成都/中国 ~パンダの故郷、四川料理の発祥地~
上野動物園で大人気だったパンダの香香(シャンシャン)が2023年2月21日に中国に返還され、もうすぐ半年が経ちます。日本の皆さんは、シャンシャンのことを懐かしく思っているのではないでしょうか。シャンシャンは毎日、見るからに気持ち良く昼寝をし、おいしいタケノコを頬張って元気に過ごしています。シャンシャンのパパとママの出身地が四川省なので、シャンシャンも四川省に戻りました。
四川省の省都は成都市です。世界最大規模のパンダ繫殖基地は成都にあり、その基地面積は236万平方メートル(上野動物園の約17倍弱)にも及びます。同基地内では、230頭余りのパンダが楽しく快適に暮らしています。現在、中国で圧倒的な人気を誇るパンダの花花(ファーファー)もここで暮らしています。ファーファーはシャンシャンより3歳年下、丸々とした体とフワフワした毛の愛くるしいルックスで、人懐こくおとなしい性格です。ファーファーが座っている姿は三角のおにぎりのようで、そのかわいらしい姿は、TikTok(ティックトック)やビリビリ動画などのSNSで注目を集め、「パンダ界のお姫様」として愛されています。この基地には、大人のパンダが暮らすエリア以外に、パンダ産室とパンダ幼稚園があります。生まれたばかりのパンダの赤ちゃんは、パンダ産室で大切に育てられます。1歳未満のパンダはパンダ幼稚園で暮らしており、ここで見られる多くの幼年のパンダのかわいい姿に癒されます。何十頭ものパンダがお団子のように連なりながら木の上に登ったり、園内で追いかけっこをして遊んだり、飼育員に甘えたりしています。このような幼年パンダの集団はここでしか見られない光景で、パンダが生き生きとしてかわいらしい動物であることが実感できますので、こうした光景を目の当たりにすると、より一層パンダのことが好きになるでしょう。大自然から四川への素晴らしい贈り物であるパンダは、四川のシンボルの一つで間違いありません。
成都では、2023年の7月28日から8月8日にかけて、第31回FISUワールドユニバーシティゲームズ夏季大会が開催される予定ですが、大会のマスコットの「蓉宝(ロンバオ)」は、パンダ繫殖基地に実在するパンダ「芝麻(ジーマー)」をモチーフにデザインされました。
四川では、パンダの他にも、世界に名高い「四川料理」が有名です。日本でいくつかの店舗を展開している「陳麻婆豆腐」のルーツは成都にあります。このチェーン店の成都本店は1862年(約160年前)に創業し、麻婆豆腐発祥の店として、四川で一番有名なレストランのひとつです。本店は創業して以来、変わらぬレシピを守り続けています。成都に来られる多くの日本人が、「陳麻婆豆腐」を訪れます。四川本場の味と日本の味がどのように違うのか、成都を訪れた際にはぜひ本場の味を試してみてください。
四川料理に関する豆知識を紹介します。四川料理には辛い料理のイメージが強く、「辛さ」が世界中で人気の理由にもなっていますが、その辛い四川料理が、近年中国ではストレス解消に効果があると言われ、流行しています。しかし実際には、辛い四川料理は全体の30%程度だと言われており、辛くない料理も多く存在します。例えば「陳麻婆豆腐」の成都本店にしかないメニューでは、糯米鴨(ヌオミーヤー/鴨のもち米詰め)と仔姜魚(ジージャンユー/生姜が効いた魚料理)がおすすめです。辛い料理が苦手な方は、ぜひ試してみてください。
パンダと四川料理は、多くの観光客を引きつけ、成都へ招き入れています。訪れる人のほとんどが、パンダを見て、四川料理を味わうと言っても過言ではありません。中国人はよく成都のことを「一度来たら、離れたくない町」だと称します。町中にはのどかな雰囲気が漂っており、心身ともにリラックスできる都市です。皆さん、ぜひ一度成都に遊びに来てください。
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