2025年4月10日 (木)
[日本] 日本銀行によると、3月の企業物価指数は前年比+4.2%だった。上昇率は2月(+4.1%)から拡大、1年7か月ぶりの大きさだった1月に並んだ。内訳を見ると、鉄鋼(▲2.1%)や木材・木製品(▲1.5%)、化学製品(▲1.4%)が下落した一方で、農林水産品(+40.1%)や非鉄金属(+12.3%)、石油・石炭製品(+8.6%)、繊維製品(+5.3%)、電力・都市ガス・水道(+6.4%)などが上昇した。川上からの物価上昇圧力は継続している。
[英国] 政府は、長期的な経済成長を目指す計画を発表している。オックスフォードとケンブリッジの2つの都市を結び付け、「ケンブリッジ・オクスフォード アーク」として、イギリス版「シリコンバレー」へ発展させる計画が含まれている。しかし、短期的な経済効果は乏しく、増税や米国の関税引き上げに関連する不確実性が高まっており、政府は2025年の成長率見通しを1%に下方修正するとともに、その後の4年間の予測も年率約1.8%にとどまるとしている。
[南アフリカ(南ア)/米国] 4月9日、通貨ランドは一時1ドル=19.93ランドに下落し、史上最安値を更新した。これは、米国による南ア向け相互関税(30%)と自動車・部品向け追加関税(25%)が南ア経済に負の影響をもたらす恐れがあること、そして連立政権(GNU)から親ビジネス派の「民主同盟(DA)」が脱退する可能性に市場が警戒感を示していることによる。しかし、同じく4月9日に米国が相互関税の一時停止を発表したこと等を受け、4月10日に入り、1ドル=19.37ランド程度に回復している(日本時間朝時点)。
[米国] 4月9日、トランプ大統領は相互関税の90日間停止を発表した。相互関税の第一段階である一律10%の追加関税は維持されるが、60か国に対する第二段階の引き上げは90日間延期された。例外は対中関税で、当初34%に設定されていたが、その後84%、そして今回は125%へと引き上げられ、即時発効した。カナダ、メキシコの適用除外、鉄鋼、アルミ、乗用車、自動車部品の扱いにも変更はないもよう。この90日間のうちに、日本など交渉を申し入れてきた国々との協議に臨むと財務長官は発言し、大統領は、今後個別の米国企業に関税免除を認める可能性についても言及している。
[インド] 4月9日、印準備銀(RBI)が政策金利を0.25%引き下げ6.0%とした。利下げは2会合連続。金融スタンスも「中立」から「緩和的」に変更した。2月CPI上昇率は前年同月比+3.6%と4か月連続で減速し、RBIの目標レンジ内(+2.0~6.0%)に収まっている。食品価格も鈍化を続けており、2月は+3.84%となった。RBIは25/26年度(2025年4月~2026年3月)のCPI上昇率の見通しを+4.0%として従来の予測(+4.2%)から下方修正した。一方、通貨ルピーは2月に史上最安値を更新した後、底入れの動きが見られたが、米国の相互関税の発表後、再び下落している。25/26年度の実質GDP成長率の見通しは+6.5%として従来の予測(+6.7%)から下方修正した。
[フランス/パレスチナ] 4月9日、フランスのマクロン大統領は、6月に国連でサウジアラビアと共催するイスラエル・パレスチナ紛争に関する会議でパレスチナを独立国家として承認する可能性がある、と仏メディアとのインタビューで明らかにした。また、それにより、現在イスラエルを国家承認していないアラブ諸国などが、イスラエルを承認する可能性にも言及した。パレスチナの大臣は国家承認の動きを「正しい方向への一歩」と歓迎したが、イスラエルのサアル外相は「いかなる一方的なパレスチナ国家の承認もハマスを後押しするだけ」と厳しく批判した。
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