メキシコシティ/メキシコ ~メキシコのお盆 「死者の日」~

2020年12月22日

メキシコ住友商事会社
雨宮 瑶、小原 聖代

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メキシコ料理「タコス」(筆者撮影)
メキシコ料理「タコス」(筆者撮影)

 Hola, como estan ustedes? 皆さん、いかがお過ごしですか?

 

 まず、コロナ禍による影響を受けられた皆様に心からお見舞い申し上げます。

メキシコシティでも業種・事業規模にもよりますが、企業は3月下旬から在宅ベースで勤務を続けています。

 

 さて、メキシコといえばタコスを思い浮かべる方が多いでしょうが、タコスに代表されるメキシコ料理が、ユネスコの世界無形文化遺産に登録されていることはあまり知られていないと思います。

 

 今回はメキシコの秋の一大イベントで、料理と同様に無形文化遺産に登録されている「死者の日」について紹介します。

 

社内での「死者の日」イベント(2019年)(メキシコ住友商事社員撮影)
社内での「死者の日」イベント(2019年)(メキシコ住友商事社員撮影)

 この「死者の日」は、数年前に有名なスパイアクション映画の冒頭で背景として、また、ディズニーのアニメ映画で物語のテーマとして取り上げられたこともあり、ご存じの方も多いと思います。

 

 「死者の日」は、死別した家族(以降、死者)を迎えるためのお祭りで、10月31日の夜から翌朝にかけて子供の死者が家族のもとに戻り、11月1日の夜から翌朝にかけて大人の死者が戻ってくると信じられており、日本のお盆に近いものです。最近ではペットも家族の一員として扱われ、子供たちと一緒に戻ってくるといわれています。

 

 

 

オフレンダ(祭壇)のお供えと砂糖菓子の頭蓋骨(筆者撮影)
オフレンダ(祭壇)のお供えと砂糖菓子の頭蓋骨(筆者撮影)

 各家族は墓地や祭壇などをマリーゴールドの花で派手に飾って死者を迎えますが、ディズニーのアニメ映画を見た方は、画面の中で至る所がオレンジ色の花びらで彩られていたのを覚えているのではないでしょうか。

 

 祭壇へのお供えで大事な物は火・地・風・水の4元素で、「火」は蝋燭(ろうそく)で、「地」はマリーゴールドで表現します。「風」はPapel Picado(パペル・ピカード)と呼ばれるカラフルな紙にいろいろな模様を切り出した切り絵細工で代用、「水」は生命の元であり死者が喉の渇きに苦しまぬよう祭壇に供えます。また「塩」も大事なお供え物で、魔除けや道中死者の体が腐ってしまわないようにとの願いが込められています。この他に死者の生前の好物、チョコレートや砂糖で作った頭骸骨などをそろえてお供え物が完成します。

 

 

「死者の日」のパレードと筆者(メキシコ住友商事社員撮影)
「死者の日」のパレードと筆者(メキシコ住友商事社員撮影)

 時代の流れとともに「死者の日」も少しずつ変化しています。先述のスパイ映画が発端となり、メキシコシティでは「死者の日」に盛大なパレードが行われるようになりました。街中の目抜き通りをガイコツに扮(ふん)した人たちが大人数でパレードする様子はまさに圧巻で、参加して一緒に楽しむことも可能です。

 

 2020年はコロナ禍でパレードも中止になり、また、毎年恒例のお墓の前に家族一同が集まって行う宴会も自粛せざるを得ず、故人に思いをはせながらこぢんまりと「死者の日」を過ごすことになってしまいました。しかし、来年の11月には、家族のつながりをとても大切にするメキシコの人たちらしい温かさがあふれる、にぎやかで素晴らしい「死者の日」が迎えられることを願ってやみません。

以上

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