- [ウクライナ、内閣改造へ 首相交代]7月12日、ゼレンスキー大統領は内閣改造を実施し、スビリデンコ首相(40)を交代させる考えを明らかにした。大統領はその理由について、戦争長期化や戦後復興を見据えた「国家戦略の刷新」に対応するためと説明している。今後は外交・安全保障分野ごとに責任者を明確化し、政策実行能力の向上を図る方針である。
ウクライナの新たな優先課題として、①米国との安全保障協力の強化(パトリオット迎撃ミサイルのライセンス生産など)、②欧州ミサイル防衛構想「Freya」への参画、③欧州連合(EU)加盟交渉の推進、④ポーランド・ハンガリーとの関係改善、⑤中東・湾岸諸国との協力拡大、⑥中国との関係強化、⑦国際機関との連携強化が挙げられている。大統領は、各分野で「より迅速かつ実効的な政策遂行」が必要との認識を示した。
スビリデンコ首相については、退任後も政権内の重要ポストに起用される見通しであり、駐米大使への転出観測が出ている。後任首相候補としては、コレツキー・ナフトガス総裁、フェドロフ国防相、シュミハリ・エネルギー相らの名前が挙がるが、現地報道ではコレツキー氏が最有力候補とされる。
今回の内閣刷新は、単なる首相交代ではなく、対米国・対欧州関係の強化、武器調達の加速、戦時統治体制の効率化を目的とした政権機構の再編とみられる。ウクライナ指導部は戦争継続と復興準備を並行して進めるため、政策実行能力の向上と権限集中を図る構えである。 - [タンザニア経済・政治]7月11日、国際通貨基金(IMF)はタンザニア政府向けの2つの財政支援プログラム(ECF、RSF)を通じて新たに約4.4億ドルを即時供与すると発表した。IMFは、タンザニア経済は鉱業(金、銅など)、農業、観光業の成長を背景に、2026年の実質GDP経済成長率が5.9%に加速するとの予測を示した。IMFは6月のインフレ率は前年同月比4.0%に抑えられているものの、中東情勢の緊張が長期化すれば、インフレ加速圧力となり、経済成長を押し下げるリスクがあると指摘。また、2050年までに人口が現在の2倍(2025年時点で約7,000万、世界銀行)に急速に増加する見込みをふまえると、十分な雇用機会を確保するためにビジネス環境を強化し、民間セクターの発展を支援する必要があると説明した。
タンザニアは最大の輸入品である石油精製品(総輸入額の約14%、国連貿易統計)の7割近くをアラブ首長国連邦(UAE)等の中東諸国からの輸入に依存している。そのため政府は物価急騰を抑えるために時限付きの燃料補助金を導入。インフレ率は中銀の目標範囲(3~5%)内に収まっているが、エネルギー、肥料、輸送コスト上昇のリスクから、7月2日に中銀は政策金利を5.75%から6.25%に引き上げた。一方で、タンザニアの輸出総額の約47%を占める金の輸出が好調なことが通貨タンザニア・シリングの安定に寄与するとともに、外貨準備は輸入の4~5か月分を賄う水準で安定している。中東紛争はタンザニアにとって下方リスクとなるが、GDPの約2割を占める農業が長雨(マシカ)により好調が見込まれること、また2027年にタンザニア、ケニア、ウガンダの3か国が主催するサッカー「アフリカネイションズカップ」に向けたインフラ建設により建設業も活況を呈している。
他方で、国内の政治には明るさが見られない状況が続く。タンザニア独立運動発足の記念日である7月7日「サバ・サバ・デー」に大規模な反政府抗議デモが呼びかけられたが、政府は6月下旬にあらゆる政治集会を禁止すると発表。7月7日当日も大規模な警察・軍の展開により大きな騒動には発展しなかったものの、7月9日にタンザニア警察は「犯罪行為の扇動」の容疑で130人を逮捕したと発表するなど反体制派への弾圧を強めている。2025年10月の大統領選時の抗議デモ時に518人が死亡したと政府は正式に公表したが、実際の死者はその数倍に上るとの見方が多く、政府もまた暴力行為の責任の所在を明らかにしていない。
前回選挙時の大規模な抗議活動と騒乱は、政治への市民参加が低調だと捉えられてきたタンザニアにとっては極めて珍しかったが、急速に人口が増加していく「Z世代」らの体制への不満を表したものと言える。しかし、こうした抗議活動の動きはあるものの、組織力、指導力、結束力の欠如が反体制運動の取り組みを妨げているとの指摘もみられる。 - [中ロ軍事技術協力の深化]ロシアの独立系メディア『The Insider』とドイツ誌『Der Spiegel』、フランス紙『Le Monde』は、中ロ軍事協力に関する共同調査の結果を報じた。入手した内部資料から、中国とロシアの軍事技術協力が従来考えられていた以上に深化している実態が浮かび上がった。資料には、2023年に広州で開催された非公開の「第3回中ロ軍事技術協力フォーラム」の発表資料や、同年6月にモスクワで締結された共同開発に関する作業議定書などが含まれている。
資料の中で特に注目されるのが、米スペースXの衛星通信網「スターリンク」への対抗構想である。中国航天科技集団(CASC)の研究者は、スターリンクを米軍の重要な軍事インフラと位置付け、①国際機関における規制強化や外交的働きかけ、②周波数・軌道利用を巡る競合や電子妨害による運用妨害、③サイバー攻撃や対衛星兵器による物理的破壊――という三段階の対抗策を提案していた。また、中国とロシアが対衛星技術や電子戦能力を統合し、共同で対抗システムを構築する構想も示されている。
さらに、両国が極超音速兵器の迎撃能力を備えた次世代統合防空・ミサイル防衛システムの共同開発を進めていることも明らかになった。共同研究では、射程4,000km級の弾道ミサイルや極超音速兵器への対処能力の獲得を目標としており、ロシアのS-500地対空ミサイル・システムを上回る性能を目指しているという。また、中国がAIや半導体、大量生産能力を提供し、ロシアがウクライナ戦争を通じて得た実戦データや運用経験を提供する形で、自律型ドローン、次世代戦車、航空機などの共同開発を進める構想も示された。航空分野では、中国がロシアから技術供与を受ける立場から、ロシアに技術を提供する立場へと変化しつつあることもうかがえる。
記事は、こうした協力が武器や部品の取引にとどまらず、制度化された共同研究・共同開発へと発展していると指摘している。中国は公式にはウクライナ戦争に関して中立的立場を主張しているが、軍事技術や電子部品、AI、半導体などを通じてロシアの戦争遂行能力を支えている一方、ロシアは実戦経験を中国側へ還元しており、両国の間で相互補完的な関係が形成されていると報じている。 - [アルゼンチン、チリと鉱業協力]チリとアルゼンチンが鉱業において協力関係の強化を図っている。チリは太平洋に面した港湾と長年にわたり培ってきた鉱業インフラを持ち、アルゼンチンは豊富な鉱物資源を有している。両国は約30年前に結ばれた二国間鉱業条約を再活性化し、アルゼンチン産の銅やリチウムをチリの太平洋港からアジアへ輸出する体制を整えようとしている。
2026年7月7日、アルゼンチンで開かれた会議において、両国は停滞していた二国間鉱業委員会を再始動させた。この動きは、急速に拡大する電気自動車やデータセンター、再生可能エネルギー分野における金属需要の高まりに対応する。
この協力により、輸送距離の大幅な短縮が見込める。アルゼンチンの主要な鉱床は西部に位置し、アンデス山脈を越えることにはなるものの、大西洋側の自国港湾よりもチリの太平洋岸に近い。そのため、チリ経由でアジアに輸出するルートでは輸送距離は最大で約40%短縮されるとされる。特に銅精鉱のように重量が大きく輸送コストの高い資源では、この距離差が直接的なコスト削減につながる。試算では、輸送コストを約15?25%削減できる可能性があるとされている。
また、チリにはアントファガスタやイキケなどの港において、すでに鉱物処理に適した設備を備え、国内には数千の関連企業が存在し、産業基盤があることも、国境を越えた開発を迅速に進める上で大きな強みとなる。
この連携により物流面でも大きな変化が予想される。大量の鉱物輸送が始まれば、毎日数百台規模のトラックが国境を行き来することになり、倉庫業、税関業務、品質検査、金融サービスなど新たなビジネス機会が生まれる可能性がある。特に保税倉庫の活用により、輸送中の貨物に対する関税支払いを猶予できるため、資金繰りの改善や手続きの効率化が期待される。
しかし、課題も存在する。環境保護団体は、既存の条約が氷河保護や水資源の管理、地域社会の権利といった現代的な問題に十分対応していないと指摘している。アンデス地域では水不足や環境負荷への懸念が強く、これらに適切に対処しなければ、社会的対立やプロジェクト遅延につながる恐れがある。また、商品価格の変動や輸送量増加に伴うインフラ負担も無視できない要素である。 - [日本/企業物価指数(6月)]7月10日、日銀は6月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)を発表した。企業物価指数は企業間で取引するモノの価格動向を示す。6月の国内企業物価指数は135.4で前年同月比+7.1%と、2023年3月(+7.4%)以来の高水準となり、4月(+5.3%)、5月(+6.6%)からさらに上昇幅を拡大させた。
内訳では、中東情勢悪化による原油価格上昇の影響が広がりをみせ、石油・石炭製品は+22.8%と5月の+13.7%から上昇幅が9.1ポイント拡大、化学製品は+14.4%と5月の+14.3%とほぼ同水準となった。銅やアルミニウムなどの価格上昇を受け、非鉄金属は+39.2%と、5月の+42.1%に引き続き高い上昇率となった。
調査対象の515品目のうち、前年同月比で価格上昇は418品目、下落は81品目、変わらなかったのは16品目だった。
円ベースでの輸入物価指数は+29.7%、輸出物価指数は+20.7%となった。輸入物価指数は2025年2月から11月までマイナスで推移していたが、12月にプラスに転じて以降、円安や中東情勢の影響を受け、4月(+21.3%)、5月(+26.1%)、6月(+29.7%)と急激に上昇幅が拡大した。
企業物価指数の動向は、サービス価格の動向を示す企業向けサービス価格指数と併せて、消費者物価指数に影響を与える。中東情勢に伴う原油価格高騰は一旦落ち着きをみせているが、輸入物価の上昇が企業物価の上昇に繋がっており、時間差でさらに川下の消費者物価に転嫁されることによる景気への影響が懸念される。
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