人口
2022年11月に、国連が「世界の人口が80億人を超えた」と発表しました。その後、人口に関するいろいろな数字が目につきます。1月には中国の国家統計局が、中国の人口は「22年末時点で14億1,175万人と前年から85万人減少した。」と発表しました。国連の人口見通しによると、2050年には13.1億人となり、2100年には現在の半分程度になるとされています。人口減少局面に入った中国を人口で上回るのがインド。国連人口基金は4月に、インドの人口が2023年半ばに14億2,860万人に達し、世界最多になるとの見通しを示しました。こちらは2060年代前半頃までは人口の増加が続きそうです。
日本はといえば、約20年前の2004年に1億2,784万人のピークからこれまでに、約350万人減少。2023年4月の概算値では1億2,447万人となり、1年で60万人減少しています。地方の中核都市が1年で丸ごとなくなるようなイメージです。特に日本人人口は2022年11月の確定値で1億2,197万人と、1年で76万人も減少しています。少子化もさらに進行していて、総務省が毎年「こどもの日」に合わせて公表する4月時点の15歳未満の子どもの数は、2023年は昨年より30万人減って推計1,435万人と発表されました。国立社会保障・人口問題研究所が4月に発表した推計では、今後2056年に総人口が1億人を割り込み、2070年に8,700万人になるとされています。
国や地方の公的債務がさらに増大する中、返済する人の数が減るのは深刻な問題です。子どもが生まれやすい社会にしていくことは大きな課題ですが、それぞれの価値観であり、選択なので、政策だけで子どもが増やせるわけでもありません。他方で、人口が減ると需要は減るので、エネルギーや環境面ではポジティブなインパクトもあります。さらに別の角度からみると、地球上に80億人ものヒトという単一の生物が存在して活動しているということ自体、生態系に大きな負荷をかけていることは間違いなく、人口の減少は、生態系から見ると必要なこと、当然の摂理なのかもしれません。そういう視点でみると、日本は世界の先進国。自然と共生できる範囲でヒトという種が暮らせる理想の社会を追及していくというのも一つの選択なのでは、と最近思うようになりました。
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