ワルシャワ/ポーランド ~東欧の隠れた親日国-ポーランド~

2017年11月20日

欧州住友商事会社 ワルシャワ支店
衛藤 秀則

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ワルシャワのランドマーク「文化科学宮殿」と周辺のビル群(筆者撮影)
ワルシャワのランドマーク「文化科学宮殿」と周辺のビル群(筆者撮影)

 ポーランドと聞いて何を思い浮かべますか?まだまだ知名度が低いことは否めず、国としても海外における認知度を高めることを目標に掲げたりしています。何を隠そう、私自身、ワルシャワへ赴任することが決まるまでポーランドのことをほとんど何も知りませんでした。アウシュビッツ収容所のあった国、旧東欧圏、ワルシャワ条約機構くらいのことしか思い付かず、何となく暗いどんよりした勝手なイメージを抱いていましたが、赴任後いい意味で見事に裏切られます。

 

 ポーランドを多少なりとも身近に感じてもらうために、「あっ、そうなんだ」というものを幾つか紹介します。

 

 2016年から、LOTポーランド航空が成田空港と首都ワルシャワを結ぶ定期直行便の運航を開始しました(週3便が2017年7月から週4便)。中東欧で日本との直行便があるのはワルシャワだけということはさておき、この空港、正しくは『ワルシャワ・フレデリック・ショパン空港』といいます。そうです、作曲家のショパンはポーランド人です。国立音楽大学であるフレデリック・ショパン音楽アカデミーには、20人以上日本人ピアノ留学生が在籍しています。空港つながりでいきますと、主要都市の空港名には、その土地にゆかりのある人物の名前が含まれています。例えば、ヴロツワフ・ニコラウス・コペルニクス(地動説を唱えた天文学者)、グダニスク・レフ・ワレサ(民主化運動家/第2代大統領/ノーベル平和賞受賞者)、クラコフ・ヨハネ・パウロ2世(第264代ローマ法王)など。空港名にはありませんが、キュリー夫人(ノーベル物理学賞・化学賞受賞者)もポーランド人です。

 

 歴史をひも解くと日本との意外なつながりもあります。トルコ・エルトゥールル号遭難事件はそれなりに知られていますが、同じようなことがポーランドとの間でもありました。約100年前にシベリアに残留していたポーランド人孤児765人を、国交樹立間もない当時の日本政府、日本赤十字社が救出し、手厚く看護した後、祖国へ送り届けています。残念ながら元孤児の方々は皆さん亡くなりましたが、1996年同国は阪神・淡路大震災の被災児童を招待してくださいました。日本とのつながりという意味では、同国最難関・ワルシャワ大学には日本語学科があることにも触れておかねばなりません。聞くところによると、日本語は第二外国語として人気ナンバーワンだそうです。この4月には、同大学で47年にわたり日本語教育に携わっている邦人講師に対する叙勲(瑞宝双光章)がありました。一言でいうと、親日国です。

 

 日常生活にも少しふれておきます。先日、出張者が「ス○バ(有名米コーヒーチェーン)があるんですね」と何げなく驚きを込めて言ったのですが、ワルシャワに限っていえば、ス○バは中心部の至るところにあります。もちろん、不便はあります。とくに厄介なのがポーランド語、和食材調達難、暗くて寒くて長い冬の3つですが、それさえ何とかうまくやりくりできれば、総じて治安も良好ですし、普通に不安なく生活できます。

 

 ポーランドは、人口・国土・経済力(購買力平価GDP)において欧州主要国(英・独・仏・伊・西)に次ぐ6位の国です。EU加盟国が資金を拠出するEU構造基金の最大の受益国でもあり、リーマンショック直後もEU内で唯一プラス成長を維持するなど順調な経済成長を遂げています。日本企業の投資も活発で、ポーランドへの累積投資額では独を抜いて日本が2位(1位は米国)となっています。

 

 住友商事は、2019年に創立100周年の節目を迎えますが、時を同じくして、2019年3月に、日本とポーランドの国交樹立も100周年を迎えます。これをご縁と見定めて、ポーランドのさらなる発展に少しでも貢献し得る新たなビジネスを創出できぬものかとの思いを日々強くしています。

 

 百聞は一見にしかず、ぜひ一度お越し願います。

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