- [ラトビア/ロシア等からの一部工業製品の輸入を禁止]8月25日、ラトビア政府はロシアおよびベラルーシからの一部工業製品の輸入を禁止する規則を承認した。措置は9月1日に発効する。禁止措置は両国から直接輸入される製品だけでなく、ロシアまたはベラルーシを原産国とする製品が第三国を経由してラトビアに輸入される場合にも適用される。
ラトビア議会は7月23日、一部工業製品の輸入を禁止する方針を決定しており、今回、政府が対象品目を含む実施規則を承認した。ラトビア政府は、同様の措置をEU全体に拡大することにも引き続き取り組みたいとしている。
禁止対象には、印刷された書籍、新聞、その他の印刷物、衣類、その他の完成繊維製品、履物、帽子などの頭部に着用する製品、玩具、ゲーム、スポーツ用品が含まれる。ラトビア外務省は、これらの製品はロシアおよびベラルーシに固有のものではなく、ほかの市場から十分な代替品を調達できると説明している。
措置の目的は、ラトビアの安全保障上の利益を保護すること、ロシアおよびベラルーシが製品輸出を通じて収入を得る能力を低下させること、ロシアのプロパガンダ資料がラトビア国内に流入することを制限することとされている。ラトビア政府は、ロシアの戦争経済と、共同侵略国と位置付けるベラルーシに対する圧力を継続する必要があるとしている。
今回の措置は、EUによる対露制裁および貿易制限に加え、ラトビアが既に導入しているロシアおよびベラルーシ産のエネルギー資源、農産物、水産物、食品に対する国内輸入制限を補完するものだ。農産物および畜産物の輸入禁止は2024年から実施されている。ラトビアによるロシアおよびベラルーシからの輸入額は、2022年の21億2,900万ユーロから2025年には1億9,300万ユーロへ減少し、減少率は91%となった。ラトビア政府は、今回の規則に含まれる措置について、有効性を評価するため毎年見直すとしている。(国際部 濱嵜隆吏) - [東アフリカ/製油所競争]サブサハラ・アフリカで唯一商業稼働する製油所を持たない東アフリカで、3つの製油所プロジェクトの動きがみられる。
ナイジェリアのダンゴテ・グループは、ケニアのラム港に建設を予定している日量最大70万バレルの製油所プロジェクトについて、東アフリカ諸国に全株式の3割(約15億ドル)の保有を提案した(8月21日、Bloomberg)。総事業費160~170億ドルと試算される同プロジェクトは、株式(約50億ドル)と負債(約110~120億ドル)の割合が3:7で構成されているとみられている。ダンゴテ社は地質調査を進めており、早ければ9月にも起工式が行われ、2030年に完成予定だ。
同社はリスク分散のために東アフリカの複数の国に株式の所有を提案しているとみられ、すでにケニアは全株式の10%に当たる5億ドルを国内からの資金調達を通じて取得すると発表。エチオピアとルワンダも計10億ドルの株式取得に関心を示していると報じられている。残り7割の株式については、ダンゴテ社による私募やナイジェリアのダンゴテ製油所の新規株式公開(IPO)などを通じた自己資金が充てられる見込みだ。
原料となる原油に関しては、2026年中の生産・輸出開始が予定されているウガンダ~タンザニア原油パイプライン(通称EACOP、全長1,443km、日量約22万バレル、総事業費約50億ドル)や、将来的にはケニアのトゥルカナ油田(推定日量約6万~8万バレル)からの調達が見込まれるが、日量70万バレルの精製能力には遠く及ばないため、当面は中東産輸入原油が主体となるとみられる(8月21日、Africa Report)。
一方で域内では別の動きもみられる。8月6日、タンザニアとウガンダの両大統領立ち会いの下、タンザニアのタンガ港に製油所を含む総額200億ドル規模のエネルギー・ハブを開発する協定の調印式が行われた。両国の国営石油会社とVitol・バーレーンが参画する同プロジェクトは、EACOPの原油輸出拠点として整備が進むタンガ港を拡充するものであることから、原油の調達面からもダンゴテ社が進めるプロジェクトとバッティングする。もともとダンゴテ社もケニアのラム港を選定する前にタンガ港を候補に挙げていた。ラム港の製油所の株式取得にウガンダとタンザニアが手を挙げていないことは、東アフリカ域内でのエネルギー・ハブをめぐる競争とも見て取れる。
さらに、ウガンダは自国で生産する原油を活用した日量約6万バレルの製油所建設(総事業費40億ドル)をドバイに拠点を置くアルファMBM社と進めている。完成は2028年ごろと見込まれている。アフリカの中でも成長著しい東アフリカだが、仮に3つの製油所が開業した場合に域内需要を満たすことは難しいとみられ、域内各国間での調整も必要となるだろう。(国際部 髙橋史) - [ドイツ/景気は回復か]ドイツのifo経済研究所によると、8月の企業景況感指数(2015年=100)は88.8だった。7月(86.7)から上昇し、市場予想(87.2)を上回った。また、2月(88.4)から4月(84.5)にかけて低下した後、4か月連続で上昇し、2月の水準を回復した。フューストifo所長は、エネルギー価格の再上昇にもかかわらず、ドイツ経済が回復しつつあると総括した。また、不確実性は低下し続けているとも指摘した。
内訳を見ると、足元の状況を表す現況指数は88.5(+2.0ポイント)へ4か月連続で上昇し、2月(86.6)の水準を上回った。それに対して、先行きの状況を表す期待指数は89.1(+2.3ポイント)へ4か月連続で上昇したものの、2月(90.3)の水準に届いていない。ただし、現況指数は2月水準を回復したものの、期待指数に比べて水準が低い。
また、ドイツの連邦統計庁によると、2026年第2四半期(Q2)の実質GDP成長率は前期比+0.3%へ、速報値(+0.2%)から小幅に上方修正された。Q1(+0.4%)から減速したものの、3四半期連続のプラス成長だった(25年Q2とQ3はゼロ%)。
内訳を見ると、輸出(+2.0%)が増加し、成長のけん引役だった。財(+2.6%)が増加した一方で、サービス(0.0%)は横ばいだった。なお、輸入(+1.5%)の増加率は輸出を下回った。輸入でも財(+2.1%)が増加し、サービス(+0.3%)は小幅増にとどまった。
その一方で、内需は弱かった。個人消費(+0.1%)はほぼ横ばいであり、政府消費(+0.1%)もほぼ横ばいにとどまった。また、機械装置(▲1.4%)の減少が大きかったこともあり、設備投資(▲0.2%)は減少した。実質GDPはプラス成長が続いたものの、内需が弱く、見た目ほど景気は強くないようだ。(経済部 鈴木将之)
- [米ロ関係、CIA長官がモスクワを極秘訪問か]8月25日、米国とロシアの複数のメディアは、米中央情報局(CIA)のジョン・ラトクリフ長官が米空軍輸送機C-17でラトビアのリガからモスクワを訪問し、同日中にロシアを離れたと報じた。CIA長官のモスクワ訪問は、ロシア軍のウクライナ国境集結を受けてバーンズ前長官が訪露した2021年11月以来となる。また、2026年1月のウィットコフ特使およびクシュナー氏の訪問以降では初の米政権高官による訪露とみられる。米露双方とも訪問を事前公表しておらず、会談相手や議題は明らかになっていない。
複数の報道によれば、ラトクリフ氏はプーチン大統領を含むロシア指導部にトランプ大統領のメッセージを伝達した可能性がある。一方、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、ロシアによる新たな動員準備やNATO加盟国への挑発的行動に対する米国側の警告が主目的だったとの見方を報じた。米国は対イラン圧力を強化しており、ロシア・イラン関係も協議対象となった可能性が指摘されている。
また、ロシアの政権担当記者によれば、プーチン大統領が出席予定だった大規模行事が直前に延期されており、ラトクリフ氏との会談が実施されたとの観測も浮上している。さらに米政治ニュースサイトAxiosは、訪問に先立ち米政府がウクライナに対し、モスクワやサンクトペテルブルクへの攻撃を一時停止するよう要請したと報じた。
市場は今回の訪問を米露対話進展の兆候と受け止め、モスクワ取引所指数(MOEX)は一時3%超上昇したが、米軍機離陸の報道後に反落した。訪問の真意は依然として不明だが、ウクライナ情勢、安全保障、拘束者問題などを巡る米露間の高レベルな秘密協議が行われた可能性が高く、今後の両国関係やウクライナ問題への影響が注目される。(国際部 ゴロシニコフ アントン)
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