デイリー・アップデート

2024年4月26日 (金)

[ボリビア] 国際機関はボリビア経済の見通しに懐疑的で、2024年の成長率をIMFは+1.6%、世界銀行は+1.4%と予測している。輸出の減少による外貨準備の減少も大きいが、政府は物価安定政策をとっていることもあり、為替の切り下げには踏み切れていない。

[アルゼンチン] 4月22日、ミレイ大統領は国民向けにテレビ演説を行い、2024年に入ってから3か月連続で財政黒字となったことについて、同政権の経済計画が成果を上げている証左であると誇示したが、翌23日、首都ブエノスアイレスなどで2023年12月のミレイ政権発足以降最大規模となる抗議デモが展開された。デモ参加者らは、ミレイ政権による国公立大学の予算削減に抗議し、予算増額を要求した。政権発足から4か月半が経過し、ミレイ政権の緊縮財政策に反発も出ている。

[イタリア/チュニジア] メローニ・イタリア首相がチュニジアを訪問し、サイード大統領と会談した。チュニジアは欧州への不法移民の起点になっていることで知られており、両国は重要な関係にある。イタリアはチュニジアに対し資金提供と信用枠の計1億500万ユーロを供与することが合意された。これにはエネルギー効率化と再エネプロジェクトの促進目的の資金、中小企業支援の信用枠が含まれている。さらにこの合意は、不法移民問題に対処するための新たなステップとして位置付けられており、欧州議会選挙を控えているメローニ政権にとっても重要な政策課題で、外交上の優先事項だ。

[インドネシア] 4月25日、中央銀行(BI)は、主要政策金利である7日物リバースレポ金利を0.25%pt引き上げ、6.25%に設定した。また、今後数か月間は通貨管理を主要な優先事項とする方針を明確にした。しかし、インフレが低く、成長も低調であるため、BIは政策を過度に引き締めることには慎重な姿勢を示している。金利は2022年8月以来、累計で275bp引き上げられている。通貨は2024年初から米ドルに対して約5.0%下落しているため、BIは外国為替市場で介入を行っている。また、政府は国有企業に対して大量のドルを購入することを控えるよう要請している。通貨安は、米国の経済が想定以上に好調だったことに加え、大統領選挙で選出されたプラボウォ・スビアント氏のポピュリスト政策が財政赤字目標を危険にさらす可能性があるとの懸念からも影響を受けた結果とされている。

[米国] 商務省によると、2024年Q1の実質GDP成長率は前期比年率+1.6%となり、7四半期連続のプラス成長だった。しかし、2023年Q4(+3.4%)から減速し、市場予想を下回った。内訳をみると、個人消費や企業設備投資が減速した一方で、住宅投資が加速したことで、個人消費と民間投資からなる民間需要の寄与度は+2.6ptと、2023年Q3(+2.6pt)、同年Q4(+2.8pt)並みにとどまった。また、個人消費支出(PCE)物価指数(除く食品・エネルギー)が+3.7%となり、2024年Q4(+2.0%)を上回った。

[イスラエル/パレスチナ] ハマスの戦闘員がいるという理由でイスラエル軍の地上部隊が突入し占拠していたガザ地区内の2つの大病院から、イスラエル軍の撤退後に400体近くの遺体が病院の敷地内に埋められているのが発見された。国連やEUは、独立した第3者による透明性のある捜査を求めると発表。米政権も「非常に大きな問題」であるとし、イスラエル政府に情報を求めるとしている。イスラエル軍は、人質捜索のために元から埋められていた遺体を確認のために掘り返しただけとして、非難を「根拠のないもの」としている。

[米国] 4月25日、米通商代表部(USTR)は、2024年版スペシャル301条報告書を公表した。知的財産権の保護が不十分な国、知財関連市場への公正なアクセスを妨げる国などを特定するもの。優先監視国は2023年に引き続き7か国(中国、インド、インドネシア、ロシア、アルゼンチン、チリ、ベネズエラ)で、監視国は20か国でドミニカとウズベキスタンが不掲載となった。報告書では、中国における著作権侵害や取締り体制の不備などについての指摘が一番多く記載されている。当該報告書において、「優先国」として指定されると、米国による一方的な報復措置を招く可能性がある。

[スペイン] 4月24日にサンチェス首相(社会労働党)が、公務の一時停止と辞任の可能性を検討していると発表した。進退の判断は4月29日に発表されるもよう。進退検討の理由は、極右団体がサンチェス夫人の汚職疑惑を告発し、捜査が開始されたことによる。サンチェス首相は、右派・極右による根拠のないハラスメントといじめ作戦として事実無根と訴えている。

[中国] ペトロチャイナ(CNPC)経済技術研究所によると、2023年に前年比+11%となった石油の国内需要は2024年には同+1%にとどまり、輸送分野での石油消費量は遅くとも来年にはピークに達するとしている。NEV(新エネルギー車)は従来の化石燃料車より多くのプラスチックを使用するなど、石油の消費は石油化学などほかのセクターで伸び続けるが、2030年以前に年間7億8,000万トンから8億トンでピークに達し、それ以降も減少を続け、2050年以降は年間2億トンから2億5,000トンになるという見通しを示した。

[インドネシア] 4月21日、中銀が政策金利を0.25%pt引き上げ、6.25%とした。利上げは6か月ぶり。中銀は、世界経済の悪化リスクに対してルピアの安定性を強化し、インフレ率を目標レンジ(+1.5~3.5%)に維持するために先制的に将来を見据えた措置として利上げを決めたとした。ルピアの対ドルレートは米国の利下げの先送り観測や中東情勢の悪化等の影響を受け、4年ぶりの安値水準となっている。3月のCPI上昇率は前年同月比+3.05%と目標レンジには収まっているものの、2か月連続で加速し、7か月ぶりに3%を超えた。ラマダンでの消費拡大が影響したとみられ、4月にはラマダン明け大祭(レバラン)の影響も予想される。2024年の実質GDP成長率の予想は+4.7~5.5%とした。

[ロシア] 4月25日、プーチン大統領は、ロシアの産業企業家同盟(RSPP)の会合に出席し、ロシア政府が意図的に国内の民間企業を国有化するつもりはないと述べた。また、5月に計画している中国訪問についても発言があったが、具体的な日程には言及しなかった。ロシアでは、5月7日にプーチン氏の通算5期目となる大統領就任式、5月9日に第二次世界大戦の対ドイツ戦勝記念式典が控えており、訪中は一連の行事後になるとの観測が強い。

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