デイリー・アップデート

2024年8月29日 (木)

[ブラジル] ブラジル政府は自動車部門の脱炭素化を促進する「Mover計画」を開始した。2028年までの5年間のプログラムで、自動車メーカーは二酸化炭素排出量削減への投資に対しての優遇措置を受けることができる。近年、自動車生産台数は大きく減少しているが、同部門の業績復活に役立つと期待されている。

[コンゴ民主共和国(DRC)/日本/欧州委員会] 8月27日、DRCの政府関係者が日本政府に対して200万回分のエムポックス(旧サル痘)ワクチンの提供を要請したと報じられている。同ワクチンについては、日本国内ではKMバイオロジックス社が製造するLC16ワクチンが、2022年に厚生労働省の効能追加承認を得ている。アフリカ疾病予防管理センター(アフリカCDC)によると8月26日時点でエムポックスの感染症例はアフリカ13か国で22,863人、死者は622人に上っており、感染拡大の中心地であるDRC向けの対策が急務となっている。欧州委員会もバイエルン・ノルディック社製のワクチン約21万回分をアフリカCDCに配布すると発表している。

[日本] 日本銀行『貸出約定平均金利の推移』によると、7月の国内銀行の新規貸出金利は0.794%と、6月(0.881%)から低下した。内訳をみると、都市銀行(6月:0.976%→7月:0.743%)が低下した一方で、地方銀行(0.844%→0.918%)が上昇した。また、長期貸出は平均1.057%と、6月(1.111%)に続いて2か月連続で1%を上回った。3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、金利が上昇した影響が出ている。

[米国] YouGovが米国で実施した雇用とAIに関するアンケート調査によると、雇用市場が悪い状態にあるとの評価は全体の41%にのぼり、2023年夏の調査結果である同27%と比較すると悪化傾向にあることがわかる。就労している米国人のうち、27%は業務上少なくとも週1回AIツールを利用しているが、49%はまったく使っていない。また、AIの進歩により自分の業界で仕事が減少するとの回答が48%を占めており、この数字は昨年から着実に増加している。しかし、いまのところ、AIによる失業や勤務時間や給与の減少を経験したと答えたアメリカ人はわずか2%しかいないこともあって、回答者の多くは、自分自身を含め、AIの進歩により職を失ったり、勤務時間や給与が減ったりしたケースを知らない。ただし、アンケート回答者全体のうち56%は、職場でのAIの使用を政府が規制すべきと考えている。

[米国] 8月26日、故ブッシュ41代元大統領や、ブッシュ43代元大統領、故マケイン元上院議員、ロムニー上院議員といった共和党の大統領経験者や元大統領候補の元補佐官らなど合計238人の共和党員が、民主党大統領候補のハリス副大統領を支持する公開連名書簡を公表した。同書簡では、トランプ前大統領が大統領選挙で勝利して第2期トランプ政権が発足した場合、米国の民主主義は「もはや取り返しがつかないほどの危険に晒される」と重大な懸念が表明されている。

[ネパール/中国] 7月に発足したネパールの新政権は、中国の孫衛東外務次官らに対し、ネパール・ポカラの空港建設のために中国から受けた2億1,600万ドルの負債について、この融資を無償融資に転換し、(利息分の)負債を帳消しにするよう正式に要請したとニューヨーク・タイムズ紙が報じている。2023年1月の開港以来国際定期便は就航しておらず、財政見通しが明るくない上、昨年はネパールの汚職防止機関と議会委員会が空港建設に関する調査を開始していた。同紙は昨年、ネパール側の関係者に取材を行い、空港建設を請け負った中国の国有企業がプロジェクトのコストを水増しした疑惑について、建設品質を監視しようとするネパール側の担当部門を妨害したと報じていた。

[タイ] 8月27日、タイ貢献党のソラウォン幹事長が親軍政党「国民国家の力党(PPRP)」を連立から排除することを執行部に求めると述べた。16日に行われた首相指名選挙にPPRPのプラウィット党首が欠席し、タイ貢献党のペートンタン党首に投票しなかったことを理由としている。ソラウォン氏は連立政権の議席は減少するが、下院(定数500)の過半数は維持できるとし、政府の安定のために複数の野党からも支援を得る可能性を示唆した。PPRPはプラウィット党首とタンマナット幹事長の対立が表面化しており、同日、ペートンタン首相はこのために組閣が進んでいないと述べた。

[米国/中国] 8月27~28日、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は北京を訪問し、中国の王毅共産党政治局員兼外相と会談を行った。両者の会談は5度目、サリバン補佐官が中国にて会談に臨むのは初めてとなる。両者は近々、米中首脳が電話会談を行うことで合意、さらにインド太平洋地域における米中軍司令官がビデオ会議に応じることについても同意した。米国側は対中デカップリングを志向しないと述べつつも、先端技術が国家安全保障に影響を及ぼすと懸念されることから対中貿易制限を継続する姿勢。中国側は、中国の正当な国益追及を妨げるものとして反発し、米中相互の主張は平行線のままで終わったとみられる。

[英国/ドイツ/EU] 8月28日にスターマー英首相がドイツを訪問し、ショルツ独首相と会談した。イギリス政府はドイツとのビジネス、テクノロジー、開発、人材、経済、文化、貿易分野の関係強化を足掛かりにEUとの関係改善を期待しているとみられる。

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