電力除く民需(季節調整済み)は1兆558億円で前月比+9.7%と、2か月ぶりのプラスとなった。4〜6月期でみると3兆1,162億円で前期比+0.2%と、3四半期連続のプラスとなった。4~6月期見通し(3月下旬時点)の+0.3%とほぼ同水準に着地した。
3か月移動平均でみても前月比+1.5%となったものの、基調判断としては、6月の増加は5月に▲12.4%減少した後の反動であるとし、「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
6月の受注総額は4兆4,390億円で前月比+0.4%と、4か月連続で増加した。
船舶・電力を除く民需の内訳を需要者別にみると、製造業は5,241億円で+19.9%(5月▲14.9%)、非製造業(船舶・電力を除く)は5,402億円で+4.5%(5月▲9.3%)と、どちらも2か月ぶりのプラスとなった。業種別にみると、製造業では、非鉄金属で+225.3%(5月+19.5%)、造船業で+94.9%(5月▲80.5%)、化学工業で+39.0%(5月+19.2%)と増加した。減少したのは、金属製品(▲46.1%)、繊維工業(▲14.3%)、鉄鋼業(▲10.8%)など。
非製造業(船舶・電力を除く)では、不動産業で+253.1%(5月▲69.3%)、農林漁業で+33.0%(5月は▲24.2%)増加し、その他非製造業で▲26.6%、建設業で▲8.5%減少した。
なお、そのほかの需要者として、官公需は+10.5%(防衛省+198.8%、国家公務員+74.4%、その他官公需▲27.4%、地方公務▲17.8%)。外需は+19.9%、最終需要者が不明な代理店経由の受注は+7.2%となった。
同日に公表された7~9月期の見通し(6月下旬時点)では、船舶・電力を除く民需は3兆2,686億円で前年同期比+4.9%と、増加が予想されている。また、受注残高は52兆2,821億円(前月比+2.9%)に積み上がり、過去最高を更新した。企業の設備投資意欲は底堅いが、中東情勢の先行きが不透明で、令和8年熊本地震の影響も懸念されるなか、設備投資が先送りされる可能性もある。(経済部 菊井彩乃)
- [米国/ディーゼル価格高騰]8月17日、米国のディーゼル(ULSD)先物とWTI先物の価格差からみたディーゼルクラックは、一時1バレル102.20ドルと過去最高水準に達した。ロイター通信によると、過去6営業日のうち5営業日で日中高値を更新している。
国際エネルギー機関(IEA)の月報によると、世界の製油所の原油処理量は7月平均で日量8,090万バレルと、前年同月比約500万バレル減少した。中東やロシアで精製能力が低下するなか、原油そのものよりも、ディーゼルを中心とする中間留分の供給制約が強く表れている。
米エネルギー情報局(EIA)によると、8月7日時点の米国製油所の稼働率は96%台と高水準にある一方、米国の留出油在庫は1億710万バレルと5年平均を下回る。米国は中東やロシアなどの供給減を補う精製品供給国としての役割を強めているが、国内在庫も低水準にあり、供給ショックに対するバッファーは乏しくなっている。
米国のディーゼル小売価格は1ガロン5.47ドルと過去最高値圏に上昇しており、トラック輸送、農業、製造業など幅広い分野でコスト上昇圧力が強まっている。英フィナンシャルタイムズ紙は、11月の中間選挙を控えて大統領支持率が低下するなか、新たなインフレ懸念が米国債売りにも拍車をかけていると報じている。また、ロイター通信は農業部門への影響を指摘。北半球の収穫期と南半球の作付期が重なるなか、農機にディーゼルを多用する農家が最も直接的な影響を受けるとする一方、ディーゼルは製造業、輸送、発電など幅広い用途を持つため、中長期的には世界経済の多くの分野に波及する可能性があるとしている。
こうした状況を受け、クリス・ライト米国エネルギー長官は、製油所が燃料生産を増やせるよう追加措置を発表する方針を表明した。米政権はJones Actの適用免除を通じ、外国船による米国内での石油、燃料、肥料などの輸送を認めており、8月10日には同措置を8月17日からさらに90日間延長すると発表している。(経済部 鈴木直美) - [ザンビア/現職大統領再選]8月18日未明、ザンビア選挙管理委員会(ZEC)は、8月13日に実施された大統領選の結果、現職のハカインデ・ヒチレマ氏の当選が確定したと発表した。ヒチレマ氏の得票率は60.49%で、過半数(50%+1)を上回ったことから決選投票は回避された。対立候補で、野党連合「トンセ・バモジ同盟」を率いるブライアン・ムンドゥビレ氏の得票は37.87%にとどまった。ムンドゥビレ氏らは選挙に不正があったと主張していることから、結果発表から7日以内に憲法裁判所に異議申し立てを行う可能性がある。しかし、重大な不正行為の証拠を提示しない限り、ヒチレマ氏勝利の結果自体を覆すことは難しいとみられる。
前回2021年の総選挙で政権交代を実現したヒチレマ氏は、2020年の債務不履行によって打撃を受けたザンビア経済の回復や、債務再編完了、銅産業への外国投資誘致などの実績をアピールし、選挙戦を進めてきた。対する野党連合は、ヒチレマ氏が進めてきたマクロ経済の安定化は国民生活の改善をもたらしていないと主張してきた。
今回の選挙は欧州連合(EU)、アフリカ連合(AU)、南部アフリカ開発共同体(SADC)などが選挙活動の監視を行った。選挙後、EU選挙監視団は暫定報告書において、現職のヒチレマ氏に著しく有利となる野党の選挙活動の制限により、基本的な民主的権利が損なわれたと指摘。国内メディアも与党「国家開発統一党(UPND)」に偏向していたとの分析・批判を行っている。投票はおおむね平和的かつ秩序正しく行われたと評価されているが、8月14日にZECが治安上の懸念を理由に全国での開票作業を一時中断したことは、この間に選挙結果の不正操作が行われたとの疑念を生じさせている。また同日未明に、ムンドゥビレ氏の私邸にザンビア警察が突入し、支持者2人を射殺したと同氏は主張している(8月18日、米紙WSJなど)。
ZECが発表した結果が覆らなければ、早ければ8月25日にヒチレマ氏は大統領職に再任(任期5年)となる見通しだ。同氏の再選は、投資家にとっては親ビジネス的な現行路線の継続を保証する好材料となる。また、国際通貨基金(IMF)の新プログラムの交渉に向け、政府の財政運営の指針となる9月の予算案にも注目が集まっている。ヒチレマ氏としては、2期目は持続的な成長の達成とともに、国民に生活の改善を実感させる点が焦点となるだろう。(国際部 髙橋史) - [アジア大洋州/米国の迂回輸出報告書]8月13日、米ホワイトハウスは中国からの迂回輸出の実態を分析した報告書『The Great Transshipment Scam』を公表した。報告書では、米国が2018年に通商法301条に基づく関税を発動して以降、第3国を経由した中国からの迂回輸出が活発化し、関税収入の逸失のほか、雇用喪失やGDP減少につながったと指摘している。具体的には、年間で約750億ドルの迂回輸出が発生しており、それにより連邦政府は年間190億~260億ドルの税収を逸失し、雇用・GDPもそれぞれ45万人(累計)・最大1,500億ドル減少したと推計している。今後、2026年6月に署名された税関執行を強化する大統領令に基づき、貨物や輸送経路などのデータについてAIを活用して分析・特定し、迂回輸出が疑われる貨物には差し押さえ・懲罰的関税の課税・制裁措置を課すことが提言されている。
報告書では、迂回輸出を実施している疑いの強い約40か国について、中国との貿易規模や経済統合度合いなどに基づいて体系的に3つのティアに分類。ティア1にはインド、ティア2にはベトナム・タイ・マレーシア・インドネシアが挙げられたほか、ティア3にはカンボジア・バングラデシュ・ラオス・フィリピン・ミャンマーが挙げられている。一例として、マレーシアのペナンなどからサウスカロライナ州にプラスチック製品が、ベトナムのホーチミンからシカゴ・ミルウォーキーなどにソケットなど電気回路関連製品が輸出されていると指摘している。
本報告書では、迂回輸出についてラベルの張り替え・再梱包・リインボイス・軽微な加工などの例示を列挙するにとどまっており、明確な定義を定めていない。そのため、ティア1~3に分類されたアジア大洋州の輸出企業は、今後、自社の米国向け輸出品が迂回輸出に該当しないことを立証する必要性が生じる可能性がある。迂回輸出の定義が明確でない以上、どのように立証するかについても現時点では不透明であるが、例えば中国製の中間財を使用した製品を米国に輸出する場合、自国で十分に付加価値が付与されたかどうかを定量的に示す必要が生じる。これらにかかる費用も、今後輸出企業が負担することになりかねない(South China Morning Post、2026年8月18日付記事)。
なお、2025年7月にベトナムとの間で合意された貿易枠組みでは、迂回輸出された製品には40%の上乗せ関税を課すと取り決められているほか、2026年7月には米国税関・国境警備局がベトナムに拠点を持つ中国系企業の工場に対し、迂回輸出の有無を含む抜き打ち検査を実施している。仮に今後、米国政府によりアジア各国企業が迂回輸出を実施していると認定された場合、追加関税が課されることも懸念される(Thailand Business News、2026年8月17日付記事)。(国際部 土田慧)
- [米国・中国/AI社会の形成と米中対立]米中のIT分野で進んでいるのは、単純な「中国切り離し」ではない。AIを次の産業基盤と位置づけ、両国が資本、技術、サプライチェーンをそれぞれ自陣営に引き寄せようとする再編である。
象徴的なのが、中国アリババのゲーム事業売却だ。8月17日、傘下のゲーム会社Lingxi Games(霊犀互娯)が従業員向けに出した社内メモから、アジア系投資会社Trustar Capitalに全株式を売却することで合意したことが明らかになった。Bloombergがこのメモを最初に報じ、その後Reutersは関係者の話として、アリババが売却で20億ドル超を得る見通しだと伝えた。なお、メモには売却額や完了時期は記されていない。
これは単なる事業整理ではない。アリババは2025年、3年間で少なくとも3800億元(約530億ドル)をAIとクラウド基盤に投じる方針を表明した。スーパーや百貨店など非中核資産も相次ぎ手放しており、消費者向け事業からAI、クラウド、半導体へ資金と経営資源を集中する姿勢が鮮明になっている。
一方、米国企業は生産面で中国依存を減らしている。8月18日にはNikkei Asiaが、Googleが2027年からPixelスマートフォンやスマートウォッチ、イヤホンの生産を中国国外へ全面的に移す計画だと報じた。主な移転先はベトナムとインドで、今年ベトナムで高性能Pixelの開発・生産に成功したことが、全面移管への自信につながったという。GoogleはPixelを生成AI「Gemini」の利用拡大を担う重要な端末と位置づけており、AI製品の供給網そのものを中国外に移そうとしている点は重要だ。
ただし、これは米中の経済圏が完全に分離することを意味しない。ベトナムやインドで最終製品を組み立てても、中国製の部品や素材への依存は残り得る。現在進んでいるのは、先端半導体、AIモデル、クラウド、重要端末など、安全保障や産業競争力に直結する部分から相互依存を減らす「選択的デカップリング」とみる方が実態に近いだろう。つまりAI時代の米中対立では、貿易を止めるというより、相手国に依存してはならない技術、資本、生産能力の範囲が徐々に広がっているといえる。アリババのゲーム売却は中国側の資本移動を、GoogleのPixel移転は米国側の供給網再編を象徴している。両社ともAI時代を見据えた経営判断という点では共通項を見いだせる。重要なのは「中国排除」ではなく、「AIを巡る競争の激化と、それに対応するための資本・生産体制の再編」が世界規模で進んでいることだろう。(経済部 本間隆行) - [NDBへの正式加盟の現状]2026年8月時点で、BRICS系の国際金融機関である新開発銀行(NDB)の正式加盟国はブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、バングラデシュ、アラブ首長国連邦、エジプト、アルジェリア、ウズベキスタンの10か国となっており、加盟が承認されたコロンビアとウルグアイは含まれていない。
NDBでは、理事会が加盟を承認した段階ではまだ正式加盟とはならず、加盟希望国はその後、協定への参加と資本拠出を約束する加盟文書の提出が完了して初めて正式加盟国となる。
2025年7月5日、コロンビアはブラジルで開催されたNDB年次総会で加盟を承認された。しかし、コロンビアの憲法では、多国間開発銀行への加盟は国際条約の批准に相当するため、議会による法律の制定が必要となっているものの、政府が2025年11月に提出した関連法案は、委員会では前向きな検討が行われたものの、本会議での採決に進むことはなかった。そのため、正式加盟を実現するには、新たな議会で法案を再提出し、改めて審議を受けなければならない状況であるが、右派政権への移行により法案提出の可能性は低くなっている。
また、ウルグアイにおいても、2021年9月にNDBから加盟承認を受けたが、その後の国内手続きが進まず、加盟文書の提出にも至っていない。2025年以降、新政権下で加盟問題の再検討が始まったものの、政府はまず資本拠出の条件を整理する必要があるとの立場を示している。一定の前進は見られるものの、正式加盟に向けた具体的な日程は明らかになっていない。
なお、8月13日、イラン中央銀行総裁が、自国が近くNDBに加盟すると発表したが、NDB側はこれを正式には確認していない。国連加盟国であれば加盟申請が可能であるものの、イランの加盟について具体的な言及は避けている。イランは2024年にBRICSへ加盟したが、NDBはBRICS加盟国とは別個の独立機関であり、独自の審査と承認手続きを採用しており、国際金融市場における信用格付けや資金調達能力の維持を重視している。そのため、国際制裁下にある国の加盟は金融機関として慎重な判断を要するとされている。
NDBはこれまでに139件のプロジェクトへ総額429億ドルを承認しており、認可資本は1,000億ドルに達する。ブラジルを創設メンバーに持ち、南米地域にも拠点を設けていることから、ラテンアメリカ諸国にとってはインフラ開発資金の有力な調達先となり得る。しかし、その恩恵を受けるためには正式加盟が不可欠であり、コロンビアもウルグアイも現時点では加盟候補国にとどまっており、加盟文書の提出と国内批准手続きの進展が注目される。(国際部 小橋啓) - [ドイツ/景況感の回復]ドイツの欧州経済研究センター(ZEW)によると、8月のドイツ景気期待指数は34.2(+7.9ポイント)へ上昇した。市場予想(30.0)を上回り、直近の底の4月(▲17.2)から4か月連続で持ち直した。なお、185人のアナリストを対象に8月10~17日に実施された。内訳をみると、「改善(improve)」の回答割合が44.0%(+5.7ポイント)へ上昇した一方、「悪化(get worse)」が9.8%(▲2.2ポイント)へ低下した。
足元の状況を表す現況指数は▲61.1(+16.5ポイント)へマイナス幅を縮小させた。内訳では、「良い(good)」が1.7%(+1.7ポイント)へ上昇した一方で、「悪い(bad)」が62.8%(▲14.8ポイント)へ低下した。
こうした結果を踏まえて、バンバッハZEW所長は、「良好な四半期決算と足元にかけての輸出の好調さを反映して、8月には期待指数の上昇基調が一段と定着した」と総括した。また、連邦政府によるインフラ投資計画の恩恵もある一方で、ライン川の水位の低下は経済活動にとって差し迫ったリスクになっているとも指摘した。
また、産業別の指数(「改善」ー「悪化」)では、IT業(58.0、前月比+4.2ポイント)や銀行(44.7、+12.2ポイント)、保険業(34.3、+2.5ポイント)の水準が高く、業況の改善傾向にあることを示している。一方で、自動車(▲24.4、+22.2ポイント)や鉄鋼(▲14.7、+16.6ポイント)、小売・消費財(▲6.2、+9.0ポイント)は7月から持ち直しの動きがみられるものの、指数自体はマイナス(悪化超)であり、景況感は依然として弱い。
全産業とも7月から持ち直しつつものの、状況には濃淡が残っている。基幹産業とされてきた自動車などに弱さが残っており、また小売・消費財も低調であるなど、個人消費の弱さも懸念される。(経済部 鈴木将之)
- [シリアとロシア、シリア内ロシア軍基地の今後の管理巡り合意]8月9日、ロシアとシリアのアシュシャラ政権は、シリア国内のロシア軍基地を再編・合法化する覚書を締結した。フメイミム空軍基地とタルトゥス海軍基地は、ロシア単独拠点から両国の「共同訓練センター」へ転換され、一部民間施設やインフラはシリア側の管理下に移される。移行は3か月以内に完了する見込みだという。これによりシリア新政権は主権回復を内外に示す一方、ロシアはアサド政権崩壊後も地中海東部とアフリカ方面への兵站拠点を維持する「面目を保つ妥協」を選んだ形となる。他方、イスラエルはロシアやトルコの支援を受けたシリア空軍再建を警戒しており、Su-22の訓練飛行再開などを注視している。今回の合意は、ロシアがシリアでの絶対的支配者から技術的パートナーへ後退したことを示す一方、地域安全保障上の新たな摩擦要因となる可能性がある。(国際部 ゴロシニコフ アントン)
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