グアテマラ ~コーヒーが結ぶ日本とグアテマラ~

2018年04月26日

住友商事株式会社 グアテマラ事務所
石崎 貴

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 グアテマラと聞いた時、皆さんは何をイメージしますか。

 

 中米の……と、国がどこにあるのか記憶の地図上でははっきりしないものの、コーヒーやバナナなどの農産物、世界遺産のマヤ遺跡などのイメージが湧いてくるのではないでしょうか。

 

 中でもコーヒーを思い浮かべる方が多いと思います。グアテマラのコーヒーは高品質でおいしいと評判です。同国のコーヒーについて、少し語りたいと思います。

 

 グアテマラのコーヒー生産量は年間約20~25万トンで、世界9位の生産国です。日本はグアテマラのコーヒーの3位(年間3万トン前後)の輸出先で、一方グアテマラは日本のコーヒー輸入元の5位に位置しています。

 

アグア火山(筆者撮影)
アグア火山(筆者撮影)

 同国には標高3,000メートルを超える火山がたくさんあります。首都グアテマラ市の近くにも、富士山(標高3,776メートル)にそっくりなアグア火山(標高3,760メートル)があります。

 

 グアテマラのコーヒーは、水はけの良い火山灰の土壌と、亜熱帯の適度な雨に恵まれた、寒暖差の大きい山岳地帯の斜面や高原で栽培されており、これらが高品質のコーヒーを生み出す良好な環境となっています。

 

 同国のコーヒーは、標高が高くなるほど風味も豊かになり高品質になると言われています。生産地の標高により7等級に分けられ、最高の等級は標高1,350メートル以上で栽培される「ストリクトリー・ハード・ビーン(SHB)」と呼ばれるものです。その次の等級は1,200~1,350メートルで栽培される「ハード・ビーン(HB)」と呼ばれ、以下標高が低くなるに応じて等級が下がり、呼び名が変わってきます。

 

収穫前のコーヒー豆(グアテマラ事務所提供)
収穫前のコーヒー豆(グアテマラ事務所提供)

 現在、世界のコーヒー消費市場には、「サードウェーブ(第三の波)」が到来しています。

 

 最初の波は、19世紀後半から一般家庭でコーヒーが飲まれるようになった時期で、「浅煎(い)りのアメリカンコーヒー」が大量に生産・消費され、インスタントコーヒーが流行しました。

 

 2回目の波は1970年代にはじまり、「浅煎りコーヒー」から「深煎りコーヒー」へと嗜好(しこう)が移行し、また自宅でも職場でもないコーヒーを飲む場所として「サードプレイス」という概念が生まれ、コーヒーは「カフェ」で楽しむものとの認識が広まり、スターバックスなどのシアトル系コーヒーチェーンが広まっていきました。

 

 現在の「サードウェーブ」は、1990年代後半からはじまり、コーヒーの栽培技術の向上などで、「高い品質のコーヒー」が多く生産されるようになるとともに、「品質基準」も明確化され、「スペシャルティ(高品質)コーヒー」の概念が生まれました。また、コーヒーの抽出方法にもこだわり、1杯のコーヒーにより時間を掛けて提供するようになりました。

 

 近年、日本ではグアテマラ産の高品質コーヒーが、コンビニでも廉価で売られるようになり、スペシャルティコーヒーが一般家庭にも普及してきています。それに伴い、グアテマラから日本へのコーヒーの出荷も増えています。当社も「バードフレンドリー®」認証コーヒーをはじめとするグアテマラ産のスペシャルティコーヒーのビジネス拡大に取り組んでおり、日本とグアテマラの結びつきをさらに太くすべく頑張っています。皆さんもグアテマラ産のスペシャルティコーヒーをぜひご賞味ください。

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