2025年4月11日 (金)
[アルゼンチン/中国/米国] アルゼンチンは、中国と通貨スワップラインの一部を更新した。総額180億ドルのうち50億ドルをさらに12か月間延長する。米国と中国の対立が深まる中、スワップラインをめぐってもけん制する動きがあったが更新された。IMFとの新たなプログラムは本日にも合意が見込まれているほか、来週米財務長官がアルゼンチンを訪問するが、米国からのクレジットラインの拡大も検討されているとの報道もあり、資金面でのポジティブな話が続いている。
[エチオピア] 4月8日、エチオピアのアビィ・アフメド首相は、ティグライ暫定州政府(TIA)の新知事として、タデッセ・ウェレデ氏を任命した。これは北部のティグライ人を主体とした政党「ティグライ人民解放戦線(TPLF)」の内部対立の激化により、TPLFの中でも中央政府寄りのゲタチウ・レダ前州知事が3月に辞任を迫られたことを受けたもの。タデッセ氏はもともと州副知事で、2020~22年の中央政府とTPLF間の紛争の際にはTPLF軍の最高司令官を務めた人物。TPLF内での影響力は大きいものの、中立的な立場を取っていることから、TPLF内の緊張は収束するとの見方が強い。
[米国] 労働省によると、3月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比+2.4%となり、2月(+2.8%)から上昇率を縮小させた。前月比は▲0.1%と2月(+0.2%)から反転、2020年5月以来の下落になった。また、食料品とエネルギーを除くコア指数は前年同月比+2.8%となり、1月(+3.1%)から縮小し、2021年3月(+1.6%)以来の3%割れとなった。今後、関税率引き上げなどの影響が表れると予想される。
[EU/米国] 米国は相互関税を一時停止すると発表し、EUも報復関税を停止した。しかし、トランプ大統領はEUが抜本的な関税から解放されるためには、3,500億ドルの米国のエネルギーを購入することを約束しなければならないと述べており、欧州委員会フォンデアライエン委員長による、自動車や工業製品への双方関税をゼロにする「ゼロ・フォー・ゼロ」の提案は却下している。
[米国] 4月10日、下院は予算決議案に対する上院修正案を賛成216票、反対214票で可決した。これによって、「財政調整措置」と呼ばれる立法手法を通じて、トランプ減税の拡充などを実現するプロセスの第1段階が完結した。今後、予算決議に基づき、各常任委員会が歳出削減や減税規模を具体的に盛り込んだ法案を作成し、共和党は「財政調整措置」に則って、それら法案を自党による過半票のみで可決することを目指している。下院共和党の財政タカ派は、減税拡充を進めるのであれば10年間で2兆ドル以上の歳出削減を実現するべきと主張している。
[米国/ロシア] 4月10日、ロシア連邦保安局(FSB)は、米国とロシアが10日同日に、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、収監者1人ずつの交換を実施したと発表した。米ロの信頼醸成措置の一環。ロシアとの対話を進めるトランプ米政権が1月に発足して以来、両国間での身柄交換が明らかになったのは2回目である。
[フィリピン] 4月10日、フィリピン中銀が政策金利を0.25%引き下げ、5.50%とした。利下げは2024年12月以来2会合ぶり。3月のCPI上昇率は前年同月比+1.8%と約5年ぶりの低水準まで鈍化し、BSPの目標レンジ(+2.0~4.0%)を下回った。中銀は2025年の見通しを従来の2.3%として従来の予測(3.5%)から大幅に下方修正した。通貨ペソは、2025年に入るとトランプ政権の関税政策への懸念から増価傾向になり、相互関税発表後もほかの新興国と比べて堅調に推移している。レモロナ総裁は今後も追加利下げを続ける方針を示し、「年内に何回利下げするか見通せないが、引き下げ幅は0.25%ずつになる」とした。米国の相互関税の影響も考慮した、としている。
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