高雄/台湾 ~台湾・高雄式「お・も・て・な・し」~

アジア・オセアニア

2024年02月22日

台湾住友商事会社 高雄支店
三原 一晃

> English Version

高雄市内の風景(自宅ベランダから筆者撮影)
高雄市内の風景(自宅ベランダから筆者撮影)

 世界的な選挙イヤーの2024年、先陣を切って行われた台湾総統選挙では現政権・民進党が勝利し、初めて3期連続で同一政党が政権を担うことになりました。立法院(日本でいう国会)で与野党が逆転したためにねじれ状態が起こり、今後の政権運営は難しくなるものの、台湾としての大きな方向性は、これまでと大きく変わらないだろうと言われています。電子部品を筆頭に、物品の輸出が経済を支えている台湾にとっては、むしろこの後に控えている関係各国の選挙結果のほうが、より大きなインパクトがあるかもしれません。

 

 経済については、2023年は電子部品の在庫調整等もあり、低成長にとどまったものの、調整も一段落し、2024年は製造業でも昨年より高い成長が期待されています。ポストコロナで、対面型サービス産業が、年々、同国のGDP全体において存在感を高めていることも注目に値すると思います(町を歩いていても、近隣アジアを含む外国人が増えているようです)。

 

 

高雄の港に現れた巨大なアヒル(https://www.taiwannews.com.tw/en/news/5086230)(筆者撮影)
高雄の港に現れた巨大なアヒル(https://www.taiwannews.com.tw/en/news/5086230)(筆者撮影)

 さて筆者は、2023年10月に、台湾・高雄に関する、このコラムの寄稿の依頼を受けて以来、当地の魅力とは何なのかを考えながら、週末、町を散策してきました。本稿に開陳するのは高雄に赴任してまだ1年に満たない筆者個人の感想ですので、偏りがあるかもしれませんがご容赦下さい。

 

 あらためて言うまでもなく、風光明媚な場所も多く、食事も美味しい台湾は、外国人にとってとても魅力的な旅行先のひとつです(ただし、重厚長大産業の多い高雄の空気は、必ずしも清浄とは言えないかもしれませんが) 。高雄だけでもミシュランの星・ビブグルマンを獲得しているお店が20店舗以上あります。(全店制覇してみたいものの駐在期間中にできるかどうかわかりません)。

 

 

会社から徒歩5分の夜市(筆者撮影)
会社から徒歩5分の夜市(筆者撮影)

 ミシュランの星付き飲食店が多いこと以上に魅力を感じるのは、「人」ではないか、ということです。高雄は、台湾の南に位置し、年間を通して暖かい(夏は暑い)気候も関係しているのか、この地で会う人たちは、ご年配の方々を中心に、とにかく底抜けに明るいのです。初めて入ったお店でも、まるで10年来の常連であるかのように店主が話しかけてきます。何を言っているのか分からないことも少なくありません。それでもとにかく笑顔でまくしたててきます。これが不思議に、悪い気はしません。

 

 またお国柄、食事の席では酒を飲む機会も多いですが、同席になった客同士で盛大に飲食を楽しみ、何がそんなに楽しいのかと、不思議に思うほど大笑いしているところをよく見かけます。さぞや、お酒が好きな国民性なのだろうと推測できますが、自宅にはビール1缶も置いていないという人も多いことに驚かされるばかりです。現地の人たちと食事を共にする回数を重ねるうちに、この「他者を巻き込み盛り上げる風習」が、彼らなりの「おもてなし」なのだと、一人で勝手に得心しました。

 

 

SCTW高雄支店忘年会でのひととき(SCTW高雄支店スタッフ撮影)
SCTW高雄支店忘年会でのひととき(SCTW高雄支店スタッフ撮影)

 2023年末、コロナ禍が明け4年ぶりの当支店主催の忘年会に、130人近いお客様が集まってくださいました。当支店の同僚たちは、準備段階から相当な力の入れようでした。その甲斐もあって、忘年会は大成功、お客様からも、「数ある忘年会の中でも(当社高雄支店の忘年会は)別格!」と、お褒めの言葉を多数いただきました。お客様に喜んでもらうため、準備にも全力投球、そしてその準備すら楽しみながらやっているところも、台湾・高雄式なのではないかと感じました。

 

 日本の「お・も・て・な・し」とは少々趣きが異なるところですが、高雄式のおもてなしもお薦めです!

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。