ナイロビ/ケニア ~太陽の輝く緑の都市~

中東・アフリカ

2022年10月28日

住友商事株式会社 ナイロビ事務所
グラムフセイン・ハスネイン

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 ケニアはアフリカ大陸の東部、インド洋沿岸に位置する国です。ケニア第2の都市であり、海港を持つモンバサは、有史以前から広範な東アフリカ地域の貿易の玄関口でした。

モンバサビーチのラクダ(撮影:エミリー・ネゲサ)
モンバサビーチのラクダ(撮影:エミリー・ネゲサ)
  • 経済

 ケニア経済は長年にわたり急拡大を続けており、下位中所得国の地位に達しています。また、首都ナイロビはシリコンサバンナと呼ばれ、イノベーションの拠点となっています。有名なモバイル送金サービス、「M-PESA」も普及しています。日本貿易振興機構(JETRO)が発表した日本の投資家が選ぶ将来の投資先ランキングでは、ナイロビが1位にランクインしており、東アフリカのスタートアップ企業にとって最も重要な都市とみなされています。

  • 政治

 多党制の民主主義国家であるケニアは、2010年に先進的な憲法を制定し、積極的な政治改革を進めています。最近、5代目の大統領が選出され、スムーズな政権移行が実現しました。この成果は世界的な賞賛を受け、アフリカ大陸の模範として挙げられています。

  • 産業や文化の変化と改革

 ケニアといえば、その美しい風景を抜きにしては語れません。観光の目玉であるグレートリフトバレーは、巨大な地熱蒸気の発生源であり、ケニアはこれを発電に利用することで電力供給を向上させています。

 

 

ナイロビの活気あるマタトゥ文化

早朝のバス駐車場で仕事を開始するマタトゥ(撮影:バレリー・オモロ)
早朝のバス駐車場で仕事を開始するマタトゥ(撮影:バレリー・オモロ)

 ナイロビのミニバスは「動くディスコ」と呼ばれており、他では味わえない体験ができます。マタトゥとは、ナイロビで主要な交通機関として利用されている、最も安価な民営の乗り合いバスです。グラフィック・アートワークや電飾で飾られた車体が、大音量で音楽を流しながら、混み合う道路を縫うように高速で駆け抜けていく様は、まさに「動くディスコ」と言えるでしょう。

 

(撮影:バレリー・オモロ)
(撮影:バレリー・オモロ)

 ナイロビのすべてのマタトゥは、分かりやすいように特定の路線番号を持っています。各マタトゥには、通常、運転手と車掌が乗っています。車掌は運賃を徴収し、色々な場面でマタトゥの車体を大きく叩くことで乗客の乗降のタイミングを運転手に知らせます。

 マタトゥは次第に大変有名になり、今ではオーナーたちがより刺激的なグラフィックで乗客を引きつけようと競っています。マタトゥの車体は、政治家や映画スター、ミュージシャン、サッカー選手などの有名人の画像やよくあるフレーズで内も外も飾られています。

 

中心業務地区(CBD)のさまざまな場所で客を乗せるマタトゥ (撮影:バレリー・オモロ)
中心業務地区(CBD)のさまざまな場所で客を乗せるマタトゥ (撮影:バレリー・オモロ)

 乗客を増やすには、運賃の安さだけでなく、特定年齢層の乗客を引きつけてマタトゥに活気を与えることが重要ポイントとなります。音楽システムが導入され、フロントデッキにはフラットスクリーンが設置されているので、乗客たちはミュージックビデオを楽しむことができます。現在では、各座席の背もたれのスクリーンやWi-Fi、充電ソケット、CCTV(セキュリティカメラ)を備え、車体の外側にもスクリーンが設置されているマタトゥもあります。乗客たちは、大音量のミュージックビデオと内外の賑やかなLEDライトのおかげで、まるでディスコにいるような気分になります。LEDライトと高速移動のため、降りる場所を見過ごしやすいので、乗客は常に気をつけていなければなりません。

 

 年配の人々は大音量のマタトゥを苦手とするので、あまりうるさい音を立てず、けばけばしく飾られていない古いマタトゥに乗ることを好みますが、若者たちはにぎやかな動くディスコが大好きです。

 

 

ノーベル平和賞を受賞した初のアフリカ人女性

 世界各国が気候変動への取り組みを急ぐ中、時代に先駆けて環境・気候変動問題に尽力したケニア人女性、ワンガリ・マータイがいます。ワンガリ・マータイ(1940-2011)は、東・中央アフリカにおいて女性で初めて博士号を取得した人物です。学者であるとともに環境・人権活動家でもあり、2004年には「持続可能な開発、民主主義、平和」への貢献が評価され、アフリカ人女性として初めてノーベル平和賞を受賞しました。1977年には非政府組織「グリーンベルト運動」を設立し、これまでに植林した樹は5,000万本以上にのぼります。2005年の訪日をきっかけに、マータイは仏教由来といわれる廃棄物削減の思想を表す日本語、「もったいない」の熱烈な提唱者となりました。気候変動が地域社会に及ぼす影響を目の当たりにしてきた途上国の人々の代表として、彼女は今も国内外で環境破壊と貧困の悪循環と闘う人々の先駆者であり続けています。

 

 この記事の締めくくりに、読者の皆さんに現地の言葉でご挨拶をさせていただきます。「ワゲニ・カリブニ・ケニア・ハクナ・マタタ!(何ごとも何とかなる、そんな国ケニアへようこそ!)」

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