デイリー・アップデート

2024年8月2日 (金)

[英国] イングランド銀行は8月1日、政策金利を0.25%pt引き下げて5%にすることを決定した。9人の政策委員のうち、5人(利下げ支持)対4人(据え置き支持)の僅差で、利下げが決定された。6月の消費者物価指数は前年同月比+2.0%と、5月から2か月連続で中銀目標の2%に一致した。中銀見通しでは、2024年後半に物価上昇率は拡大するものの、2025年には2%を下回ると予想されている。また、ベイリー中銀総裁は、引き続き会合ごとに判断する姿勢を示した。

[アルゼンチン] アルゼンチンでは2024年中のPAIS税(社会的包摂の促進と資金調達のための外貨購入に係る税)の撤廃などが計画されてはいるものの、外貨準備金の蓄積、インフレ率の低下、対外債務の再編などの進展が必要であり、資本規制の完全撤廃までは障壁が多い。

[ナイジェリア] 8月1日、事前予告どおり、若者らを中心とする全国規模の抗議デモが開始された。若者らは「End Bad Governance(悪い統治を終わらせろ)」というハッシュタグを用いてソーシャルメディアを通じてデモへの参加を呼びかけており、燃料補助金を廃止した影響によりインフレ高騰を招いた現ボラ・ティヌブ政権に対する抗議を行っている。抗議活動は北部の主要都市カノ、首都アブジャ、最大都市ラゴス等にも広がっており、治安当局との衝突により7名が死亡したとの報道もある。ナイジェリアでは2020年に特殊警察組織の解体を要求する抗議デモが発生し、50人以上が死亡していることから、今後のデモ拡大に注視が必要だ。

[米国] 7月31日シカゴで開催された全米黒人ジャーナリスト協会(NABJ)年次総会のイベントにトランプ前大統領が出席し、3人の黒人女性ジャーナリストの取材を受けた。トランプ氏はハリス副大統領の人種的アイデンティティを巡り、「今までインド系であると訴えていたのに突然黒人になった」と発言し、各方面に波紋が広がっている。トランプ氏が2020年大統領選挙で再選に失敗した要因の1つが、黒人票が大挙バイデン氏に流れたためであり、黒人票の「トランプ離れ」のリスクが浮上している。

[メキシコ] メキシコ最大のコンビニエンスストアチェーンを運営するフェムサ社は、先週末、麻薬組織への対応でコンビニOxxo全店舗とガソリンスタンド7か所を閉鎖すると発表した。麻薬組織により特定の商品の販売、流通、価格をコントロールしようとする動きが強まっており、大手企業でさえも打撃を受けている。かつて、その被害は中小企業に集中し、経営者が誘拐され、金銭を要求されるなどしていた。フェムサはラテンアメリカ最大のソフトドリンクボトリング会社であり、メキシコ証券取引所に上場している企業だ。麻薬組織はメキシコ経済の一部を歪め、誰が製品をいくらで販売できるかを決めており、その見返りとして、販売者に売上収益の一定割合をカルテルに渡すよう要求していると見られており、活動範囲が拡大している。

[ベトナム] 改正通信法が2024年1月に施行されたことで、データセンターへの投資の機運が高まっている。ドイツの調査会社であるStatistaによれば、ベトナムのデータセンター市場の収益は2024年に18.3億ドル、2028年までには24億ドルに達すると予想されている。データセンターへの投資は土地不足、高い電力料金、制約の多い規制のために、香港やシンガポールから隣国にシフトしており、その中でもマレーシアとタイが最もホットな代替国となっている中、ベトナムもこの2国に次いで魅力的な国として位置づけられている。

[米国] 8月1日、上院は800億ドル規模と目される減税法案を採決にかけたものの、賛成48票、反対44票で、可決に必要な60票には至らなかった。法案は2024年1月に下院を通過したもので、企業の研究開発費用の即時損金処理や児童税額控除の拡大が盛り込まれていた。採決はほぼ党派に沿って割れ、主に賛成派を構成した民主党側は、共和党の主張する家計支援は口先だけのことであると批判した。連邦議会はこれによって実質的に夏季休会に入り、審議再開は9月9日の予定となっている。

[米国/ロシア] 欧米とロシアなどで拘束されていた計26人の大規模な身柄交換が8月1日、首都アンカラで実施された。ロシアでスパイ罪に問われ、7月に禁錮16年の有罪判決を受けた米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の米国人記者エバン・ゲルシコビッチ氏(32)らが釈放された。今回の身柄交換にはトルコ政府が関わっていた。

[英国] 7月29日にイングランド北西部サウスポートで発生したナイフ殺傷事件に対する抗議活動が英国各地に広がり激化した。8月1日の記者会見でスターマー首相は、情報収集を最大限に強化して扇動者を特定することや、暴動鎮圧部隊の設置を発表し、また偽情報を取り締まる責任があるソーシャルメディア企業の経営陣に対応を要請した。

[イスラエル/パレスチナ] イスラエル軍は、7月13日にガザ南部ハーン・ユニスに対して行った空爆で、生死が不明とされていたハマスの軍事部門カッサーム旅団のトップのムハンマド・デイフ氏の死亡を確認したと発表した。同空爆は避難民が集まるエリアが対象だったため、民間人を含む90人以上が殺害され、300人以上の負傷者が出た。イスラエルのガラント国防相は、ハマスが壊滅しつつあることを示していると発言。デイフ氏はハマス創設初期からのメンバーで、イスラエル軍は彼に対する暗殺未遂を過去に繰り返してきた。

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