デイリー・アップデート

2024年8月27日 (火)

[ブラジル] サンパウロ州で8月22日頃から大規模な山火事が発生。高温乾燥が火災リスクを高め、突風が森林火災を急拡大した。週末には広い地域で煙が空を覆い、視界不良で高速道路の封鎖や航空便のキャンセルも発生。農地の焼失、熱と煙による家畜の死亡、学校休校、サッカーの試合中止など幅広い影響が出ている。世界有数のサトウキビ加工会社Raizenは22日に工場周辺の畑で発生した火災で従業員を避難させたため、数日間工場の操業を停止。26日にはサトウキビ畑に放火した疑いで4人が逮捕された。サンパウロ州知事は火災による農作物への被害を10億レアル(約1億8,200万ドル)と推定。ブラジルは世界最大の砂糖輸出国であり、2年ぶり安値圏で低迷していたNY粗糖先物相場は急伸している。

[バングラデシュ] 8月25日、バングラデシュ銀行(中央銀行)は、政策金利を0.5pt引き上げ9%とした。2024年に入り、政策金利は1月に0.25pt、5月に0.5pt引き上げられており、今回が3度目の利上げだった。引き上げは、インフレ圧力が高まっていることが背景にある。7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+11.7%と前月の+9.7%上回った。また、2023/24年度の前年度比+9.73%、2010/11年度(+11.4%)以来の高水準となっている。

[ドイツ] Ifo経済研究所によると、8月の企業景況感指数(2015年=100)は86.6だった。7月(87.0)から低下した。低下は3か月連続だった。内訳をみると、足元の状態を表す現況指数は86.8と、2か月連続で低下、先行きを表す期待指数も86.8であり、3か月連続で低下した。Ifoのフュースト所長は「ドイツ経済がさらに危機に陥りつつある」と総括した。この結果を踏まえると、ドイツ経済は2024年第2四半期に続き、第3四半期もマイナス成長になる恐れがある。

[米国/ロシア] 8月26日にロシアがウクライナに対して大規模な空爆を行ったことに対して、ホワイトハウスはロシアを強く非難し、ウクライナの防空能力強化を支援する姿勢を改めて強調した。ウクライナは、長距離射程兵器の使用に関する制限を緩和するよう、西側諸国に求めていることに対して、ホワイトハウスの補佐官は、従来の方針に変わりはない、と発言した。ロシアがエネルギー施設への攻撃を強化していることに対しては、防空能力のみならず、エネルギー供給網の多様化などを図る必要があるとも述べた。

[アルゼンチン] 8月22日、アルゼンチン議会上下両院は年金改正法案をそれぞれ圧倒的賛成多数で可決した。同国ではインフレが三桁に達しているが、年金改正法案はインフレに連動させる規定となっており、対GDP比1.2%の歳出増大となる。厳格な財政規律を導入しようとしているミレイ大統領は大統領拒否権を発動する意向であるが、上下両院で3分の2の支持を確保して大統領拒否権が覆される可能性が高く、今後議会との関係悪化は不可避とみられる。

[米国] 米国の研究者によると、1999年から2023年までの期間で、暑さが原因となった死者は2万1,518人に上った。特に熱中症による死者は2016年以降で毎年16.8%のペースで増加しており、今後も増加すると警告している。健康維持には冷房利用が大切となるがエネルギー費用が高く、支払い困難な家庭が増えているとも指摘されている。ある大学は全米の16%の世帯が「エネルギー貧困」に陥っているのと調査結果を公表している。これまでは寒冷を避け、暖房効率を高めることが住宅に求める重要な機能だったが気温上昇でむしろアダとなってしまった。

[フランス] 6月~7月の国民議会選挙後からオリンピック閉幕を経ても新政権発足が遅れているフランスで、8月23日と26日に、マクロン大統領が各政党幹部らと首相任命に関する会談を行った。しかし大統領府は、8月26日に会談での結論が出なかったことから協議を継続することを発表した。

[カナダ/中国] 8月26日、カナダ政府は米国と欧州連合(EU)に続き、中国製電気自動車(EV)の輸入に100%の関税を課すと発表した。また、中国からの鉄鋼とアルミニウムにも25%の関税を課すと発表した。関税は10月1日から課される。関税は中国から出荷される全てのEVに適用され、テスラ製も含まれるとしている。トルドー首相は、中国の意図的で国家主義的な過剰生産政策に対抗するために行動していると語った。ロイターによれば、テスラはカナダに、モデル3のコンパクトセダンとモデルYのクロスオーバーモデルを上海から輸出している。

[インドネシア] 8月25日、2月の国会議員選挙(定数580)での各政党の獲得議席数が発表された。最大与党の闘争民主党が第1党の座を維持し、ゴルカル党、グリンドラ党が続いた。闘争民主党はプラボウォ次期大統領への支持を表明しておらず、最大野党に転じる可能性がある。2月の大統領選でプラボウォ次期大統領を擁立したゴルカル党、グリンドラ党、国民信託党、民主党は計280議席を獲得しており、大統領選挙後に支持を表明した3党を含めると、プラボウォ次期政権を支持する政党の議席数は470(全体の81%)に上る。

[イスラエル] 8月26日、イスラエルのベン・グビール国家安全保障相(極右政党「ユダヤの力」党首)が、ユダヤ教徒も「神殿の丘(エルサレム旧市街内のアルアクサー・モスクがある敷地)」での祈祷を許されるべきであり、同地にシナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)を建設することに賛成するとラジオのインタビューで発言し、国内外から非難を浴びている。同地はイスラム教第3の聖地で、同敷地内ではイスラム教徒のみが祈祷することが許されており、ユダヤ教徒やキリスト教徒は同地を訪問できるが祈祷行為などは禁止されている。

[ウクライナ/ロシア] 8月26日、ロシア軍はウクライナ各地に大規模攻撃を実施した。ミサイル100発以上と無人機約100機が発射され、ゼレンスキー大統領は、「エネルギー部門に大きな被害が出た」と述べた。各地で停電や断水が発生した。地元メディアによると、少なくとも5人が死亡した。

[スペイン/西アフリカ] スペインのサンチェス首相は、8月27~29日の日程で、西アフリカのモーリタニア、ガンビア、セネガルを公式訪問する。サンチェス首相のモーリタニア訪問は、アフリカ諸国からの欧州への不法移民対策支援のためにフォン・デア・ライエン欧州委員長と共に訪れた今年2月以来となる。西アフリカから主にスペイン領・カナリア諸島を経由する「西アフリカルート」で欧州に入国する不法移民は、2023年だけで4万人を超え、前年比+160%と急増していることから、不法移民対策に向け3か国と協議を行うとみられる。2024年に入り、クーデターによる軍事政権下で政情不安を抱えるマリからの不法移民が急増している。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

20人が「いいね!」と言っています。
<  2024年8月  >
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31