デイリー・アップデート

2023年12月6日 (水)

[海上運賃市況] NY連銀が公表しているグローバル・サプライチェーン・インデックスでは、物流コストの大幅低下を示すなか、バルチック海運指数は2週間ほどで50%以上急上昇した。渇水によるパナマ運河の通行制限で迂回を余儀なくされるため、船舶運航の効率性が大幅に低下する懸念が反映された。これにより、消費地での穀物・鉄鉱石などの価格上昇を通じてコストプッシュインフレ再燃リスクにつながる怖れが浮上している。

[米国] 労働省の「雇用動態統計(JOTLS)」によると、10月の求人件数は873.3万件となり、前月から61.7万件減少した。減少は2か月連続となった。求人数は、2021年半ばから2023年初めまで継続した1,000万件超の水準から足元にかけて減少してきたものの、2019年10月(732.5万件)比べて、依然として多い状態が続いている。雇用環境には、変化の兆しが見られるものの、依然として堅調さを維持しているといえる。

[米国] 米共和党大統領候補指名獲得争いの幕開けとなるアイオワ州党員集会の実施まで40日となったが、トランプ前大統領の独走状態が続いている。同氏が2024年大統領選挙で勝利して大統領の座に復活した場合、米国の民主主義に終止符が打たれるとして、下院共和党議員在職当時、下院共和党の反トランプの急先鋒であったリズ・チェイニー氏が、第三政党からの出馬を検討している。チェイニー氏は、下院共和党指導部のナンバー3の下院共和党会議議長であった。

[ウクライナ/ロシア/ハンガリー] 12月5日、ロシアの日刊紙「イズベスチヤ」は、ハンガリーのシーヤールトー外務貿易大臣がロシアとウクライナの停戦について仲介の準備があるとして、ロシアのラブロフ外相とウクライナのイエルマク大統領府長官と対談したと報じた。一方、米国訪問中のイエルマク大統領府長官は12月5日、米国の対ウクライナ支援が遅延されれば、ウクライナがロシアとの戦争に敗北する「大きなリスク」が生まれると懸念を示した。

[湾岸諸国] 12月5日、カタールのドーハで第44回湾岸協力会議(GCC)サミットが開催された。サウジアラビア以外でGCCサミットが開催されるのは5年ぶり。サウジのムハンマド皇太子やUAEのムハンマド大統領など、GCCに所属する湾岸アラブ諸国6か国のトップおよび代表が出席し、トルコのエルドアン大統領も招待されて参加した。カタールのタミーム首長は、2か月間もイスラエルによるガザ攻撃を止められないのは「国際社会の恥」であり、イスラエルのガザでの行為を「虐殺」と発言するなど、イスラエルを強く非難した。

[米国] 12月5日、COP28に参加しているジェンキンズ米国務次官は、米国の小型モジュール炉の国際展開を支援するための措置を、米輸出入銀行と共に発表した。同時に、日本、英国、フランス、カナダと安全で安定した核燃料サプライチェーン協力を進めることに合意したとも明らかにした。サッポロ5(G7のうち、原子力技術を有する5か国)と称される有志国で、今後3年間で42億ドルを投じて、核燃料の濃縮・転換能力向上を図る。

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