コミュニケーション
社長コラム
2024年01月17日
住友商事グローバルリサーチ(株)代表取締役社長
住田 孝之
年明け早々、痛ましい惨事が続きました。地震と航空機の事故で犠牲になった方にお悔やみ申し上げるとともに、今も苦労されている方達が、1日も早く回復され、元気になられること、そして被災地の復旧、復興を心から祈念します。
さて、能登半島地震では、速報を伝えたNHKのアナウンサーの叫びが話題になり、羽田の航空機事故では、管制と機長のやり取りが注目を集めました。いずれもコミュニケーションに関連することで、考えさせられました。NHKのアナウンサーの叫びは、鬼気迫るものでした。「テレビなど見てないで逃げて」、と強い口調で言うことは、被災地の方たちには、とても貴重なアドバイスで、実際にそれに従って行動したことで助かった方もいらっしゃることでしょう。当事者以外の人たちの冷めたコメントもありましたが、ほんとに伝えなければならない相手に、メッセージや思いが伝わったとすれば、大正解です。羽田空港の方は、結果として、意思疎通がうまくできなかったことが、大事故につながってしまった。しっかり伝えたつもりでも、真意が伝わっていなかったら、意味がないということを最も端的に示す一つの例となりました。
発信する人が、「伝えよう」とする姿勢は極めて大事なのですが、コミュニケーションは一方向では成り立ちません。しっかり伝わっているかどうかを様々なやり方で確認しないと落とし穴にはまってしまいます。家庭でも学校でも社内でも他社とのやり取りでも、国と国との話でも、同じことです。発信する側は、受け手がどう受け止めるかを考えて発信し、可能なら、実際にどう伝わったのかを直接、あるいはデータなどで間接的にででも確認する。受け手側は、発信者が何を伝えたかったのか考える、不明確なら確認する。そういったことが、コミュニケーションを活性化するのにいかに大事かを考えさせられました。昨今、職場でのエンゲージメントの向上が大きなテーマになっていますが、このようにしてコミュニケーションの質を高めることはそれぞれの納得感を増大させ、エンゲージメントの向上に役立ちます。年の初めに起きた惨事を無駄にしないためにも、自分ごとにできそうなことから、改めて取り組んでいきましょう。
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