2024年4月18日 (木)
[エチオピア] 4月16日、ジュネーブで、エチオピア、英国、国連主催によるエチオピアの人道支援向けの「ハイレベル拠出誓約イベント」が実施され、20の国・国際機関から約6億3千万ドルの資金拠出が約束された。エチオピアでは国内紛争やエルニーニョによる干ばつ・洪水の影響により450万人の国内避難民を含む2,100万人以上が緊急支援を必要としており、国連は3月に2024年中に総額32億ドルの援助資金が必要だと発表していた。今回のイベントの結果、最大の拠出国は米国で2億4千万ドル、次いで英国(1億3千万ドル)、EU(4,700万ドル)、日本は1,700万ドルで8位だった。
[米国/イラン] バイデン政権は、4月13日から14日にかけて実施されたイランのイスラエル本土を標的としたミサイルやドローンによる大規模攻撃に対する対イラン制裁措置を、数日内に発動する方針である。4月16日に公表された声明の中で、サリバン米大統領補佐官は、バイデン政権はイスラム革命防衛隊(IRGC)とイラン国防省を支援している団体を対象として、イランのミサイル開発プログラム、ドローン開発プログラムに焦点を当てつつ数日内に対イラン制裁措置を発動すると発表した。
[米国] 連邦準備理事会(FRB)が4月17日に発表した『地区連銀経済報告(ベージュブック)』では、米国経済は「わずかに拡大した」と総括された。12地区中、10地区が、「わずか」から「緩慢な」成長だった一方で、2地区は横ばいだった。雇用がわずかに増加している一方で、賃金上昇率は歴史的にみて平均的な動きに戻りつつあると報告された。物価上昇については、前回3月と同様に、緩やかなペースになっている中、足元のエネルギー価格の上昇などから製造業を中心に上振れリスクが指摘されていた。
[南米] 国際通貨基金(IMF)は4月16日、最新の「世界経済見通し」で、ラテンアメリカ・カリブ海地域の2024年の経済成長率を、1月の予測値1.9%から2.0%に上方修正した。成長率は世界全体の3.2%からは見劣りするものとなっている。なお、世界銀行は同地域の2024年の経済成長率予測を1.6%に下方修正している。
[ロシア/アゼルバイジャン/アルメニア] 4月17日、ロシアのペスコフ大統領報道官は、アゼルバイジャンが2023年に支配下に置いたアルメニアとの係争地ナゴルノカラバフから、ロシアが派遣していた平和維持部隊が撤退を始めたと明らかにした。2023年9月、アゼルバイジャンは、ナゴルノカラバフを奪還し領有権を取り戻したことで、ソ連崩壊後、長年続いた同地域を巡る紛争に事実上勝利した。
[EU] 4月17日に開かれたEU首脳会合(第1日目)で、対ウクライナ軍事支援に関し、緊急の防空システム供与について協議された。4月13日、ドイツが地対空ミサイルシステム「パトリオット」のウクライナへの供与を発表していることから、オランダ、デンマーク、チェコが、ドイツのイニシアティブ支援を検討しているとみられる。また、ストルテンベルグNATO事務総長も、自国の備蓄確保よりもウクライナへの供与を優先するよう呼び掛けている。
[ミャンマー] 4月16日、アウンサンスーチー氏とNLD政権で大統領を務めていたウィンミン氏が、酷暑のため健康対策として、収監されていた刑務所から自宅軟禁に移されたと軍政の報道官がメディアに伝えた。スーチー氏の裁判は2022年12月に終了し、刑期計33年の有罪判決が確定したが、2023年8月に5件で恩赦となり、刑期は27年となった。2024年1月、同氏は英国在住の次男に健康であることを伝える手紙を送っていた。
[サウジアラビア] Bloombergは、サウジラビア政府高官の話として、現在同国北西部に建設中の未来都市NEOMの目玉プロジェクトの一つである「The LINE」というプロジェクトに関し、当初は2030年までに全長170㎞、幅200mの構造物を作りそこに150万人が暮らすことになるとの計画を発表していたが、2030年までには170㎞のうち2.4㎞のみを完成させるとし、住む予定の人口も30万人と、当初の計画を縮小させたと報じた。なお、2023年12月にはジャアダーン財務相が、建設予定のいくつかのギガ・プロジェクトに関し完成予定時期を延期することになると発表している。中には3~5年、またそれ以上延期したプロジェクトもあるとのこと。
[米国/中国] 4月17日、米通商代表部(USTR)は、中国による海運・造船業に係る施策が米国の通商に及ぼす影響について調査を開始すると発表した。3月に、5つの米労働組合がUSTRに対して、通商法301条に則って調査を行うよう請求していたもの。USTRは、本件に係る公聴会の開催を5月に予定し、同時にパブリックコメントも6月5日まで募集している。米通商が不当に制限されているとUSTRが判断した場合、バイデン政権は何らかの対抗策を講じる必要がある。同日(4月17日)、バイデン大統領は、中国産鉄鋼・アルミに対する関税引上げを検討していると発言しているが、今のところ、USTRから新たな発表は無い。
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