デイリー・アップデート

2024年8月7日 (水)

[日本] 財務省が発表した「外国為替平衡操作の実施状況」によると、4月29日に5兆9,185億円の円買い・ドル売り介入が実施されていた。比較可能な1991年以降で、最大の円買い・ドル売りだった。また、5月1日にも3兆8,700億円の円買い・ドル売りが行われた。円買い・ドル売り介入は合計で9兆7,885億円。この間、対ドルの円相場は1ドル=160円台から153円台へと円高・ドル安方向に一旦動き、市場に介入の可能性を意識させた。

[ニジェール/ウクライナ/マリ] 8月6日、ニジェール暫定政府はウクライナとの外交関係を断絶すると発表した。7月下旬に隣国のマリでマリ国軍とワグネルの合同部隊とマリの反政府武装勢力との間で戦闘が発生した際に、ウクライナ国防省情報総局(GUR)が反政府勢力を支援したことを仄めかす発言を行ったことをめぐり、マリは8月4日、ウクライナとの外交断絶を発表。マリと緊密な軍事協力関係にあるニジェールもそれに追随した形だ。8月5日にウクライナ外務省はマリの決定を「近視眼的で性急だ」と非難した。今回の発表はウクライナのクレバ外相がアフリカ諸国との関係強化を目的として、マラウイ、ザンビア、モーリシャスの3か国を外遊している間に行われた。

[ベトナム] 8月3日、ベトナム共産党が臨時の中央委員会総会を開催し、党序列2位のトー・ラム国家主席を党書記長に選出した。ラム氏の国家主席退任は発表されておらず、国家主席と党書記長を兼ねるという異例の体制となる。ただ国家主席が後日新たに選出される可能性もあり、その場合、ルオン・クオン党書記局常務が有力視されている。中央委員会総会は財政金融を所管するレ・ミン・カイ副首相、ダン・クオック・カイン天然資源・環境相、クアンニン省党委員会のグエン・スアン・キー書記、トゥエンクアン省のチャウ・バン・ラム書記の4人の中央委員の辞任も承認した。辞任はいずれも党規則に違反したことが理由。カイ氏とカイン氏は近く閣僚職も辞任し、国会で両氏の後任が選出されるとみられる。

[イスラエル/パレスチナ] 8月6日、ガザのイスラム主義組織ハマスは、7月31日にイランで暗殺されたハニーヤ氏の後任の政治局長に、これまでガザ地区トップを務めてきたヤヒヤ・シンワル氏(61歳)を選出したと発表した。同氏はハマスの軍事部門創設にも携わった強硬派。80年代から何度もイスラエルに逮捕されており、2011年の囚人交換で解放された後ハマスの幹部に上り詰めた。昨年10月7日のイスラエル奇襲を計画した1人として、イスラエルは同氏を暗殺対象としている。国際刑事裁判所(ICC)は、現在ネタニヤフ首相などとともに同氏の逮捕状も請求している。

[米国/ニジェール] 8月5日、米国防総省とニジェール国防省は共同声明を発表し、ニジェールからの米軍部隊撤収が完了したことを明らかにした。2023年7月にニジェールで軍事クーデターが発生して以来、米国はニジェール軍事政権と、現地の米軍拠点の将来について交渉してきたが、米軍の駐留継続は叶わず、撤収することとなった。米軍はニジェールにおいて2つの基地を運営し、対テロ作戦の一環として無人機偵察活動などを展開していた。ニジェールは米軍との協力関係解消を決めた直後、今年4月にはロシア軍を招き入れている。米軍は西アフリカ地域に代替拠点を設置すべく、関係国との交渉を進めている。

[米国] 8月6日、民主党大統領候補指名獲得を確実にしたハリス副大統領は大統領選挙での勝利をともに目指す副大統領候補に中西部ミネソタ州のワルツ知事を指名した。ワルツ氏は24年間に及ぶ米陸軍州兵を経て2007年から2期12年連邦下院議員に在職し、現在同州知事2期目である。ワルツ氏はミネソタ州の地方の共和党支持が強固な地域でも支持を獲得して下院議員選挙や知事選挙で勝利しており、中西部諸州での勝利を狙う副大統領候補指名である。

[EU/ウクライナ] EUがウクライナに対して、ウクライナ・ファシリティを通じて約42億ユーロの支援を行うことを発表した。ウクライナ・ファシリティは2424年から2027年にかけて年間120億ユーロ程度(総額500億ユーロ)を支援し、ウクライナの復興、再建、近代化を後押しする。

[中国] 『環球時報』の元編集長でSNSで2500万近くのフォロワーをもつ胡錫進氏が7月下旬以降、SNSアカウントの更新が止まっており、胡氏が発信したメッセージが当局の怒りを買ったと見られている。胡氏は三中全会直前の人民日報の社説から「公有制は主軸である」という表現が消えていることを「歴史的」転換として称賛し、公有経済と非公有経済が真に平等であることを示すと書いたが、政府の意図しているところとは全く違っていたせいで検閲対象となったのではと噂されている。

[ロシア/イラン] 8月5日、ロシアのショイグ安全保障会議書記(前国防相)は訪問先のイランの首都テヘランでペゼシュキアン大統領と会談し、2国間の関係拡大に意欲を表明した。イランは、イスラエルとの戦争の可能性に備えるため、ロシアに近代的な防空システムを要請しており、ロシアは最新のレーダーと防空機器の供給を開始したと匿名を条件にイラン当局者らが語った。

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