カルガリー/カナダ ~エネルギーの一角を担っています~
カルガリーやカナダ西部以外に住んでいる人は、カルガリーについて、漠然とした古めかしい「冬将軍」というイメージを持っているのではないかと思います。
カルガリー市の人口は160万人、面積は約622平方キロメートル、標高は海抜1,045メートルです。
ご存知の通り、11月下旬から12月にかけて雪が降りますが、3月までには雪はなくなります。山に近いことから、週に2~5日は山から「チヌーク風」が吹きつけます。この暖かい太平洋の風(ブラックフット族はこの風を「スノー・イーター(雪溶かし)」と呼びます)は、冬の日の気温を朝の-20度から午後の+20度まで引き上げます。カルガリーは年間333日以上晴れることの多い、カナダで最も晴天の多い都市です!
ロッキー山脈のボウ氷河から流れる大河であるボウ川は、カルガリー市内を流れ、さらに南へ587キロ(365マイル)流れた後、ハドソン湾に注ぎます。この川はフライフィッシングに優れた釣り場とされていて、いわゆる「ブルーリボン」のランキングでは、釣り人が訪れる川として世界第3位にランクされています。
ビジネス環境
アルバータ州はカナダの原油・天然ガス生産量の約3/4を占め、世界第3位の石油・天然ガスの埋蔵量を有しています。カルガリー市は古くからエネルギーの都市として知られており、今日ではエネルギー生産の主要企業が本社を置いています。
また、この地域は、カナダでも有数の風力、太陽光、バイオエネルギー、地熱資源を誇っています。カルガリーは、カナダにおけるエネルギー転換の中心地として認識されています。カルガリーのエネルギー施設では、2022年から2024年の間に、エネルギー転換に23億ドルを費やすと予測されています。
カナダ住友商事のカルガリー事務所は1961年に設立され、石油、ガス、石油化学産業向けの高品質なラインパイプ(CRA)油井管製品およびパイプを専門に取り扱っています。従業員は4名で、その他、住友EIIおよび鋼管チームのメンバー多数が所属しています。事業分野は、鋼管およびエネルギー転換になります。
- 地熱資源は、アルバータ州の電力と熱の需要を満たすことのできる潜在的な代替エネルギー源です。アルバータ州における地熱エネルギーの利用方法は、発電を始めとしてさまざまなものがあります。
- カナダは、排出量削減とエネルギー産業維持のため、炭素回収・貯留システム(CCS)を導入しています。世界のCCUS施設の1/3がここアルバータ州にあり、さらに多くの施設が計画されています。
- アルバータ州はソーラーパネル・リサイクル・プログラムの設置を計画しています。同州はまた、電子機器リサイクル試験プロジェクトの恒久化を行っており、これにより500以上の電子機器のリサイクルが可能になります。
エネルギー転換 - 米州住友商事会社、独占契約締結を発表
Reconciliation Energy Transition社(RETI)と米州住友商事は、カルガリー市東部の「イースト・カルガリー炭素輸送・隔離プロジェクト」に関する独占契約を発表しました。
- CTSハブでは、カルガリーの東に位置する深部塩水帯水層での永続的なCCSをサポートするため、圧縮設備、CO2パイプラインネットワーク、注入井と監視井の建設などが行われる予定であり、年間最大1,000万トンを貯蔵する能力が計画されている。
- オープンアクセス・ハブは、排出量削減を目指す既存の排出事業者と、新たに提案されるエネルギー転換施設の両方にCCSのソリューションをサービスとして提供し、2050年までのネット・ゼロ・カナダの実現に向けて貢献します。そのために、以下のプロジェクトなども予定されています。
・クリーンエネルギー規制を遵守する発電所
・クリーンな水素製造施設
・バイオ燃料製造施設
・ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)設備
・その他の産業排出物 - RETIと住友商事グループは共同で、CTSハブ・プロジェクトを長期的なパートナーシップの出発点とすることを想定しており、現在、両者の間で以下のようなプロジェクトが検討されています。
・ カルガリー地域SAF施設 - RETI主導のプロジェクト
・ DAC施設 - 住友商事グループ主導のプロジェクト
米州住友商事会社(SCOA)とアルバータ州の組織であるインベスト・アルバータ、2024年にアルバータ州全域でエネルギー転換を加速させる覚書を締結検討されている主導プロジェクトの一部は以下のとおりです。
・生物起源のCO2の利活用
・炭素回収とCCUS
・CI - 炭素強度測定
・重要鉱物
・鋼管ビジネスに関連するエネルギーの変換
・貨物/旅客鉄道輸送
・地熱利用
・水素/アンモニアのサプライチェーン
・低炭素化率 - 石油化学
・放棄されたままの油井の削減や再利用のための提案
・持続可能な航空燃料サプライチェーン
記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。
SCGRランキング
- 2024年12月6日(金)
外務省発行『外交』Vol.88に、米州住友商事会社ワシントン事務所長 吉村 亮太が寄稿しました。 - 2024年12月3日(火)
『日本経済新聞(夕刊)』に、米州住友商事会社ワシントン事務所長 吉村 亮太が寄稿しました。 - 2024年11月28日(木)
ラジオNIKKEI第1『マーケットプレス』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行が出演しました。 - 2024年11月19日(火)
『週刊金融財政事情』2024年11月19日号に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行が寄稿しました。 - 2024年11月18日(月)
『Quick Knowledge 特設サイト』に、当社シニアエコノミスト 鈴木 将之のQuick月次調査・外為11月レビューが掲載されました。