フランス/パリ ~新交通文化もすばやく受容する花の都~
今パリは、「ジャポニスム2018」で盛り上がっています。
19世紀のフランスで浮世絵を中心に日本文化が紹介され、ゴッホやモネの芸術にも影響を与えたとされる「ジャポニスム」。2018年が日仏友好160周年であることを記念し、2018年7月から2019年2月まで、フランス各地で「ジャポニスム2018」が開催されています。
特にパリでは、日本でもこれだけの規模の展示はなかなか見られないと思われる伊藤若冲展(33点を一挙公開)、中村獅童・中村七之助による松竹大歌舞伎、野村万作・萬斎・裕基の親子三代による狂言、野田秀樹の現代演劇、さらに、初音ミクのコンサートや香取慎吾の個展まで、さまざまなイベントが催されています。
2017年末にロンドンからパリに移って来た時は、街路樹の葉っぱはすっかり落ちて寒風吹きすさび、いろいろ事情はあるのだろうけどパリ市議会がシャンゼリゼ通りのクリスマス・マーケットの中止を決定していました。おまけに、不動産屋から聞いたアパートの玄関の暗証番号が違っていて、初日から締め出されてしまい、とぼとぼ歩く暗い歩道のあちこちにはワンちゃんの落とし物という状態。
パリは花の都じゃなかったのか?と途方に暮れた年末でしたが、年が明け、生活にも慣れ、車も運転するようになって、いろいろ見えてきました。
ここではパリの観光ガイドは割愛して(一言、モンサンミッシェルはやはりおすすめ)、パリで次々と主役が交代する新しい交通手段について紹介します。
パリに来て最初に目に付いたのは、オートリブという電気自動車を使ったカーシェアリングで、2011年から始まったサービスとのことですが、近年は赤字が続き、2018年7月にあえなく廃業しました。
ロンドンでは交通当局と揉めていたウーバーもパリではしっかり根付いているようで、他にもレンタル自転車や電動スクーターなどなど、たくさんの業者が提供しています。
そんな中、この原稿を書いている2018年10月にとんでもない勢いで数が増えているのが、レンタル電動キックスケーターです。
フランス語では、Trottinettes (トロティネット)というそうですが、全然、とろくありません。
時速15キロメートルといわれているけど、絶対もっと(?)出ているはずです。
当然のことながら、既に数百件の事故報告があります。パリに加え、他都市でもレンタルサービスが開始された上、個人向け販売の急増も見込まれることから、今後間違いなく事故は増えるでしょう。自転車用レーンでは、時速25キロメートル以下、歩道上では時速6キロメートル以下までは許容されている一方で、公道上の通行は禁止されているそうですが、厳格な法規制はなく、現状やりたい放題です。
さすがに、近いうちに歩道の走行は禁止されて、自転車やスケーター専用レーンの建設も進められているようですが、とにかく、法規制とレーン拡充の前に、がんがん普及してしまっている状況です。
ファッションや芸術に代表されるように常に世界の先端を走り、情報発信を続ける花の都パリは、街並みを含めて伝統文化を大切にしつつ、新しい文化への対応力もとんでもなく高いと感心する今日この頃です。
皆さんが次にパリに訪問の際は、どんな新しい乗り物が走っているでしょう?
でも、くれぐれも事故のないようにご注意ください。
記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。
SCGRランキング
- 2024年11月18日(月)
『Quick Knowledge 特設サイト』に、当社シニアエコノミスト 鈴木 将之のQuick月次調査・外為11月レビューが掲載されました。 - 2024年11月15日(金)
TBSラジオ『週刊・アメリカ大統領選2024(にーまるにーよん)』TBS Podcastに、米州住友商事会社ワシントン事務所調査部長 渡辺 亮司が出演しました。 - 2024年11月14日(木)
『日本経済新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2024年11月13日(水)
『朝日新聞GLOBE+』に、米州住友商事会社ワシントン事務所調査部長 渡辺 亮司のインタビュー記事が掲載されました。 - 2024年11月8日(金)
NHK World 『Newsline』に当社シニアアナリスト 浅野 貴昭が出演しました。