デイリー・アップデート

2024年8月28日 (水)

[中国/メキシコ/米国] 中国の製造業がメキシコ進出を加速しており、特に電気自動車(EV)分野でその動きが顕著である。世界有数の中国のEVメーカーである比亜迪(BYD)は、メキシコに大規模な製造工場を建設する計画を進めており、現在その最終段階にある。しかし、米国は、中国製品が米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)を利用し、メキシコを経由することで関税を回避しながら米国市場に輸出される可能性があることを強く懸念している。このような懸念から、米国は2024年7月にメキシコ経由で輸入される中国産の鉄鋼とアルミニウムに対して追加関税を課し、これらの製品が米国市場に低価格で流入するのを防ぐ措置を講じた。

[ドイツ] 連邦統計庁によると、2024年第2四半期の実質GDP成長率は前期比▲0.1%と改定された。速報値と同じだった。内訳をみると、個人消費(▲0.2%)と設備投資(▲2.2%)の減速が特に成長率を押し下げた。ともに2023年から減速傾向が続いており、回復の兆しは見えていない。輸出も2四半期ぶりにマイナスになり、内外需ともに振るわなかったことで、ドイツ経済のけん引役は不在だったと言える。

[ナイジェリア] 8月26日、国家統計局(NBS)は、2024年第2四半期の実質GDP成長率は前年同期比で+3.19%と発表した。第1四半期の+2.51%を上回った。成長をけん引したのはサービス業で、前年同期比+3.79%に成長となったほか、第2四半期の1日の平均原油生産量は141万バレル/日で、前年同期比の122万バレル/日を上回り、石油部門もプラス成長となった。国際通貨基金(IMF)は7月、2024年の実質GDP成長率は+3.1%との予測を示している。通貨切り下げと燃料補助金削減により、ナイジェリアでは+30%台のインフレが続いているが、2024年7月のインフレ率は+33.4%で19か月ぶりに減少に転じた。9月に行われる金融政策委員会で利下げが行われるとの見方が広まっている。

[ベトナム] 8月26日、ブイ・バン・クオン国会事務局長が記者会見で、10月に開会する次期定例国会で新たな国家主席を選出すると発表した。国家主席は現在、トー・ラム党書記長が兼務している。また、国会が臨時会を開き、3人の副首相、最高人民裁判所長官、最高人民検察院長官、天然資源・環境相、法相を新たに選出した。

[イスラエル] 8月27日、イスラエル軍はガザ南部における軍事作戦で、2024年10月7日にイスラエル南部からガザに連れ去られた人質の1人を救出したことを発表した。救出されたのは、イスラエル南部在住のアラブ系の52歳の男性。健康状態に問題はなく、検査のため病院に搬送された。10月7日にイスラエルから連れ去られ今もガザに囚われている人質は残り104人で、うち34人は既に死亡しているとみられている。10月7日以降のイスラエルによるガザ攻撃で死亡したパレスチナ人は4万人を超え、負傷者は9万3千人を超える。

[米国] 9月10日にフィラデルフィアで、ハリス副大統領とトランプ前大統領との初対決となる大統領候補テレビ討論会が予定されている。ハリス、トランプ両陣営はテレビ討論会のフォーマットを巡り対立しており、ハリス陣営はテレビ討論会中に相手候補が話しているときは話す順番ではないもう1人の候補のマイクロフォンをオンにしたままにすべき、としているのに対し、トランプ陣営はオフにしてミュートにすべきとそれぞれ主張している。政策論争という点からもテレビ討論会は非常に重要となる。

[ウクライナ/インド] 8月23日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、首都キーウでインドのモディ首相と会談した。モディ氏がウクライナを訪問するのは、ロシアによる侵攻が始まった2022年2月以降で初めて。両首脳はウクライナの和平実現や、インドとウクライナの関係強化について協議した。モディ首相はその後、8月26日にバイデン米大統領、27日にロシアのプーチン大統領と相次ぎ電話会談し、ロシアが侵攻を続けるウクライナ情勢などについて意見交換した。

[英国] 8月27日にスターマー首相が、イギリスの現状と今後の見通しに関する演説を行った。14年間の保守党政権時に生み出された財政と社会の「ブラックホール」を根絶して社会を立て直すためには、短期の「痛みを伴う」政策の適用が必要と発表した。

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