2024年4月1日 (月)
[モザンビーク] 3月27日、モザンビーク中央銀行の金融政策委員会(CPMO)は、政策金利を16.50%から15.75%に引き下げると発表した。2024年1月に開催された前回のCPMOから二期連続の利下げとなった。中銀は金利引き下げの理由をインフレ率の安定的な見通しによるものとした。特に、為替の安定を背景に食料価格のインフレが抑制傾向にあり、2024年2月のインフレ率は2020年以来の低水準となる+4.0%に低下した。他方で、今回のCPMOでは自国通貨(メティカル)建ての預金準備率を39.0%に据え置くことが決定するなど、同国の金融流動性は極めて低い状況が続く。
[米国/英国] 米国の主要なゴミ埋立地からのメタン排出量は、報告より平均して40%多いという新しい研究が「サイエンス」誌に掲載された。温暖化効果ガスの発生源としては化石燃料が広く知られているが、生ゴミなど有機物が分解される際に、CO2の80倍以上温暖化効果につながるメタンが発生している。この研究グループは、航空測量を利用し排出量を特定した。報告以上のメタン排出でゴミ埋立地の監視が必要とされるが、長期の排出が続くなら施設削減の機会にもなり得る。世界中には無数の廃棄埋立施設があるが、米国だけでも稼働中の施設は約1,200か所あるという。
[ベトナム] 3月29日、統計総局は2024年第1四半期の実質国内総生産(GDP)成長率が前年同期比+5.66%となる見通しを発表した。米国向けの輸出が好調で貿易黒字が拡大したことが寄与した。2023年第1四半期の+3.41%から伸びが拡大したが、同年第4四半期の+6.72%からは鈍化した。世界的な需要低迷と国内での電力不足のため、2023年は前年比+5.1%となり実質GDP成長率目標である+6.0%~6.5%を達成できなかった。2024年の成長率目標も+6.0%~6.5%に設定されている。
[日本] 日銀「短観」によると、大企業・製造業の業況判断DI(「良い」―「悪い」、%pt)は+11となり、前回2023年12月調査の+13から低下した。低下は4四半期ぶりだった。大企業・非製造業は+34となり、前回の+2から上昇し、1991年8月以来、33年ぶりに高水準になった。製造業では自動車や鉄鋼、非鉄金属など関連産業の業況の悪化が目立った一方で、非製造業では不動産、情報サービス、宿泊・飲食サービスが前回から上昇した。
[米国] 3月26日、無所属で米国大統領選挙に出馬しているロバート・ケネディJr.候補は、副大統領候補にシリコンバレーの弁護士兼フィランソロピストのシャナハン氏を正式に指名した。ケネディ候補が副大統領候補を指名したことで、各州における大統領候補の投票用紙に名前が記載される手続きが進展するとみられる中、民主党全国委員会(DNC)や民主党系組織は、バイデン再選の足かせとならないよう、協力して反ケネディ候補キャンペーンを本格化させている。
[フランス/ウクライナ] 3月31日、ルコルニュ国防相がインタビューで、ウクライナに対して2024年から2025年初頭にかけて数百台規模の装甲車を提供することを発表した。対ウクライナ軍事支援の財源に関しても、ウクライナに現金を渡すのではなく、国内の防衛企業に発注する形をとっており、国内産業の活性化につながることを示唆。ヨーロッパの防衛や安全保障問題を、6月の欧州議会選挙キャンペーンの中心アジェンダとして強調することも発表した。
[中国/日本/ASEAN] 日本の経済産業省が、ASEAN各国と2025年をめどに国境を越えたQRコード決済の相互運用を実施すると発表したことに対し、中国工業情報化部通信経済専門委員会委員を務める盤和林氏は『環球時報』に論評を寄稿し、日本の目的は日本国内でのQRコード決済の普及を助けること、円の国際的地位を強化することと、ASEANにおける日本の経済的影響力を高め中国の影響力を弱めることにあると書き、警戒感を表している。中国が東南アジアの決済基準を主導し、国境を越えた決済システムを確立するために、クロスボーダーの決済システムを開放すべきだと主張している。
[トルコ] 3月31日、トルコで統一地方選挙が実施され、エルドアン大統領の与党公正発展党(AKP)は2002年に政権を取って以降で初めて、全国の得票率で最大野党の共和人民党(CHP)に敗れた。投票率は77.6%。開票率99.8%現在で、CHPの得票率が37.7%に対し、与党AKPの得票率は35.5%と2%pt近くの差がついている。イスタンブールやアンカラなどの主要都市でも、現職の野党候補が勝利宣言を行った。エルドアン大統領は支持者を前にした演説で、「望んだ結果を得ることはできなかった」と敗北を認めた。
[米国] 3月29日、米通商代表部(USTR)は、2024年版「外国貿易障壁報告書」(NTE)を発表した。商務省、農務省、在外公館等が収集した情報に基づき、USTRが年次で当該報告書をまとめており、主要貿易相手国ごとに貿易・投資活動の障壁を列挙している。日本については、農産品貿易や自動車、医薬品、通信サービス市場の閉鎖性を挙げているが、前年度版で取り上げたデジタル貿易に関する項がなくなった。中国に対しては44頁を割き(前年度は41頁)、貿易・投資を阻害する制度、慣行を指摘しており、2023年から実施されているガリウム、ゲルマニウムの輸出管理強化も記載されている。
[ロシア] 3月31日、プーチン大統領は、新たに15万人を徴兵する大統領令に署名した。定期的な徴兵は春と秋の2回実施されており、今期は4月1日~7月15日までに15万人を徴兵するという。対象は18歳~30歳までのロシア国民で、2024年1月に年齢の上限が27歳から30歳に引き上げられて以降、28歳以上が対象となるのは初めて。ただし、徴兵者は、ロシアがウクライナで続ける「特別軍事作戦」には参加しないという。
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