デイリー・アップデート

2024年8月5日 (月)

[モザンビーク] 8月1日、モザンビーク国家情報局(AIM)は、改正電力法案が国会で承認されたと報じた。今回の改正は、海外の投資家らが同国で電力・エネルギープロジェクトを進める際の紛争調停プロセスを国際ルールに沿って行うことに焦点があてられた。改正前は政府とコンセッション契約を締結する企業との間で紛争が発生した場合の調停開催地は首都マプト、使用言語はポルトガル語に限定されていたが、改正後は当事者の合意に基づき、開催地と言語を自由に選択できる(ただし、ポルトガル語翻訳は必要)とのこと。現在進行中のプロジェクトも改正電力法の対象となるとみられる。

[米国] 労働省の雇用統計によると、7月の非農業部門雇用者数は前月比+11.4万人と増加した。しかし、市場予想(17~19万人増)を下回った。また、失業率は4.3%となり、6月(4.1%)から横ばいと見ていた市場予想を上回った。調査期間中にハリケーンがテキサス州に上陸した影響もあったとみられるものの、市場では雇用環境の悪化との受けとめが広がり、9月に0.5%利下げが見込まれるなど、利下げ観測がさらに強まった。

[ベネズエラ] 大統領選をめぐる不正疑惑や選挙後の混乱により、マドゥロ政権における債務再編は難しくなった。ベネズエラの国債は2017年以来、実質的にデフォルト状態にあるが、2023年に米国がベネズエラ国債の取引禁止を解除するなど債務再編への期待が一部で出てきていたが、国際社会からもより孤立を深め、資金調達への道も遠のいたとみられる。

[米国] インターネットは仮想空間を生み出すが、物理的なインフラに根ざし存在している。世界のデータトラフィックについて、今後衛星の利用が進むともみられているが、費用の問題もあり、その99%以上は海底ケーブルを経由している。世界の金融取引はインターネット経由で行われていることから、1日10兆ドルともいわれる金融取引がこのデータトラフィックに含まれていることになる。海底ケーブルは、災害や事故、または意図的な攻撃によって損傷を受ける可能性がある。意図的な攻撃については、オリンピック期間中にフランスの鉄道で発生した問題に似ている。つまり、誰かがこのリンクを妨害すると通信は停滞する。対策はあるが容易ではない。安全保障問題に発展すると、インターネット利用料は一段とかさみ、この分野にすでに多額の投資をしている企業の強い抵抗に直面することにもなる。また大きな課題として、大洋横断ケーブルのうち14本は米国と中国が共同所有しているとみられていることが、専門家に指摘されている。

[バングラデシュ] 公務員のクオータ制に対する抗議デモは7月21日の最高裁判決後、いったん沈静化していたようにみえたが、8月2日頃から再び大規模な反政府デモや集会が行われるようになった。抗議者は国民に対し全ての政府の活動に対する「非協力運動」を呼びかけ、ハシナ首相の退陣も要求している。8月4日には各地で当局との衝突が相次ぎ、地元メディアは少なくとも95人が死亡したと報じた。ハシナ首相は、今、破壊活動をしているのはテロリストだと述べ、強硬な姿勢を示している。政府は4日午後6時から全土で無期限の外出禁止令を出した。インターネットやSNSも再び遮断されたと報じられている。

[イスラエル/パレスチナ] 7月30日にイスラエル軍によってベイルート郊外で殺害されたヒズボラの上級司令官と、その翌日にテヘランで殺害されたハマスのハニーヤ政治局長の葬儀がそれぞれの場所で執り行われた。ヒズボラもイランもイスラエルに対する報復を誓っており、一部報道によると8月5日にも報復攻撃が実施されるのではないかと憶測が出ている。週末にもイスラエル軍によるガザ攻撃やイスラエルとヒズボラの攻撃の応酬、アデン湾での商船に対する攻撃が発生しており、中東地域における高い緊張状態が続いている。

[米国] 民主党全国党大会に派遣される代議員らによるオンライン投票が8月1日から5日まで行われている中、ハリス副大統領は8月2日に民主党大統領候補指名に必要な過半数の代議員を獲得し、同党の大統領候補に指名されることとなった。また同日、ハリス陣営は、オバマ元大統領の二度の大統領選挙での勝利に尽力したプローフ元選対本部長ら元選挙参謀らがハリス陣営に参画することを発表し、11月5日の投票まで100日足らずとなる中、選挙態勢の強化を図っている。

[日本/中央アジア] 岸田首相は8月9~12日の日程で中央アジアのカザフスタンなどを訪問する予定である。カザフスタンの首都アスタナでは、中央アジア5か国との首脳会合に臨み、脱炭素、インフラ整備、人材育成に渡る3分野を柱とした新たな協力枠組みの創設を表明するとみられる。また、日本はロシアを経由せずに中央アジアと欧州をつなぐ輸送路「カスピ海ルート」や国際空港の整備などを支援することになっている。

[EU] 7月のベネズエラ大統領選挙でマドゥロ氏勝利が発表されたことに対して、ボレルEU上級代表は個人として、同国大統領選挙結果の公式記録の公表とその検証を要求した。ハンガリーの反対があったことから、EU全体としての声明文は出されていないが、EU加盟国のうち7か国は、大統領選挙後のベネズエラの情勢について重大な懸念を表明した。

[日本/中国] 8月2日、上川外相は記者会見で、7月26日にラオスで行われた日中外相会談の中国側発表文書が、上川氏の発言を中国の立場に近い内容に書き換えていたと発言した。日本側は水面下で中国に申し入れを行ったが正式には抗議していない。EUのボレル外務・安全保障政策上級代表も、7月26日に王毅外相と会談を行った後に中国側が発表した要約文に異議を唱え、EUのホームページは中国語と英語で会談要約を掲載した(パレスチナ和平に関する「北京宣言」について、中国側ではボレル上級代表が「祝福する」と述べたとなっていたが、同氏はそのような発言していないと否定した)。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

20人が「いいね!」と言っています。
<  2024年8月  
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31