- [日本/機械受注統計(8月)]10月15日、内閣府は8月の機械受注統計調査を発表した。機械等製造業者の受注した設備用機械類について、毎月の受注実績を調査しているもの。民間設備投資の先行指標とされる船舶と電力除く民需(季節調整済み)は1兆698億円で前月比+5.2%と、2か月ぶりのプラスとなった。7月に▲3.7%と落ち込んだあとの反発増とみられる。
3か月移動平均でみても前月比+3.6%と増加した。基調判断は「持ち直しの動きがみられる」に据え置いた。
なお、原系列による前年同月比は+18.6%と、7月の+11.2%から上昇幅が拡大した。
8月の受注総額は4兆419億円で前月比▲3.7%と、2か月連続で減少した。
船舶・電力を除く民需の内訳を需要者別にみると、製造業は5,270億円で+1.6%(7月▲1.0%)、非製造業(船舶・電力を除く)は5,413億円で+2.9%(7月▲2.6%)となった。
業種別にみると、製造業で増加したのは、前月の反動もあり非鉄金属で+132.6%(7月▲82.2%)、その他輸送機用機械で+43.7%(7月▲41.4%)、石油製品・石炭製品で+19.6%(7月+4.8%)など。また、半導体製造装置関連を含むはん用・生産用機械は+9.3%(7月▲1.4%)で1,170億円と、製造業の受注額の2割強を占めた。減少したのは、造船業で▲41.0%(7月+88.9%)、鉄鋼業▲36.3%(7月+5.8%)、パルプ・紙・紙加工品▲33.2%(7月+65.2%)、繊維工業で▲18.6%(7月▲7.0%)、化学工業で▲11.5%(7月▲12.0%)など。製造17業種のうち8業種がプラスとなった。
非製造業で増加したのは、リース業で+136.0%(7月▲6.8%)、卸売業・小売業で+29.2%(7月▲3.9%)、鉱業・採石業・砂利採取業で+25.0%(7月6.7%)、通信業で+16.9%(7月▲23.2%)。減少したのは、電力業で▲34.9%(7月+34.2%)、その他非製造業で▲28.0%(7月+20.1%)、建設業で▲17.2%(7月+5.8%)、運輸業・郵便業で▲13.9%(7月+3.3%)など。
そのほかの需要者として、官公需は▲6.1%(その他官公需+151.4%、地方公務+4.9%、防衛省▲25.4%、国家公務▲26.5%)。外需は▲7.7%、最終需要者が不明な代理店経由の受注は▲6.3%となった。
また、価格要因もあり受注残高は53兆5,293億円(前月比+1.6%)に積み上がり、過去最高を更新した。
なお、8月19日に発表された7~9月期の船舶と電力除く民需の受注見通しは3兆2,696億円(前年同期比+4.9%)で、この見通しどおりに着地するには9月は前月比約+10%の増加が必要となるが、前月比が小幅マイナスだとしても7~9月期は前期比プラスとなり、企業の設備投資は持ち直しの動きが続くとみられる。(経済部 菊井彩乃)
- [世界/AIデータセンター事情]AIデータセンターでは、電力確保だけがテーマではなく、その電力をどれだけ実際のAI計算に使えるかが重要となっている。10月14日付TechRadarによると、NVIDIAはAIデータセンターが系統から受け取る電力のうち、実際のAI処理に使われるのは最大でも約70%程度と説明した。残りの約30%は、冷却、配電、電力変換、設備障害などに消費されるという。1GWのAIデータセンターを想定した場合、約20%が冷却、配電、電力変換で失われ、さらに約10%がラックの設定不良、障害、再起動などによって有効利用されないそうだ。条件によってはこうした非効率が40%に達し、実際のAI処理に回る電力は60%程度まで低下する可能性がある。さらに、契約した電力量を常に利用できるわけでもない。100MWの電力契約を結んでも実際に得られるのは93MW程度で、時間帯によってはさらに減る場合があるとNVIDIAは説明している。この未利用能力の一部について、電源や冷却設備の設計・運用を見直すことで回収可能としている。
NVIDIAとデータセンター設備大手Vertivは2026年初めから次世代施設を共同設計しており、目標は大量の電力を消費することではなく「1ワットから得られる計算量」を最大化することにある。AIデータセンターではGPU不足以上に、系統接続や電源確保が制約になりつつあり、数年間必要な電力を確保できない施設もあるという。これまでAIインフラでは「何GW確保できるか」が注目されてきたが、今後は確保した電力をどれだけ計算能力へ変換できるかも競争力となる。電源だけでなく、冷却、変圧器、UPS、パワー半導体、配電設備などを含めたシステム全体の効率改善が、AIインフラの価値を左右する局面へと変化しており、関与するプレーヤーも今後は変わってくると見られている。(経済部 本間隆行) - [中国・EU貿易協議合意への反応]10月8~9日、中国と欧州連合(EU)は北京で閣僚級の貿易・投資協議を開き、16項目の合意に達した。中国製ハイブリッド車(HV)とプラグインハイブリッド車(PHV)の輸出制限のほか、一部商品の関税引き下げ、レアアースの輸出許可手続きの円滑化、電気自動車(EV)をめぐる紛争処理などで一致した。双方は2027年1月に閣僚級オンライン協議、3月に正式会合を開くとしており、当面の全面的な貿易戦争の危険性は低下した。
特に注目されるのは、中国がHV・PHVのEU向け輸出数量制限を受け入れた点である。報道では、当初の年間上限は35万台で、その後2030年まで毎年6%ずつ引き上げられるとなっている。中国の輸出急増を背景に、EU側は輸入を半減させる効果があると説明している。交渉前には中国側の抵抗が強く、大幅な譲歩は難しいとみられていたため、予想以上の成果とみられている。
ただし、双方の発表には違いがある。EU側が輸入削減効果を強調する一方、中国側は共同文書に具体的な数量を記載せず、2025年の輸出実績を上回る枠を確保したことや非差別原則を強調している。中国国内で譲歩したと受け止められることを避ける狙いもあるとみられる。
また、輸入枠の運用方法や第三国で生産された中国メーカーの車両の扱いなど、具体的な制度設計には未解決の問題が残る。中国の過剰生産やEUの巨額の対中貿易赤字といった構造的問題も解消していない。
EUではドイツとフランスを中心に、新たな貿易防衛措置の整備を求める動きが強まっている。EU内部では今回の合意だけでは不十分として、さらなる貿易防衛措置を求める声があるほか、ドイツは化学製品、機械、医薬品などにも輸入数量制限を広げるよう要求する方針と報じられている。(国際部 前田宏子) - [チャド・フランス/軍事協定]10月14日、チャドのマハマト・イドリス・デビー・イトゥノ大統領は、フランス・パリのエリゼ宮でマクロン大統領と会談を実施。「防衛分野における二国間協力の構築と発展に向けた意向表明」の署名に立ち会った。マハマト大統領が2024年にフランスとの二国間防衛協定を破棄したことにより、チャドに駐留していた約1,000人のフランス兵が撤退したが、わずか2年弱で防衛協力の再構築に向けた合意に至ったこととなる。
アフリカの旧フランス植民地の多くが1960年前後に独立を果たしたものの、チャドを含む多くの国では、独立間もない脆弱な国家の安全保障をフランス軍に委ねる状況(通称:フランサフリック)が続いてきた。しかし、2020年代に入ると、特にサヘル諸国においてイスラム系過激派の活動活発化に伴う治安悪化が顕著となり、フランス政府・軍への不満が高まっていった。国民の間で反仏感情が広がる中、フランスから国家主権を取り戻すとの名目で、2021~2023年にかけてマリ、ブルキナファソ、ニジェールで相次いでクーデターにより軍事政権が発足。フランス軍を追放するとともに、3か国で「サヘル諸国同盟(AES)」を結成し、フランスとの安全保障協力を事実上ロシアとの協力に置き換えた。歴史的に親欧米国家であるチャドでも、同様に若者らを中心に反仏感情が高まったことを背景に、マハマト氏は2024年にフランスとの軍事協定を破棄し、ロシア、アラブ首長国連邦(UAE)、トルコ、ハンガリーとの軍事協力を進めるなど、安全保障パートナーの多角化を図ってきた。
しかし、チャドが再びフランスに安全保障協力を求めるようになった背景について、アフリカ安全保障研究所(ISS)は、これらの新たなパートナー国が、チャドが必要とする安全保障を十分に提供できる存在ではないと認識するようになったとの見方を示している。ロシアはAES諸国でのテロ対策に苦戦する状況が続いている。UAEがチャド経由でスーダンの反政府勢力「即応支援部隊(RSF)」を支援していることに対しては、スーダン国軍(SAF)やチャド国内から批判が高まっている。また、トルコは軍事物資の供給にとどまり、直接的な軍事介入は行わないといった事情もある。
一方、チャドを取り巻く安全保障上のリスクは高まっている。2021年にはカタールの仲介により、チャド国内の40以上の反政府勢力との停戦で合意したが、マハマト氏の父であるデビー・イトゥノ前大統領を死に追い込んだ「チャド変革・融和戦線(FACT)」との対立は続いている。また、南部ではチャド湖周辺を拠点とする旧ボコ・ハラム系過激派組織の脅威も高まっている。加えて、歴史的に安全保障上のパートナーだった隣国ニジェールのティアニ暫定大統領は、8月に発生したクーデター未遂事件にチャドが関与したと非難し、両国関係は急速に悪化している。こうした背景から、マハマト氏は国内から「親仏」との批判を浴びないよう注意を払いながら、再びフランスの協力を仰ぐ姿勢に転じたとみられる。また、チャドは2026年7月に国際刑事裁判所(ICC)を脱退したが、これは米国との関係改善の狙いもあったとみられている。
フランスにとっても、チャドとの安全保障協力を再構築することにより、サヘル地域におけるテロ組織の監視やインテリジェンス機能を強化することが可能となる。これは、フランス国内でのテロや不法移民流入の抑止にも間接的につながるほか、同地域におけるロシアの影響力拡大を抑止する効果もあるとみられる。(国際部 髙橋史) - [アジア大洋州/IMF・世銀・ADB・AMROによる経済見通し]10月13日、IMFは世界経済見通し(WEO)を公表した。これに先立ち、ADBや世界銀行、AMRO(ASEAN+3マクロ経済リサーチオフィス)も経済見通しを公表している。いずれの機関も4月・7月に公表された前回見通しに引き続き、2026年におけるアジア大洋州の地域・国の実質GDP成長率が堅調に推移すると予測している。ポイントは以下のとおり。
IMF:新興・途上アジア(中国・ASEAN・インドを含む南アジアなど)の2026年実質GDP成長率は5.1%(前回7月より0.1ポイント上方修正)ADB:東南アジア・南アジアは各々4.7%・6.4%(前回より各々0.1ポイント・0.4ポイント上方修正)AMRO:ASEANは4.9%(前回より0.1ポイント上方修正)特にアジア大洋州各国については、イラン情勢にもかかわらず、米国をはじめとしたAI・データセンター関連需要が輸出を押し上げたことで、成長率が堅調に推移したと指摘している。具体的には、マレーシア、タイ、ベトナムでは、米国向け半導体・電子機器の輸出増加が追い風となった。AMROは、ASEAN+3地域の2026年1~6月の財輸出が前年同期比23.4%増加したものの、増加分の3分の2以上がAI関連財による寄与であったと指摘している。また、イラン情勢の影響についても、各国政府が家計支援を実施したことで民間消費が堅調に推移したと指摘されている。具体例としては、ベトナムでのVAT(付加価値税)率の2%減税措置延長や、タイでの福祉カード所持者(1,000万人以上)への現金給付策が挙げられている。なお、エネルギー補助金に対するスタンスが機関ごとにわずかに異なることは特筆に値する。ADBはエネルギー補助金によりインフレ率上昇が抑制されたと指摘する一方、IMFや世界銀行はその効果に疑問を呈している。ただし、中長期的には支給対象をより限定した給付への切り替えを提言している点については、いずれの機関も見解が一致している。2027年も、IMFは新興・途上アジアの実質GDP成長率を4.9%、AMROはASEANの成長率を4.8%と予測しているなど、堅調な成長が見込まれる。ただし、今後のリスク要因として、各機関はAI需要の減速、エルニーニョ現象の影響、中東情勢の悪化を共通して挙げている。AI需要に関し、AMROはASEAN+3地域の2027年の実質GDP成長率が1.5ポイント押し下げられると試算している。例えばマレーシアについては、AI需要が減速した場合、最大輸出先である米国向け輸出額が最大5割程度減少するとの試算も存在する(Asia infonet、2026年8月17日付記事)。エルニーニョ現象に関し、一般的に指摘されている農業収穫量減少による農業セクターの成長減速、食料インフレや水力発電量減少のみならず、ADBは気温上昇が屋外労働時間や労働効率を低下させると指摘している。屋外労働のうち建設業の労働時間・労働効率が低下した場合、製造業の設備投資や政府によるインフラ投資が停滞しかねないことには留意が必要である。(国際部 土田慧)
- [中南米へのデータセンター投資]AI(人工知能)の急速な発展に伴い、世界各国ではデータセンターへの投資競争が激化している。大量のデータ処理やAIモデルの学習には膨大な計算能力と電力が必要であり、データセンターは新たな産業インフラとして注目を集めている。南米でも各国がこの分野で存在感を高めようとしている。
アルゼンチンでは、ミレイ政権が同国を南米のテクノロジーハブへ転換することを国家戦略として掲げている。豊富な土地と水資源、世界有数のシェールガス埋蔵量を持つバカ・ムエルタ、さらにパタゴニア地域の良好な風力資源を背景に、データセンター投資の誘致を進めている。2025年にはOpenAIとSur Energyが最大250億ドル規模のデータセンター開発に向けた基本合意書を締結し、2026年にはポーランド系のGreen Capitalが最大3,000MW規模への拡張を視野に入れた計画を発表した。ただし、いずれも最終投資決定には至っておらず、現時点では構想段階の要素が強い。
一方で、アルゼンチンには既に一定規模のデータセンター産業が存在する。国内では67施設が確認されており、その大半が稼働中である。立地はアルゼンチン周辺に集中しているが、近年発表された大型案件の多くはパタゴニア地域に集まっている。これは、AI向けデータセンターが都市部に近接する必要がなく、豊富なエネルギー資源や冷涼な気候を重視するためである。
もっとも、こうした動きには課題もある。データセンターは大量の電力と水を消費する一方、雇用創出効果は限定的との指摘がある。政府は大規模プロジェクトに対して自前の電力確保を求めるなど、送電網への負担軽減を図っている。しかし今後は、経済効果と環境負荷のバランスをどのように取るかが重要な論点となる。
これに対し、ウルグアイは再生可能エネルギーを前面に押し出した戦略を採用している。2026年10月、オルシ政権はスペインの再生可能エネルギー企業ソラリアと、総額57億ドル規模のデータセンターパーク建設契約を締結した。これは同国史上最大の投資案件とされる。プロジェクトは自由貿易区制度の下で実施され、55億ドルをデータセンター建設に、2億ドルを太陽光発電設備に投じる計画である。
最終的な設備容量は500MWに達する見通しで、第1段階として2029~2030年の稼働を予定している。ウルグアイは再生可能エネルギー比率の高さに加え、政治的安定性、広範な光ファイバー網、国際海底ケーブル接続といった強みを活用し、ブラジルやチリ、パラグアイとの誘致競争に挑んでいる。
ただし、契約内容の多くは依然として非公開であり、税制優遇措置の詳細や入居予定企業、冷却方式、水使用量などは明らかになっていない。そのため、経済効果や環境影響については慎重な検証が必要である。
アルゼンチンが天然ガスや風力資源を活用した大規模展開を志向しているのに対し、ウルグアイは再生可能エネルギーと制度的安定性を競争力としている。両国の取り組みは、AI時代の新たな産業基盤をめぐる南米の競争を象徴しており、今後は計画を実際の投資と運営につなげられるかが成否を左右するだろう。(国際部 小橋啓)
- [米国/消費者物価指数]労働省によると、9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+3.7%だった。上昇率は8月(+3.4%)から拡大し、5月(+4.2%)以来の高さとなった。
内訳を見ると、エネルギー(+20.4%)の上昇が目立った。ガソリン(+34.2%)に加えてディーゼルなどほかの自動車燃料(+60.9%)の上昇が目立った。エネルギーサービス(+4.6%)も上昇しており、電気代(+4.4%)とガス代(+5.0%)がともに高い伸びとなっている。それに比べると、上昇率は低いものの、食品(+2.5%)も高めの上昇率となった。財(+0.7%)は低調であり、新車(+0.6%)や衣服(+3.4%)が上昇した一方で、中古車・トラック(▲1.5%)や医薬品など(▲3.3%)は下落した。サービス(+3.1%)では家賃(+3.2%)が上昇した。航空サービス(+22.4%)を含む輸送サービス(+2.7%)も高めの伸びとなった。
物価の基調を表す食品とエネルギーを除くコア指数は+2.6%、8月(+2.4%)から拡大したものの、ここ数か月間は2.5%前後で推移している。こうした物価動向を受けて、市場では、10月利上げ観測も強まり、一時利上げ確率は5割を上回った。前日まで据え置き予想が8割程度を占めていたため、CPIを受けて市場参加者は見方を大きく修正したと言える。連邦準備制度理事会(FRB)高官は、2026年内の利上げの必要性を認めるものの、切迫感に乏しいとの見方もあり、10月の連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利を巡る決定が注目される。(経済部 鈴木将之)
- [お休みのお知らせ]2026年10月16日(金)のデイリー・アップデートはお休みいたします。ご了承ください。
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