トランプ次期政権高官人事分析資料

2016年12月14日

住友商事グローバルリサーチ 国際部
足立 正彦

ドナルド・トランプ氏(左)とインディアナ州知事のマイク・ペンス氏(右)(写真:Wikimedia Commonsより)
ドナルド・トランプ氏(左)とインディアナ州知事のマイク・ペンス氏(右)(写真:Wikimedia Commonsより、Author: Ali Shaker/VOA)

 2016年11月8日に投票が行われた米国大統領選挙でドナルド・トランプ共和党大統領候補が民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官を破り、歴史的勝利を収めてから約5週間が経過した。クリントン候補が勝利するとの見方が支配的な中でのトランプ候補の勝利は米国の有権者の間に現状への変革がいかに根強かったことを意味する。トランプ候補は選挙キャンペーンの中で米国の対外的関与に慎重姿勢を示すとともに、環太平洋経済連携協定(TPP)からの米国の離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、中国製製品などに対する高関税の適用といった保護主義的な立場を鮮明にし、「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を訴えており、トランプ候補の勝利は米国内外に大きな衝撃を与えている。当選後も歴代米国政権が一貫して踏襲してきた「一つの中国」の原則にも疑問を呈すなど混乱が広がりつつある。

 

 トランプ次期大統領は2017年1月20日に第45代米国大統領に就任することになったが、トランプ候補の勝利を受けて、現在、トランプ政権移行チームはトランプ次期政権の高官人事や優先政策の順位付けなどに本格的に着手している。トランプ次期大統領の場合、歴代の共和党大統領候補とは異なり、党主流派との亀裂を残したまま大統領選挙キャンペーンを戦い、歳出増大路線も示してきたために、党主流派との関係改善に向けて高官人事や重要政策面でどのような姿勢を示すのかが非常に注目されている。トランプ候補に対しては選挙キャンペーン中に歴代の共和党政権で外交・安全保障政策に関与していた専門家からトランプ候補を批判する公開書簡が複数公表されたが、そうした公開書簡に連名署名した専門家についても本分析資料の中では明らかにしている。

 

 トランプ次期政権の主要高官人事について従来までの政策的立場を把握することでトランプ次期政権の政策的方向性を正確かつ詳細に推察し、トランプ次期政権に対するさらなる理解を深める点で本分析資料が一助となることができれば幸いである。

 

 トランプ次期大統領の公式サイトであるGreatAgain.gov(https://greatagain.gov/)に掲載されたトランプ政権移行チーム発表のプレスリリースやステートメント、選挙キャンペーン中のトランプ選挙対策本部発表のプレスリリース、米国政治専門サイト及びブログ、米国主要メディア報道などに基づいて本分析作業を行ってきた。今後も、とりわけ、ホワイトハウス、国務省、国防総省、財務省、商務省、米国通商代表部(USTR)をはじめとする省庁・機関における主要高官ポストや対アジア政策や対中東政策を所管する政府要職ポストに焦点を当てつつ、次官補、次官補代理といった実務レベルの経歴や政策的立場も反映し、適宜更新を行って最新状況を公開していくことでトランプ次期政権の高官人事及び政策の方向性を明らかにできればと考えている。

 

 

⇒⇒⇒全文はこちら(PDF 1.7MB)(2016年12月14日現在分。2016年12月28日更新 ver.1.1)

 

⇒⇒⇒Executive Summaryはこちら(PDF 0.6MB)(2016年12月14日現在分)

 

以上

 

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