ロサンゼルス/米国 ~米国西海岸の進化し続ける大都市~

2019年12月17日

米州住友商事会社 ロスアンゼルス店
江崎 竜一

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ロサンゼルス ダウンタウンの高層ビル群(筆者撮影)
ロサンゼルス ダウンタウンの高層ビル群(筆者撮影)

 日本人にもなじみの深いハリウッドやビバリーヒルズなどがあるロサンゼルスは米国西海岸を代表する大都市です。ロサンゼルスを有するカリフォルニア州の人口は約4,000万人(2018年現在;以下同様)で、ヒスパニック系や日系を含むアジア系も多く、人口構成は多様性に富んでいます。また、カリフォルニア州のGDPは3兆ドル超で、全米1位、国に置き換えれば世界5位の規模を誇ります。

 

また、アジアとの貿易拠点としてロサンゼルス港とロングビーチ港は共に発展しており、隣接する両港のコンテナ取扱量合計は1,750万TEU(*)に達し、2位のニューヨーク・ニュージャージー港の720万TEUを大きく引き離し、全米屈指の貿易港となっています。一方、経済規模の拡大に伴い、自動車の台数も年々増加、5車線からなる高速道路が通勤ラッシュ時には大渋滞に陥っています。(*1TEUは20フィートコンテナ1個分)

 

ロサンゼルス港と桟橋で昼寝をしているアザラシ(筆者撮影)
ロサンゼルス港と桟橋で昼寝をしているアザラシ(筆者撮影)

 

 

 ロサンゼルスの主要産業の1つである映画産業がハリウッドで勃興したのは20世紀初頭で、年間を通じてほとんど雨の降らない当地の気候が、映画の撮影現場に適していたという背景があります。歴史あるスタジオのウォルト・ディズニー、FOX、ワーナー・ブラザース、ソニー・ピクチャーズに加え、デジタル化の進展に伴い、Netflix、Amazonプライム・ビデオ、アップルTVプラスといった映像配信サービス事業者もロサンゼルスに拠点を構えています。音楽業界もCDの販売からネットでの配信にビジネスモデルが移行する中、ユニバーサルミュージックが当地に本社を移転しました。電動キックボードのシェアリングサービスも当地で発展しており、こうした企業が多く進出するサンタモニカ、ベニスビーチ周辺は総称してシリコンビーチと呼ばれています。

 

 

地元ロサンゼルス・キングスとベガス・ゴールデン・ナイツのアイスホッケー戦。黒いユニフォームのキングスのシュートに会場は熱狂(筆者撮影)
地元ロサンゼルス・キングスとベガス・ゴールデン・ナイツのアイスホッケー戦。黒いユニフォームのキングスのシュートに会場は熱狂(筆者撮影)

 当地はスポーツ観戦も盛んで、バスケットボール、野球、アメリカンフットボール、アイスホッケー、サッカーのプロチームがそれぞれ2チームずつあり、ロサンゼルス・レイカーズ(バスケットボール)はNBA決勝に最多出場を誇り、ロサンゼルス・ドジャーズ(野球)は2019年まで地区7連覇を達成しています。また、ゴルフのPGAツアー・ジェネシスオープンは毎年2月に当地で開催され、2023年の全米オープン開催も決まっています。

 2026年のFIFAワールドカップ北米開催や2028年のオリンピック開催に向けて施設の建設も始まっており、会場となるソフィ・スタジアムは2020年には完成し、2022年のスーパーボウルから利用される予定です。

 

 

PGAツアーが開催されるリビエラ・カントリー・クラブ(Riviera Country Club)の外観(筆者撮影)
PGAツアーが開催されるリビエラ・カントリー・クラブ(Riviera Country Club)の外観(筆者撮影)

 ディズニーランドやユニバーサル・スタジオなどの大規模なテーマパークが合計6つもあることも、ロサンゼルス圏の経済規模とメディアエンターテインメントの街としての特徴を示しています。ロサンゼルスの人々が作り手・受け手として楽しみながら、新種のエンターテインメントだけでなく、電動キックボードのシェアリングサービスなどのような新たな産業をも創り出すことで、経済成長が続いている街といえるかもしれません。

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