2024年4月17日 (水)
[ドイツ] 欧州経済研究センター(ZEW)によると、4月のドイツ景気期待指数は42.9となり、3月から11.2pt上昇した。2023年11月以降、6か月連続でプラス圏を推移しており、2022年3月以来の高水準になった。ただし、足元の状況を表す現況指数は▲79.2で、3月から1.3pt上昇したものの依然としてマイナス圏を推移、「悪い」と言う回答が多数を占めている。世界経済の回復に伴ってドイツ経済も持ち直すという期待が実現するかが注目される。
[為替] ドル円は直近で154円台後半まで円安が進んでいるが、4月の月初来騰落率は16日時点で主要31通貨全てが対ドルで下落。「持続不可能」とも目される財政支出の寄与により米国経済は堅調で、物価目標達成へのFRBの自信が揺らぎ、米国の利下げが遠のきつつある。中国は過剰生産の輸出に好都合な元安を容認しつつも為替介入でペースを抑えているが、アジア通貨は総じて軟調。インドネシアは2020年以来の1ドル16,000ルピア突破で為替介入を実施。韓国の1ドル=1,400ウォン台は過去3回しかなく、当局は警戒を強めている。資源高でも資源国通貨も軟化し、4月9日~16日の1週間の対ドル下落率トップはブラジル。ブラジルの追加利下げ観測も後退しつつある。急激な通貨安が与えるストレスが強まっている。
[サブサハラ] 4月16日、国際通貨基金(IMF)は「世界経済見通し」を発表し、サブサハラ・アフリカの2024年の経済成長率を+3.8%、2025年は同+4.0%との予測を示した。前回1月発表時から2024年の成長率の予測に変更がなかった理由として、アンゴラ(+2.6%)の石油生産量の低下による予測の下方修正をナイジェリア(+3.3%)の上方修正が相殺したためとしている。なお、域内で2024年に最も高成長が予測されているのがニジェール(+10.4%)、2025年はセネガル(+10.2%)で、どちらも新規の原油生産の開始が経済を大きくけん引する見込みである。
[米国] ジョンソン下院議長は4月15日に非公開で開催された共和党下院議員総会で対イスラエル軍事支援、対ウクライナ追加軍事支援、対台湾武器供与など計4本の個別法案を、4月19日までに下院本会議で可決することを目指す方針を明らかにした。対ウクライナ追加軍事支援に下院共和党で反対している急先鋒のマーシー下院議員は新たに下院議長を選出すべきであるとジョンソン氏の辞任を要求したが、同氏は辞任要求を拒否した。
[UAE/オマーン] 4月16日、オマーンからアラブ首長国連邦にわたる地域が、激しい降雨に見舞われた。ドバイでは1日で120ミリ以上の豪雨となったと伝えられているが、季節外れどころか1年間の降雨量に匹敵する豪雨で、その後も降雨量は増加し続けたもよう。同地域は乾燥地域のため排水設備が不十分で、高速道路が冠水したことで通行できずに車両が放置されたり、空港の機能が停止したりするなど交通が麻痺した。また、学校も閉鎖され、多くの労働者は家に留まった。オマーンでは、今回の豪雨で自動車が流されるなどして、少なくとも18人が亡くなった。なお、バーレーン、カタール、サウジアラビアでもここ数日雨が降り、大雨をもたらしたこの雨雲は、発達しながらイラン西部、アフガニスタン、パキスタンへと移動している。
[ドイツ/中国] 4月16日、ショルツ独首相は習近平国家主席と李強首相と個別に会談を行った。中国メディアは、中独は互いに大きな利益を共有し、良好な関係で、両首脳の会談は充実した内容だったと強調する報道を行っている。習氏は「中独間に根本的な利害の対立はなく、互いに安全保障上の脅威ではない」と述べ、両国関係の発展に期待を示した。中国の過剰生産問題について、習氏は「世界的なインフレを抑制」しているとし、李首相は市場競争と比較優位の問題だと反論した。ウクライナ問題についても議論されたが、中国側の姿勢に変化はみられなかった。
[サウジアラビア/トルコ] 4月16日、サウジアラビアのファイサル外相は、イランとイスラエルの対立が一触即発状態になっていることに関して「中東はこれ以上の紛争に耐えられない」として、全当事者に最大限の自制を求め地域や人々を戦争の危険から守るよう求めた。また、トルコのエルドアン大統領は、イランによる対イスラエル攻撃に関して、責められるべきは4月1日のイラン外交施設への攻撃を実施したネタニヤフ首相とその政権であると発言。地域紛争に拡大するリスクがあるとして中東での緊張激化を終わらせるよう呼びかけた。
[米国] 4月15日、ジョンソン下院議長は対外支援法案を発表し、4月19日までに採決にかける意向を明らかにした。法案は、ウクライナ、イスラエル、インド太平洋地域に対する支援をそれぞれ個別法案に切り分け、さらにロシアの凍結資産を流用してウクライナ支援予算の原資とするものも含め、計4本となっている。下院共和党右派が要請する国境警備強化に関する内容は含まれていないもよう。共和党内にはウクライナ支援反対派が、そして民主党内にはイスラエル支援反対派が存在するため、このように個別法案を採決にかける議会戦略だが、上院ではすでに包括的な対外支援法案が可決しており、今のところ、上院が下院の方針に寄り添う姿勢は見られない。
[ロシア] ロシアで外資系金融機関として最大の存在となっているオーストリアの銀行Raiffeisenは、ロシア国内を拠点とする求人広告を何十件も掲載し、ロシアで成長する野心的な計画を示している。同銀行はロシアから撤退する可能性について検討する意向を2022年から示していたが、営業活動は続けている。
[英国] 4月15日の議会で、イスラエル・イラン情勢に関する協議が行われ、政府のイスラム革命防衛隊(IRGC)の非合法化(テロ組織認定)を拒否する姿勢に対して、与野党が批判をした。政府は、IRGCの非合法化は外交関係の断絶を意味し直接対話が出来なくなることを指摘。一方、与党保守党議員は、英国の安全保障のための非合法化を要請。野党労働党議員は、IRGCが中東地域や西側諸国全体を脅かすことを指摘している。
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