デイリー・アップデート

2025年1月21日 (火)

[イエメン] イエメンのフーシ派反政府勢力は、ガザの停戦が2日目に入る中、船舶の攻撃対象をイスラエル関連に限定すると発表した。紅海は重要な貿易ルートであり、フーシ派の攻撃は海上交通を大きく妨害し、エジプトのスエズ運河の収益にも影響を与えている。攻撃緩和は地域の安定に寄与することになるが、関係者は慎重な姿勢を示している。安全が確認できるようなら航路を戻すとの意見もあるが、戦争リスクに対する保険料が高騰していることもあって航路の回帰は容易ではない。フーシ派は2023年11月から船員25名を拘束しており、早期解放が攻撃緩和姿勢の裏打ちとなるだろう。

[インドネシア] 2024年12月30日、プラボウォ・スビアント大統領は、国家開発計画会議で、同国経済にとって戦略的に重要なパーム油産業の拡大を推進する方針を決定した。これは、2011年以降続いていた新規パーム油農園開発許可の発行停止措置(モラトリアム)を覆すものであり、パーム油政策における転換点となる。この計画の中で政府は、収益向上・国内供給安定・バイオディーゼル強化を優先するとしているが、環境団体からは、生物多様性の喪失や温室効果ガスの増加を招く恐れがあるとの批判が出されている。

[サブサハラ・アフリカ] 1月17日、世界銀行は「世界経済見通し」を発表し、サブサハラ・アフリカの2025年の実質GDP成長率は+4.1%、2026年は+4.3%と予測した。サブサハラ各国では、債務危機、インフレ対策の金融引締め政策、紛争等の影響により、2023~24年は新興国平均を下回る+2~3%台の経済成長となったが、2025年からは同平均に追い付く見込み。しかしサブサハラの一人当たりGDPの増加は2025~26年の平均で+1.7%と新興国平均を下回っており、依然として同地域の貧困削減には十分ではないと警鐘を鳴らしている。

[米国] 1月20日、トランプ氏が第47代米国大統領に正式に就任し、大統領就任演説では米国は今後黄金期を迎えるとしてバイデン前政権からの大幅な政策転換を図る方針を明確にした。メキシコとの国境沿いにおける国家非常事態を宣言し、インフレの一因はエネルギー価格の上昇であるとして国家エネルギー緊急事態を宣言した。大統領就任1日目には、地球温暖化対策のための国際枠組み「パリ協定」や、世界保健機関(WHO)からの離脱を発表した。

[ロシア/米国] 1月20日、プーチン大統領は、次期米大統領ドナルド・トランプ氏(現トランプ大統領)に祝意を表し、ウクライナでの戦争を巡る米国との対話についてオープンな姿勢を示した。プーチン大統領は、トランプ氏が望む直接的なやり取りの再開や、第3次世界大戦を防ぐ必要があるとの同氏の主張を歓迎するとし、さらに、核軍備管理や幅広い安全保障問題について議論する用意があることも示唆した。

[米国/中国] 1月20日の米大統領就任式に、中国からは韓正・国家副主席が参加した。それに先立ち、韓氏はヴァンス次期米副大統領や米国経済界代表ら、イーロン・マスク氏、ブルッキングス研究所の所長らとも個別に会談を行った。トランプ氏は、大統領就任当日多くの大統領令に署名したが、中国に対する関税発動は見送られ、その代わりに世界規模で不公正な貿易慣行に対処すること、中国がトランプ政権1期目に約束した合意を順守したかどうかを調査するよう命じた。中国側は、米国がひとまずは対話を維持する方針を示していることを歓迎しているが、米国の厳しい対中姿勢が変わったわけではないとして慎重な姿勢を維持している。

[イエメン/イスラエル] 1月19日、同日午前にイスラエルとハマスの間での停戦合意が発効されたことを受けて、イエメンの主要部を実効支配する反政府勢力であるフーシ派は、イスラエルの個人・団体によって100%所有される船舶やイスラエル国旗を掲げて航行する船舶を除いて、紅海、バーブ・アルマンデブ海峡、アデン湾、アラビア海、インド洋を航行する船舶に対する攻撃を停止すると発表した。また、停戦合意のすべての段階を完全に履行した時点で、イスラエル関連船舶に対する攻撃も停止するとのこと。

[米国] 1月20日、トランプ政権が発足し、さまざまな行政措置が発表され始めている。トランプ大統領は「アメリカ・ファースト通商政策」と題する覚書を政権閣僚宛に発出し、トランプ政権は、対米投資を促し、米国の産業競争力を強化し、国家安全保障を強化する通商政策を執行すると宣言した。各閣僚に対して、米貿易赤字の要因調査、関税徴収を所掌する組織設立準備、米墨加協定(USMCA)見直し交渉の準備、他国による為替操作に対する調査、既存の通商合意の見直しなどを命じた。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

21人が「いいね!」と言っています。