デイリー・アップデート

2024年8月20日 (火)

[米国/イラン] 8月18日、有力共和党下院議員の1人である米議会下院情報特別委員会のマイケル・ターナー委員長は、米テレビネットワーク大手CBS Newsの日曜政治討論番組「Face the Nation」に出演し、年末までにイランは核兵器保有国であることを宣言する可能性があるとの見解を示した。ターナー委員長はトランプ前政権下での対イラン政策である経済・軍事両面での「最大限の圧力キャンペーン」を高く評価する一方、バイデン政権の対イラン政策を厳しく非難した。

[タイ] 8月19日、国家経済社会開発委員会(NESDC)が発表した第2四半期の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比+2.3%と、前期の+1.6%(改定値)から加速した。業種別に見ると、農業が▲0.1%だった一方、非農業は+2.4%と拡大した。工業は+0.5%と、前期の▲0.7%からプラスに転じた。サービスは+1.8%となり、前期の+2.2%から減速した。

[チリ] 第2四半期の国内総生産(GDP)は、前年同期比では+1.6%の拡大となったものの、前期比では▲0.6%となり、1年ぶりにマイナスを記録した。中央銀行は、7月、緩和サイクルを一時停止していたが、今回のデータは利下げの再開を後押しするものになると考えられる。

[アフリカ連合(AU)] 8月16日、AUと国連アフリカ委員会(UNECA)は「アフリカソブリン債格付けレビュー・2024年中間見通し」を発表した。同レポートによると、2024年上半期にはアフリカ8か国のソブリン債格付けの見通しが「ネガティブから安定的」、もしくは「安定的からポジティブ」に引き上げられており、アフリカ経済の見通しが楽観的になっていることを反映したとしている。また、2023年にはサブサハラ・アフリカでソブリン債を発行した国はなかったが、2024年前半は4か国が国際金融市場に復帰し、計57億ドルのユーロ債が発行されたと公表。他方で、ソブリン債の利回りは7~10%と高い水準で高止まりしており、イールドカーブ上昇の理由は借入資金の半分以上が債務返済に充当されているためだと指摘した。

[米国] 米国の全米トラック運転手労組(チームスターズ労組、IBT)は、ハリス副大統領を迎え、組合員との対話の場を設ける方針であることを発表した。IBTは組合員数約130万人の有力な労組の一つだが、ハリス副大統領に対する支持表明はまだ行っていない。従来、労働組合は米民主党の重要な支持基盤だが、共和党のトランプ陣営は労働者票の獲得を狙い、労組への働きかけを強めている。米国の主要労組が早々にハリス氏支持を打ち出しており、IBTによる支持表明も時間の問題とみられているが、ハリス陣営との駆け引きが注目されている。

[フランス] 6月、7月に実施された国民議会選挙後、オリンピック開催を理由に首相任命を回避していたマクロン大統領に対し、「不屈のフランス」のメランション党首らが大統領弾劾プロセスの検討開始を表明した。「不屈のフランス」などで構成される新人民戦線(左派・中道左派連合)の推薦する首相候補をマクロン大統領が暗に拒否したことに対する反発とみられる。

[韓国] 8月18日、韓国最大野党の「共に民主党」の党大会がソウル市内で開催され、元代表の李在明(イ・ジェミョン)氏が過去最高の得票率(85.4%)で代表に再選された。与党「国民の力」は7月に韓東勲(ハン・ドンフン)前法相を代表として選出しており、8月19日、両党は25日に党首会談を開催すると発表した。具体的な議題や同席者は調整中だが、野党「共に民主党」は、尹大統領が拒否権を行使した特別検察官任命法案や国民への商品券支給を議題としたいのに対し、与党「国民の力」は政争で疎かになっている国民生活に関する問題を中心にすべきだと主張している。

[ベトナム] 8月18日からトー・ラム国家主席(ベトナム共産党書記長を兼任)が中国を訪問し、19日、北京で習近平国家主席(中国共産党総書記)と会談した。習主席はラム主席が党書記長就任後初めての外遊先として中国を選んだことを「両党間と両国間の関係を非常に重視していることの表れ」とした。中越の運命共同体の構築を推進し、相互の政治的信頼を高め、安全保障等の協力を強化する必要性を強調した。経済面では、鉄道、高速道路、港湾といったハードインフラの建設での協力とともに、税関等のソフトインフラの接続を強化し、安定したサプライチェーンの構築で連携すべきとした。ラム主席は、中国との関係の発展は党と政府の一貫した立場であり、ベトナム外交の最優先事項であると強調。包括的な戦略的パートナシップを深化させ、運命共同体の構築の促進を目標とした。安全保障や貿易など幅広い分野での協力推進や両国間の国境インフラの接続等への意欲を示した。

[イスラエル/パレスチナ] 8月18日夜、テルアビブ南部の路上で自爆テロが発生し、テロの実行犯が死亡、通行人1人が負傷する事件が発生した。翌19日に、ガザのイスラム主義組織ハマスが「イスラム聖戦」とともに実行した「殉教作戦」であるとの声明を発表した。近くの監視カメラなどに、爆弾を詰めたバックパックを背負って歩く50代の男の姿が映されている。声明で、「占領軍の虐殺と暗殺政策が続く限り、イスラエル国内での自爆攻撃を再開する」と主張。イスラエル国内での自爆テロは1990年代から2000年代にかけて頻発した。

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