2023年12月18日 (月)
[米国/中国] 12月14日、イエレン財務長官は、米中ビジネス評議会の創立50周年記念会合にて米中関係の今後について講演を行った。バイデン政権の対中方針として、国内投資強化、同盟国との連携強化を通じて、より健全な経済関係を志向するとの従来の方針を繰り返した。今後は責任ある形で米中関係を管理し、対話を継続する中で、中国政府には地方政府債務や不動産市場低迷といった事態への対処方針をより明確に説明するよう求め、金融危機管理、マネーロンダリング対策などに関し協力を進める準備ありと述べた。
[米国/イエメン] イランを後ろ盾とし、イエメン北部を拠点として活動しているシーア派反政府武装組織ホーシー派が支配地域から発射したドローン14機を、12月15日、米駆逐艦カーニーが撃墜したと米中央軍(CENTCOM)が発表した。最近、商用タンカーなどを標的にしたホーシー派のドローンや巡航ミサイルによる攻撃が増えており、スエズ運河や紅海経由での運行を停止する海運会社の動きが広がっており、グローバル・サプライ・チェーンへの影響も懸念され始めている。
[ポルトガル] 世界各地で不安定な不動産市場が話題となる中、リスボンでは、住宅価格の上昇が続いている。ポルトガルの新築居住用建物価格は2015年平均100とすると、2023年9月は392.1と当時の約4倍に。首都リスボンの住宅価格はミラノ、マドリード、ベルリンよりも高い。外国人の購入が価格押上げており、政府は方針転換し優遇ビザ発給を終了したが、効果はまだ見えず住民の不満が伝えられている。
[中国] 12月15日、国家統計局が発表した2023年11月の主要経済指標によると、小売売上高、鉱工業生産は前年同月比で前月より加速した。一方、1~11月の固定資産投資は、特に不動産開発投資が低迷し続けているため、引き続き低調だった。また、11月の統計は、3年間のゼロコロナ政策の最終段階にあった2022年の弱い数字からの反動も影響した。11月の小売売上高は、前年同月比+10.1%となり、6か月ぶりに10%を超えた。鉱工業生産額は、前年同月比+6.6%となり、2022年3月以降で最大の伸びを記録した。1~11月の固定資産投資は、前年同期比+2.9%だった。
[中国/ベトナム] 12月12~13日で実施された習近平国家主席のベトナム訪問の成果について、復旦大学の趙衛華教授は以下のように論評した。 ; 中国にとって成果の一つは「戦略的意義のある中越運命共同体の構築」という言葉が盛り込まれたことだ。かつてベトナムは「運命共同体」への言及に消極的だった。また中国とベトナムを結ぶ高速鉄道がなかなか実現しない理由は、ベトナム側の安全保障上の懸念と建設費用の高さにある。ベトナムは一つの国や企業が建設を独占することを望んでおらず、なるべく中国の無償融資を含む優遇融資を希望しており、中越で意見が一致していない。
[中国] 中国メディア第一財経が、EV企業による電池の自主開発、自主製造につきレポートを掲載している。2022年、EV用電池などのプロジェクトは113件、投資計画は約9,000億元(18兆円)で、1件当たりの平均投資額は約80億元(1,600億円)に達する。価格競争による収益圧迫が深刻な中、中国自動車メーカー吉利汽車は、「電池の自主開発は将来的な競争力につながる」としている。コロナ禍を経て、サプライチェーンの安定と自主制御は重要な課題ということも背景にある。一方、中国EVメーカー蔚来汽車は、電池を外部調達とし、スマート化への投資を優先しており、電池の自主開発は、EV企業戦略の分岐点となっている。
[ロシア] 2024年3月の大統領選に向け、12月16日、プーチン大統領の推薦人団体は、モスクワで集会を開き、プーチン氏を無所属候補として支持することを決めた。一方、政権与党「統一ロシア」は12月17日、モスクワで開いた党大会で、2024年の選挙でプーチン大統領を支持することを全会一致で決めた。
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