ボゴタ/コロンビア ~知られざる南米の優等生「コロンビア」のスペルは?~
"COLUMBIA"か"COLOMBIA"か、正解は後者です。では、この国がどこに位置し、どこと国境を接しているのか、答えられる方はどのくらいいるでしょうか。大抵「ブラジルの隣の麻薬などで危ない国」と思われているのが、残念ながら現状です。そこで本稿ではそんな不名誉を払拭し、この国の魅力を紹介したいと思います。
半世紀にわたる政府と武装ゲリラFARC(コロンビア革命軍)との内戦は2016年の和平合意により終結し、当時のサントス大統領はノーベル平和賞を受賞しました。武装解除をはじめ和平プロセスが進められ、国内の治安は改善へと向かっています。実は思われているほど危険なこともなく、エリアを見極めれば夜は繁華街へ出かけることも可能です。そしてここはラテンの国、とにかく歌と踊りが大好きです。「食後にそんなに踊って大丈夫?」という心配もご無用。ここでは信号までもが"サタデー ナイト フィーバー!"
「それでは首都ボゴタの夜に繰り出してみよう!」という気になっても、やはり南米で行き当たりばったりは怖い。そんな時には周りを見てください。近くに「BBC」というマークがあるはずです。どこかの国営放送かと思いきや、「Bogotá Beer Company」という2002年創業のビアバーで、店内には醸造設備があり、できたてのクラフトビールが楽しめることで人気を博し、現在50店舗を出店しています。
さて、ボゴタから外に足を延ばしてみると、9つの世界遺産をはじめ、カリブ海、太平洋、アンデス山脈、アマゾン地域と多様性に富んだこの国には多彩な魅力があります。カリブ海に面するカルタヘナでは歴史的建造物群が世界遺産として登録され、カラフルで古風な街なかで、これまた色鮮やかな衣装に身を包み果物を売る女性たちの姿が印象的です。年末年始の繁忙期には国内外から人々が殺到し、街は一気にコスモポリス化します。この他、毎年8月のメデジン花祭りや2月頃のバランキージャ・カーニバルにも多くの観光客が訪れます。さらにコロンビアでは世界で最も多くの鳥が観察でき、その種類は約2,000種にも上ります[*1]。
経済面でも一見存在感の薄いコロンビアですが、実はこれまた非常に優秀で、GDP成長率は2000年以降、常にプラスで、2019年は3.3%を記録し、2020年は3.7%が目標です。 また南米主要国の中で唯一、債務不履行の経験がなく、海外からの投資額は南米3位です。2018年5月のOECD加盟以降、さらなる経済成長を期待して海外からの投資は一段と活発化しており、2019年は前年比+25.6%を記録(投資総額14,493百万ドル)。投資対象は、金融(20.6%)、石油(19.4%)、飲食・ホテル(14.7%)、鉱業(12.4%)など[*2]が主要分野です。
日本とは2015年9月に投資協定が発効、2018年12月に租税条約を締結し、現在交渉中の経済連携協定の早期締結により、両国間での一層活発な経済活動が望まれます。
まだまだ知られざる魅力があるコロンビア。そのポテンシャルを一度肌で感じてみてはいかがでしょうか。
[*1] https://birdsofcolombia.com/
[*2] https://www.banrep.gov.co/es/estadisticas/inversion-directa (2019年の実績を基に計算)
記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。
SCGRランキング
- 2024年11月18日(月)
『Quick Knowledge 特設サイト』に、当社シニアエコノミスト 鈴木 将之のQuick月次調査・外為11月レビューが掲載されました。 - 2024年11月15日(金)
TBSラジオ『週刊・アメリカ大統領選2024(にーまるにーよん)』TBS Podcastに、米州住友商事会社ワシントン事務所調査部長 渡辺 亮司が出演しました。 - 2024年11月14日(木)
『日本経済新聞』に、当社チーフエコノミスト 本間 隆行のコメントが掲載されました。 - 2024年11月13日(水)
『朝日新聞GLOBE+』に、米州住友商事会社ワシントン事務所調査部長 渡辺 亮司のインタビュー記事が掲載されました。 - 2024年11月8日(金)
NHK World 『Newsline』に当社シニアアナリスト 浅野 貴昭が出演しました。