インド:最大州の議会選でモディ首相の与党が圧勝
調査レポート
2017年04月04日
住友商事グローバルリサーチ 国際部
石井 順也
-2017年3月31日作成-
インド5州の議会選挙の結果
BJPが圧勝した背景
BJPが圧勝した意義
今後の展望
|
1. インド5州の議会選挙の結果
2017年3月11日、同年2月から3月にかけて実施されたインド5州の議会選挙の開票が行われた。
モディ首相率いる与党インド人民党(BJP)はウッタル・プラデシュ(UP)州で8割近くの議席を獲得して圧勝。ウッタラカンド州でも第1党となり、マニプール州では議席をゼロから増やして第2党になった。ゴア州およびパンジャブ州では議席を減らした。選挙後、マニプール州およびゴア州では連立政権に加わり、パンジャブ州では与党から野党に転じた(図表1)。
【図表1】インド5州の議会選挙の結果(2017年3月11日開票)
州 |
総議席数 |
BJP |
増減 |
BJPの順位 |
ウッタル・プラデシュ |
403 |
312 |
265 |
第1党(野党から与党に) |
ウッタラカンド |
70 |
57 |
26 |
第1党(野党から与党に) |
マニプール |
60 |
21 |
21 |
第2党(連立政権入り) |
ゴア |
40 |
9 |
▲8 |
第2党(連立政権入り) |
パンジャブ |
117 |
3 |
▲9 |
第4党(与党から野党に) |
(出所:インド選挙管理委員会、各種報道等から筆者作成)
今回の選挙で最も注目されたのは人口2億人を擁するインド最大州のUP州である。UP州は、下院に80議席(定数545議席)、上院に31議席(定数245議席)を送り込むことから、その政治的影響力は極めて大きい。
その重要州において、BJPは、選挙前にわずか1割程度だった議席を8割近くまで伸ばした(連立としては325議席で8割を超える)。UP州は、かつては国民会議派、近年は地域政党が優勢な州で、BJPが第1党になるのは1996年以来である。また、単独の政党が8割の議席を獲得するのは1977年のジャナタ党、7割の議席を獲得するのは1980年のインディラ・ガンディー首相(当時)率いる国民会議派以来である。BJPは歴史的な大勝をおさめたといえる。
また、他の4州においても、BJPはパンジャブ州を除く3州で政権与党の座を奪取ないし維持している。
したがって、5州全体をみても、州政権を担うという観点からすれば、BJPは4勝1敗と大きく勝ち越し、BJPが州政権(連立政権含む)を担う州は14に増加した(図表2)。
【図表2】インドの州政権
製作者: Devdatta Tengshe
タイトル:Map Data of Admin level 2 with Telangana State
https://github.com/datameet/maps/tree/master/States
(出所:インド選挙管理委員会、各種報道等から筆者作成)
2. BJPが圧勝した背景
UP州等でBJPが圧勝した背景として以下3点が指摘できる。
(1)高額紙幣の廃止
第一に、2016年11月に実施された高額紙幣の廃止がBJPに有利に働いたと考えられる。
高額紙幣の廃止は、市場に出回る現金の86%が一夜にして無効になるという大胆な政策であり、現金不足に陥ったインドの経済は混乱した。特に現金取引に深く依存する不動産業と自動車産業は深刻な打撃を受け、国際通貨基金(IMF)は2016年の実質GDP成長率を7.5%から6.6%に下方修正した。
このため、高額紙幣の廃止は、国内では野党から激しく攻撃され、アマルティア・センのような国際的に有名な経済学者からも厳しく批判された。
しかし、経済の混乱にもかかわらず、インド国内では政策を支持する声が多かったようである。筆者は、高額紙幣の廃止が実施された直後の2016年11月中旬にインドを訪問し、研究者から企業人、新紙幣を得るために銀行の長蛇の列に並ぶ一般人に至るまで幅広い層から意見を聴取したが、ほとんどすべての人が「短期的には生活に不便が生じるが、長期的には確実にインドにとってプラスになるので、支持する。」と答えていた。[*1]
高額紙幣の廃止の目的は、①汚職や脱税、不正蓄財、偽造の温床となっている「ブラックマネー」(統計で補足されていない地下経済を支える不正資金)の撲滅および②現金依存経済からの脱却(デジタル経済への移行、金融機能の強化)による経済の効率化にあり、これらのメリットが国民に理解されたと考えられる。
また、高額紙幣の廃止が経済に与えたネガティブな影響は予想よりも小さかったとみられる。インドの2016年10~12月期の実質GDP成長率は7.0%で、7~9月期(7.3%)から減速したが、その減速の程度は市場予想を大きく下回り、7%台を維持した。もっとも、インドの統計の精度に対しては、インフォーマル部門の生産活動の補足の不十分、需要項目の推計の精度の低さ等から疑問が寄せられている。また、高額紙幣の廃止の悪影響はまだ続くとの見方もある。しかし、2017年3月には銀行は新紙幣の引き出し制限を解除しており、少なくとも現金不足の状況は解消されつつある。
さらに、高額紙幣の廃止は、選挙運営の観点からBJPに有利に働くとみられていた。なぜなら、BJP以外の政党はブラックマネーに対する依存度が高く、選挙の資金源が封じられることになるからである。モディ首相は、UP州の選挙で有利に立つための戦略上の判断として高額紙幣の廃止に踏み切ったという見方も有力である。
以上のとおり、高額紙幣の廃止は、大きな議論を呼んだ政策であったが、多くの有権者から支持され、選挙戦略としても有効に機能し、BJPに有利に働いたと考えられる。
(2)モディ政権の約3年間の統治
第二に、モディ政権の約3年間の統治が多くの国民に肯定的に評価されたと考えられる。
モディ政権は、2014年5月の発足以来、「雇用と経済開発」を優先課題と位置づけ、インフラ整備、外資規制の緩和、新倒産法の制定など次々に改革を実現してきた。2016年8月には物品・サービス税(GST)導入のための憲法改正法案の上下両院での可決が実現したが、諸間接税を一本化するGSTの導入はインド独立以来最大の改革といわれており、その道筋をつけたことは歴史的快挙といわれた。同年11月に実施された高額紙幣の廃止も、上記(1)のとおり大きな議論を呼んだ政策であったが、インド史上類をみない大胆な決断といわれた。モディ政権の改革は、スピードが十分ではないとの評価もあるが、強い指導力によって一定程度進展したといえる。
また、インドの経済は、モディ政権下において好調が続いており、実質GDP成長率は前年比7%台と中国をはじめとする主要新興国を上回る水準を維持している(図表3)。
物価も安定しており、消費者物価上昇率は2017年に入って3%台とインフレターゲット(2017年3月まで5%、中期的には4%)を下回る水準で推移している(図表4)。
【図表3】インドの経済成長率 【図表4】インドの物価上昇率
インド・ルピーは、2016年11月の米大統領選後の米国の金利上昇と高額紙幣の廃止を受けて対ドルレート68ルピー台まで下落するも、その後は好調なマクロ経済を背景に資金の流入が続き66ルピー台まで上昇。今回の選挙の結果を受けさらに上昇し、1年半ぶりの水準に達した(図表5)。
代表的株価指数SENSEXは、モディ政権発足から上昇を続け、2015年1月29日には過去最高の29,682ポイントを記録した。その後一時下落したが、再び上昇して29,000台で推移。今回の選挙の結果を受けさらに上昇、過去最高の水準に迫っている(図表6)。
【図表5】インドの為替レート 【図表6】インドの株価
海外直接投資も、モディ政権が発足してから拡大を続けており、2016年4~12月累計は前年同期比22%増の358億ドルとなった。海外投資家も、モディ政権には依然として高い期待を寄せているとみられる
以上のとおり、モディ政権の約3年間の統治に対しては、改革のスピードが十分ではないという声もあるが、GST導入に向けた憲法改正等の改革が進展し、経済も安定した発展を続けていることから、多くの有権者が肯定的に評価し、BJPの勝因になったと考えられる。
(3)モディ首相の人格と指導力
第三に、モディ首相の人格と指導力に対する有権者の信頼と期待が健在だったと考えられる。
モディ首相は、2014年の下院選挙で「モディ・ウェーヴ」といわれる旋風を巻き起こし、BJPを大勝に導いた。その支持率は依然として高く、60~80%の水準を維持している。[*2]
モディ首相がここまで高い支持を得る理由は、①汚職と無縁、②合理的な思考、③強力な政治基盤という3点を兼ね備えていることにあるといわれる。筆者は、2016年6月および同年11月にインドを訪問し、有識者から一般人に至るまで幅広い層から意見を聴取したが、多くの人が上記3点を指摘し、「かつてインドにこれらすべての要素を備えるリーダーはいなかった」「課題は多いが、モディ首相がインドを正しい方向に導いていることは間違いない」と答えていた。[*3]
以上のとおり、モディ首相の人格と指導力に対しては、多くの有権者が信頼と期待を寄せており、その信頼と期待は、就任して約3年が経過してもなお揺らぎがなく、BJPの勝因になったと考えられる。
3. BJPが圧勝した意義
UP州等でBJPが圧勝した意義として以下3点が指摘できる。
(1)モディ首相の10年にわたる長期政権
第一に、モディ首相の10年にわたる長期政権への展望が開けたと考えられる。
今回の選挙は、モディ政権の5年の任期(2014年5月~2019年)において3年目を迎える直前の大型選挙であることから、「中間選挙」ともいわれ、モディ政権にとって「天王山」ともいえる重要な戦いだった。その重要な選挙をBJPが制したことで、2019年の下院選挙に向けてBJPが優勢であることが明らかになった。
特に、2014年の下院選挙において、BJPは大票田であるUP州(下院定数545議席のうちUP州の定数は80議席)で9割近くの議席(71議席)を獲得する圧勝をおさめ、下院選挙での大きな勝因となったが、今回のUP州議会選挙の結果は、前回下院選挙と同様の結果が期待できることを示した。
また、全国レベルで唯一のライバル政党である国民会議派の凋落が続いていることが示された。
さらに、今回の選挙結果は、モディ首相の指導力がBJPの勝利につながることを証明した。
モディ首相の強い指導力に対しては、身内であるBJPとその支持母体であるヒンドゥー民族主義団体「民族奉仕団」(RSS)の一部から反発する動きがあるといわれている。2016年にマーケットから信頼を得ていたラグラム・ラジャン氏がインド準備銀行総裁を退任したが、その背後にはRSSの働きかけがあったともいわれる。高額紙幣の廃止も、モディ首相は数人の側近と相談して決定したといわれており、これを独断専行として批判する声もあったという。
そうした中、今回の選挙でモディ首相の指導力がBJPの勝利につながることが証明されたことで、モディ首相に対する身内からの反発が抑えられ、モディ首相を中心とするBJPの結束が強まると予想される。
以上より、今回の選挙を経て、2019年下院選挙でBJPが勝利し、モディ首相が再選する可能性が高まり、モディ首相の10年にわたる長期政権への展望が開けたと考えられる。
(2)モディ政権の改革の進展
第二に、モディ政権の下、さらなる改革の進展が期待される。
まず、現在取り組んでいる改革の推進に弾みがつく。特に、GSTについては、調整が難航し、導入時期が延期されてきたが、現時点で目標とされている2017年7月1日からの導入の実現可能性が高まったといえる。
また、下院においてはBJPおよび与党連合は過半数を占めるが、上院(現在243議席)においてはBJPは56議席(23%)、与党連合は74議席(30%)と過半数に届かないため、モディ政権は重要法案を成立させる上で困難に直面している(図表7)。
【図表7】インド議会の議席数
|
BJP |
与党連合 |
国民会議派 |
野党連合 |
|
下院 (543議席) |
議席数 |
278 |
336 |
45 |
49 |
割合 |
51% |
62% |
8% |
9% |
|
上院 (243議席) |
議席数 |
56 |
74 |
59 |
65 |
割合 |
23% |
30% |
24% |
27% |
(出所:インド上院および下院ウェブサイトから筆者作成)
インドの上院議員は州議会議員による間接選挙で選出されるため、BJPが上院の議席数を拡大するためには州議会選挙で勝利しなければならない。
モディ首相が就任してから、BJPは、多くの重要州で勝利する一方、デリー連邦直轄領およびビハール州といった重要な地方議会選挙では敗北した(図表8)。
【図表8】モディ首相が就任してから実施された地方議会選挙の結果
開票時期 |
州 |
BJP |
増減 |
2014年10月 |
マハラシュトラ |
第1党 |
議席増 |
ハリヤナ |
第1党 |
議席増 |
|
12月 |
ジャンムー・カシミール |
第2党 |
議席増(野党から与党(連立)に) |
ジャルカンド |
第1党 |
議席増(野党から与党に) |
|
2015年2月 |
デリー |
第2党 |
議席減(与党から野党に) |
11月 |
ビハール |
第3党 |
議席減 |
2016年5月 |
アッサム |
第1党 |
議席増(野党から与党に) |
西ベンガル |
第4党 |
議席増 |
|
タミル・ナドゥ |
議席ゼロ |
現状維持 |
|
ケララ |
第3党 |
議席増 |
|
プドゥチェリ |
議席ゼロ |
現状維持 |
(出所:インド選挙管理委員会、各種報道から筆者作成)
今回の選挙におけるBJPの勝利、特に大規模州であるUP州での圧勝は、上院におけるBJPの議席の増加に大きく貢献する。
BJPは、今後、州選挙で勝利を重ねることで、早ければ2022年に上院で過半数の議席を獲得できるとみられる。そうなれば、2期目のモディ政権において、土地収用法、労働法の改正といった、現時点では実現が難しい大型の改革を実現する可能性が高まる。
(3)カースト政治の克服
第三に、今回の選挙は、伝統的なカースト政治の克服に貢献する可能性がある。
インドでは、伝統的に、カーストと宗教に基づく特定のコミュニティを票田とする政治が行われ、それがポピュリズム的政策や腐敗の温床ともなっていた。
特にUP州はインドの中でもカーストと宗教ごとの階層分化が激しく、政党は特定のカーストと宗教を支持基盤とする傾向が強かった。
しかし、今回の選挙で、BJPは、インフラ整備や社会的公正の実現といった特定のコミュニティに依存しない政策を打ち出し、幅広い層から支持を得ることに成功した。
BJPは、ヒンドゥー民族主義団体RSSを支持母体とする政党だが、今回の選挙で、こうした戦術がとられた背景には、モディ首相の理念と強い指導力があったとみられる。
モディ首相は、今回の選挙結果が発表された翌日の2017年3月12日、勝利演説を行い、「インドが独立75周年を迎える2022年までに『新たなるインド(New India)』の実現を約束する。『新たなるインド』とは、若者の夢に満ち、女性が活躍し、貧しい人々が補助金を期待するのではなく、自らの力で働く機会を求めるインドだ」と述べた。[*5]
インドの記者シェクハー・グプタによれば、インドの人々はモディ首相に「新しいインド人」のイメージを見出しているという。[*6]それは、出自や家系といったインドの因習にこだわらず、個人としての判断基準をもち、自らの力により富を得ようとする中低所得層の人々である。雇用と経済成長を掲げる政策、若者や女性の活躍や自立を謳う「新たなるインド」構想は、こうした「新しいインド人」の夢にこたえることを意図しているのだろう。
BJPが、こうした理念に基づき、特定のコミュニティに依存する手法をとることなく有権者の支持を得るのに成功したことは、伝統的なカースト政治の克服につながる可能性を示したといえる。
4. 今後の展望
今後注目すべきポイントとして以下3点が指摘できる。
(1)モディ政権の改革
第一に、モディ政権は、当面、2017年7月1日からの導入を目標とするGST、汚職対策、デジタル経済への移行といった改革に取り組むとみられる。上記3.(2)のとおり、今回の選挙がこうした改革を加速させることが期待される。GSTについては、2017年3月29日、関連する4法案が下院で可決され、7月1日からの導入に向け大きく前進した。
土地収用法、労働法の改正といった大型の改革は、上記3.(2)のとおり、上院で過半数を確保するまでは進めることができず、将来の課題になるとみられる。モディ政権は、州が主導して事業環境の改善に取り組むことを奨励しており、これらの課題については、当面、BJPが多数の州で政権を担っていることを強みに、各州の取り組みにゆだねるとみられる。
(2)州議会選挙
第二に、今後、2019年末までに17の州で議会選挙が予定されている。BJPが上院での議席を拡大するためには、上院に多くの議席を有し、かつ議席の伸び代が大きい州の議会選挙において勝利することが重要である。その観点から注目されるのは、カルナータカ州、マハラシュトラ州、マディヤ・プラデシュ州、アンドラ・プラデシュ州、オディシャ州、テランガナ州の6州である(図表9)。[*7]
【図表9】2019年末までに実施される州議会選挙のうち注目されるもの
任期満了時期 |
州 |
州議席 |
上院議席 |
||
総議席数 |
BJP |
総議席数 |
BJP |
||
2018年 |
カルナータカ |
224 |
40 |
12 |
4 |
2019年 |
マハラシュトラ |
288 |
122 |
19 |
5 |
マディヤ・プラデシュ |
230 |
165 |
11 |
8 |
|
アンドラ・プラデシュ |
175 |
9 |
11 |
1 |
|
オディシャ |
147 |
10 |
10 |
0 |
|
テランガナ |
119 |
5 |
7 |
0 |
(出所:各州議会ウェブサイト等から筆者作成)
BJPは、上院での議席を拡大し、また、2019年の下院選挙での勝利を盤石にすべく、上記3.(3)のとおり今回の選挙後に発表された「新たなるインド」実現を選挙スローガンとして、特に上記6州の選挙対策に注力すると予想される。
(3)ヒンドゥー民族主義の強調
第三に、ヒンドゥー民族主義を強調する政策が実施され、モディ政権の政治運営と州議会選挙に影響が及ぶ可能性がある。
今回の選挙後、BJPはUP州の首相にBJPの下院議員であるヨギ・アディティナート氏(44歳)を任命した。同氏は、高名なヒンドゥー寺院の首席僧侶で、急進的なヒンドゥー民族主義団体「ユワ・ワヒニ」の創設者であり、ヒンドゥー民族主義の強硬な信奉者として知られる。保守的なヒンドゥー主義者の間ではカリスマ的な人気がある一方、イスラム教徒やキリスト教徒に対する差別的な発言が多く、批判の多い人物でもある。このような宗派対立を引き起こす可能性のある人物を任命することは、雇用と経済開発を優先課題とするモディ首相の路線とは一致せず、驚きの決定であった。モディ首相とアミット・シャーBJP総裁と近い関係にあること、汚職と無縁であること、政治的実力の高さが考慮されたとみられる。同氏は、牛肉の食用禁止などヒンドゥー民族主義に基づく政策をとる可能性があり、そうなればUP州においてイスラム教徒からの反発が強まることが予想される。
モディ政権は、雇用と経済開発を優先課題とし、今回の選挙でも、上記3.(3)のとおり、カースト政治を克服する可能性を示したが、アディティナート氏のUP州の首相任命のように、宗派性の強い決定を行うなど、ヒンドゥー民族主義を強調した政策がとられれば、モディ政権の政治運営と選挙に影響が及ぶ可能性がある。
以上
[*1] 拙稿「インド現地レポート 「高額紙幣の廃止」のナゼがわかる、モディ首相の戦略」(Forbes Japanオンライン版、2016年12月20日、http://forbesjapan.com/articles/detail/14618)参照。
[*2] モディ首相の支持率は、2017年1月27日付India Todayによれば69%、2016年9月20日付Pew Research Center調査によれば81%。
[*3] 前掲注1および拙稿「『巨象』は目覚めるか 中国を追うインドの挑戦」(読売新聞オンライン版、2016年9月30日、http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20160921-OYT8T50067.html?seq=01)参照。
[*5] 勝利演説の動画(ヒンディー語、35分)は以下のリンクで閲覧できる。https://www.youtube.com/watch?v=OuHib8NCJdQ&feature=youtu.be
[*6] Amy Kazmin (March 31, 2017). Modi magic sweeps Congress party to India’s political fringe. The Financial Times. Retrieved from https://www.ft.com/content/cc449b26-08dc-11e7-97d1-5e720a26771b
[*7] 他に上院に多くの議席を有する州として、グジャラート州(11議席)、ラジャスタン州(10議席)、ハリヤナ州(5議席)、チャッティスガル州(5議席)があるが、これらの州ではBJPが州議会および上院ですでに多くの議席を確保しており、州議会選挙で勝利しても大きく議席を伸ばすことができない。
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