デイリー・アップデート

2024年8月9日 (金)

[フィリピン] 8月8日、フィリピン統計庁(PSA)が発表した第2四半期(4~6月)の実質国内総生産(GDP)成長率(速報値)は、前年同期比+6.3%と、第1四半期(改定値)の+5.8%から加速した。高金利が続き、インフレが高水準を維持しているが、マニラ首都圏の鉄道事業などの大規模インフラ整備事業への公共投資がけん引し、個人消費は堅調さを維持した。2024年通年の実質GDP成長率の政府目標は+6.0~7.0%だが、1~6月の平均では前年同期比+6.0%にとどまっている。

[メキシコ] メキシコ銀行は、予想通り政策金利を25bp引き下げ10.75%とすることを決定し、利下げサイクルを再開した。7月の消費者物価指数は前年比5.6%増と上昇したものの、コア指数が低下したことや、9月にAMLO大統領の改革や、米国の利下げ開始が確認されれば、次回会合でも利下げを継続する可能性がある。

[WHO/コンゴ民主共和国] 8月7日、世界保健機構(WHO)はコンゴ民主共和国(DRC)で拡大するエムポックス(旧サル痘)の感染が、アフリカ内外でさらに拡大する可能性があるとして、各専門家で構成される緊急委員会を招集すると発表した。WHOによると現在DRCで感染拡大している新型のクレードⅠb型は、2022年に世界的に流行したクレードⅡ型よりも感染力、重症化リスクが高く、感染者の約9割を占める同国では2024年に入ってから14,000人以上の感染症例と511人の死亡が報告されている。エムポックスの感染経路は主として感染した人や動物との血液等との接触であり、天然痘ワクチンによって約85%発症予防効果があるとのこと。

[お休みのお知らせ] 2024年8月13日~8月16日のデイリーアップデートはお休み致します。

[米国] 市場は徐々に安定を取り戻しつつあり、激動の1週間が終わろうとしている。変動前に15%前後で推移していた恐怖指数とも言われるVIXは、市場のロスカット注文を巻き込みながら、一時60%以上へと急騰したが足下では22.5%まで低下している。大きく変動したドル円の30日間のヒストリカルボラティリティが13%ほどで比較すると如何に株式市場の変動が大きかったかを物語っている。こうした喧騒の中で、一見静寂を保っているように見える原油は、イランとイスラエルの緊張が高まるなかで、価格を切り上げ、ボラティリティもまた静かな足取りになるが24年2月以来となる30%へと水準を切り上げている。12月満期のWTI原油100ドルコールオプションの建玉残は5月末の18933ロットから足下では32273ロットまで増加している。原油市場の参加者が株価や通貨の変動の脇で、アップサイドリスクを警戒している様子がうかがえる。

[EU] フォンデアライエン欧州委員会委員長が再選されたことから、現在のEU加盟国が8月30日の期限を前に、次々と次期委員会の委員候補を発表している。新委員は、まず、フォンデアライエン委員長が面談をしたうえで担当分野を振り分け、10月の欧州議会本会議投票の単純多数決をもって承認される。新委員会は11月1日が予定されている。

[ドイツ/中国] 過去8年連続で、ドイツにとって最大の貿易相手国は中国だったが、ドイツ商工会議所の見立てでは、今年上半期は米国が中国を上回る見込み。今年上半期、ドイツの対米輸出は3.3%増の810億ユーロだったのに対し、対中輸出は約3%減の480憶ユーロだった。また、中国からの輸入は約8%減の735億ユーロだったのに対し、米国からは液化天然ガスなどに支えられ、3.4%減の461憶ユーロだった。ドイツの景気低迷が輸入減少につながっており、また中国サプライヤーへの依存を下げようとする努力も影響した。ただし、米国が長期的に最大の貿易相手国の地位を取り戻せるかは不透明だとしている。

[バングラデシュ] 8月8日、ノーベル賞受賞者のムハマド・ユヌス氏がパリから帰国し、同氏を「首席顧問」とする暫定政権が発足した。ハシナ政権崩壊から3日後の発足となる。ユヌス氏は就任式に先立って会見し、「暴力と混乱は進歩の最大の妨げとなる。法と秩序の回復が優先事項だ」と述べ、治安の安定化に最優先で取り組む姿勢を強調した。米国務省報道官は、「暫定政権はバングラデシュの長期的な平和と政治的安定を確立する上で重要な役割を果たすと考えている」「暫定政府が下すいかなる決定も、民主主義の原則、法の支配、バングラデシュ国民の意思を尊重すべき」「暫定政権とはコミュニケーションをとっている」と述べた。

[イスラエル/パレスチナ] 8月5日にイスラエルのスモトリッチ財務相が「人質を解放するために200万人を飢えさせることが正当かつ道徳的であったとしても、世界中の誰もそれを許さないだろう」と発言したことに対し、民間人を故意に飢えさせることを正当化するような発言であるとして、世界各国から非難の声が出ている。同氏は、自分の発言が文脈を無視して取り上げられ誤解されていると主張。パレスチナ自治政府外務省は、国際刑事裁判所(ICC)に同氏に対する逮捕状を発行するよう求めた。

[米国] 8月8日、米ABCテレビは、ハリス副大統領とトランプ元大統領の両者が、9月10日に大統領候補者テレビ討論会に参加することで合意したと発表した。ABCテレビが討論会を主催し、6月に実施された討論会同様、会場には聴衆を入れずに行われる見込み。当初はバイデン大統領が6月と9月に、トランプ元大統領との討論に臨む予定であったが、6月27日の討論会でのパフォーマンスが振るわず、その後、大統領選から撤退。9月の討論会が予定通り開催されるか否かが注目されていた。

[ロシア] 8月8日、プーチン大統領はビットコイン(BTC)および仮想通貨のマイニングを合法化する法律を承認した。同法律は今年11月に施行され、認可されたマイニング企業は国のデータベースを通じて登録し、仮想通貨のマイニングを行うことができる。小規模な個人マイナーも、エネルギー消費が一定の閾値を下回る場合には公式登録なしで、デジタル通貨をマイニングすることが可能となる。

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