2023年12月22日 (金)
[中国/メルコスール] 中国とメルコスール(ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ)およびその加盟国との関係は、自由貿易協定(FTA)の締結を目指す中で複雑化している。この状況の背景には主に3つの理由がある。第一に、中国とパラグアイの外交関係の問題が挙げられる。第二に、中国とウルグアイのFTA交渉がある。第三に、アルゼンチンのミレイ大統領による前政権からの政策変更が挙げられる。しかし現状では、FTAがなくても、中国とメルコスール各国との貿易や投資は拡大しており、国交のないパラグアイでさえ、貿易や投資が加速している。
[日本] 総務省によると、11月の消費者物価指数(総合)は前年同月比+2.8%となり、2022年7月(+2.6%)以来の3%台割れとなった。また、生鮮食品を除く総合(コア指数)は同+2.5%となり、3か月連続で3%台を下回り、2022年7月(+2.4%)と同等の伸び率になった。サービス価格が+2.3%と前月から上昇率を拡大し、物価上昇の底上げも見られたものの、その勢いは鈍化している。
[韓国/日本] 韓国サムスン電子(Samsung Electronics)は、横浜市みなとみらい21に先端半導体の研究開発センターを2024年中に開設する。今後5年間で400億円を投資する計画で、経産省と横浜市が200億円を補助する。同社の新たな拠点「アドバンスド・パッケージ・ラボ」は約6,600平方メートルの敷地で、AI・5Gなどに対応した先端半導体製造技術、省電力化、情報処理の高速化などの研究開発を行う。Kye Hyun Kyung CEOは、「横浜には多くの半導体関連企業が所在するとともに、優良な大学や人材が集結しており、業界や大学、研究機関などとの協業に適する」と語っている。
[米国] 12月20日、上院は年内の審議を終了し、休会に入った。バイデン大統領の要請に応じて、上院は対ウクライナ支援予算をめぐる与野党合意を年内にまとめるために会期を延長していた。共和党側がウクライナ、イスラエル、台湾への追加支援予算を認める対価として国境警備強化策を求めたが、上院多数党である民主党が受け入れ可能な妥協案をまとめられず、年内合意は成立しなかった。連邦議会は、2024年明けには同年度予算の審議を進める必要があり、政府閉鎖の危機を視野に入れながら、ウクライナ支援などを協議することになる。
[米国] 12月19日、ホワイトハウスは、ハリス副大統領が人工妊娠中絶の権利を擁護する目的で「性と生殖の自由のための戦いツアー」を2024年1月22日のウィスコンシン州でのイベントから開始すると発表した。2023年6月、人工妊娠中絶を憲法上の権利として約半世紀認めてきた「ロー対ウェイド判決」が、保守派判事が多数派の米連邦最高裁判所で覆えされたことで、全米各地で訴訟が発生しており、バイデン陣営は人工妊娠中絶の権利を大統領選挙の主要争点に位置付ける方針。
[ロシア] 欧米で凍結されているロシア資産を没収し、ウクライナの復興に充てる案が検討されていることに対し、シルアノフ財務相は「ロシアは報復措置を取らざるを得ない」と強調し、国内で蓄積されている外資系企業の配当金や有価証券などの「S」口座の資産を差し押さえる可能性があるとの見方を示した。当該「S」口座には2022年末の時点で、約6,000億ルーブル(約9,180億円)が蓄積されていたようである。
[中国/台湾] 12月21日、中国国務院関税税則委員会は、台湾との「海峡両岸経済協力枠組み協定(ECFA)」に基づく一部製品の関税譲許を停止することを決定したと発表した。台湾がECFA規定に違反し、中国製品の輸出に対して差別的措置をとっていることへの対抗措置としている。2024年1月1日から台湾からの化学製品12品目(プロピレン、ブタジエン、パラキシレン、クロロホルム、塩化ビニルなど)に関する特恵関税が撤廃される。台湾政府はこの決定を「経済的威圧」であり、政治的意図によるものと非難している。
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