ヒューストン/米国 ~開拓者精神と多様性に富む都市~
米国南部、広大なテキサス州の南東部に位置するヒューストンは、人口 約230万人(2019年)を抱える全米第4の都市です。テキサス革命によって1836年にメキシコから独立したテキサス共和国の初代大統領サミュエル・ヒューストンにちなんで名付けられました。テキサス共和国がアメリカ合衆国に併合されて構成州のひとつとなったのは1845年のことです。テキサス共和国旗を受け継いだテキサス州旗はLone Star(ローンスター)の愛称で知られており、アメリカ国旗と並んで掲げられている光景が当地でもよく見られます。
ヒューストンと聞いて最初に浮かぶイメージは、映画『アポロ13』での有名なセリフ"Houston, we have a problem."(「ヒューストン、トラブルが発生した。」)に代表されるように、アメリカ航空宇宙局(NASA)のジョンソン宇宙センターという人が多いと思います。実際のロケット発射場はフロリダ州のケネディ宇宙センターが主ですが、ジョンソン宇宙センターには有人飛行の研究や管制、訓練等の設備があります。2020年5月に打ち上げられたスペースX社の新型宇宙船「クルードラゴン」に搭乗した宇宙飛行士を始め、これまで多くの宇宙飛行士がこの地で訓練を受けて宇宙へと旅立ちました。皆さんが個人宇宙旅行に旅立つために同施設で訓練を受ける日もそう遠くないかもしれません。
ヒューストンを代表する産業の一つが石油・ガス産業です。20世紀初頭にヒューストン近郊で油田が発見されてから、ヒューストンでは石油精製・石油化学産業が興り、その後エネルギー産業の中心地として発展してきた歴史があります。今も石油メジャーと呼ばれる大手石油・ガス会社やその関連サービス企業の多くが主要拠点をヒューストン近郊に設置しており、エネルギー産業に従事している人口割合も非常に高くなっています。
そして意外なのが、最先端の医療研究機関・医療関連産業ではないでしょうか。1945年にM.D. Anderson財団によって設立されたテキサスメディカルセンターは、現在20あまりの病院を含む合計60以上の関係機関からなる世界最大級の医療・研究機関の集積地です。最先端の医療を受けるために毎年世界中から多くの患者が訪れており、2020年世界を大きく変えたCovid-19の治療と感染拡大防止においても重要な拠点になっています。
文化的な特色としては、地理的・歴史的背景からヒスパニック系の住民比率が高く、TEX-MEX(テクスメクス)料理と呼ばれるテキサス州独自のメキシコ料理を作り出しました。スポーツも盛んで、NFLのテキサンズ(アメリカンフットボール)、NBAのロケッツ(バスケットボール)、MLBのアストロズ(野球)、MLSのダイナモ(サッカー)といったチームがヒューストンを拠点にしており、テキサス=カウボーイのイメージどおり、世界最大のロデオの祭典「ヒューストンライブストックショー・アンド・ロデオ」が開催される地でもあります。
2019年末に催された当ヒューストン店のホリデイ・パーティーでは、住友商事創立100周年を記念して参加者全員がカウボーイスタイルに扮装し、カントリーダンスとテキサスBBQ(バーベキュー)で大いに盛り上がりました。
宇宙・エネルギー・医療という最先端の産業とともに、車で少し走ると広大な土地とRanch(牧場)が広がり、大自然の中で生き抜くカウボーイの気分にも浸れるヒューストンは、フロンティアスピリットを象徴する都市と言えるかもしれません。
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