デイリー・アップデート

2024年7月26日 (金)

[コンゴ民主共和国/ルワンダ/米国] 7月25日、米財務省外国資産管理局(OFAC)はコンゴ民主共和国(DRC)において反政府活動を行う武装勢力「コンゴ川同盟(AFC)」に対して制裁を課すと発表した。ネルソン米財務次官はすでに制裁下にある武装勢力「M23」の主要メンバーで構成されるAFCは、DRC東部の人道危機を悪化させていると非難した。今回の発表では、2019年から制裁下にあるコルネイユ・ナンガ元選挙管理委員長の再指定や、M23のリーダーであるバーランド・ビシンワ氏らが指定された。OFACや国連はルワンダ国防軍(RDF)がM23の活動を支援していると主張しているが、ルワンダ政府はこれを一貫して否定している。

[金] 金と金利の歴史的な逆相関関係が崩れている。金利上昇局面でも金価格は上昇してきたが、このところ金利が下げても金も下落しており、その一因として高値によるインド・中国での需要不振が伝えられている。特に中国では、不動産・株式・自国通貨の下落で国債や金に需要が殺到し、ピーク時には金の国内価格が国際価格を1オンス100ドル以上も上回るほどだったが、足元ではディスカウントに転じ、輸入も急減している。中国人民銀行は国債バブルが銀行の脆弱性や金利差拡大による海外への資金流出リスクを生むことを警戒し、国債借入・売却により市場に介入する姿勢を見せているが、このところ人民銀行が金準備増強を休止しているとされるのも、過熱抑制のメッセージだった可能性がある。それでも、さまざまな不安に対するリスクヘッジを求める世界の投資家の金購入意欲は根強い。

[米国/イスラエル] 7月25日、イスラエルのネタニヤフ首相はホワイトハウスでバイデン大統領、ハリス副大統領と別々に会談を実施した。ハリス副大統領はネタニヤフ首相との会談直後に、「イスラエルには自己防衛の権利があるが、それをどのように行使するかが重要だ」とし、ガザであまりにも大勢の無実の市民が亡くなっている事態について深刻な懸念をネタニヤフ首相に伝えたと発言した。また、5月にバイデン大統領が提案した停戦・人質解放合意案の内容にも触れ、今こそ停戦に合意すべき時だと訴えた。

[米国/イスラエル] 7月25日、バイデン大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と会談を行った。ガザ地区情勢、対ハマス停戦交渉、レバノン国境における対ヒズボラ作戦などについて協議を行った。米国は、停戦合意は可能と考え、仲介外交を継続している。ガザ地区とエジプトの間の国境管理、停戦期間終了後のイスラエル軍再進駐の可能性、解放される人質の人数などをめぐり、交渉が行われている模様。7月24日に米国議会にて行った演説の中で、ネタニヤフ首相は第2次世界大戦後のドイツや日本の例も挙げ、ガザ地区の非武装化によって平和を達成することができると発言している。

[ブラジル] 7月24日にリオデジャネイロで「飢餓・貧困に反対するグローバル同盟」に関するイベントが開催された。同同盟はルーラ大統領自身が提唱している施策であり、2024年11月18日と19日に開催されるG20リオデジャネイロ・サミットで正式に創設されることになる。ブラジル国内でも貧困撲滅や格差是正に取り組んできたルーラ大統領が、国際機関のガバナンス改革や持続可能なエネルギー移行等とともに、G20サミットでの主要アジェンダとして位置付けている。

[ベネズエラ] マドゥロ氏の独裁政権から逃れ、54万5,000人以上のベネズエラ人が難民または移民として米国に入国した。コロンビアの300万人やペルーの150万人には及ばないものの、近年、米墨国境で遭遇する難民の国籍のトップ10リストには、ベネズエラがますます上位に見られるようになった。世論調査によると、マドゥロ大統領が再選された場合、国民の最大3分の1が国外脱出を検討しているという。しかし、野党が勝利し、母国に戻ってくる可能性が高いのは、経済不安のために国を離れざるを得ず、国に強い感情的なつながりを持ち続け、海外で生活水準を維持するのに非常に苦労している中流階級の人々だ。また、米国で何が起きるかも重要で、時期大統領が誰になるかによって、米国に移住して来る海外の人々への対応も大きく変わる。ベネズエラ大統領選の行方が集される。

[日本/タイ] 7月24日、両国の中央銀行である日本銀行とタイ銀行は、両国間の既存の二国間通貨スワップ協定(BSA)を更新した。協定の延長に伴う基本的な取り決めの変更はなく、米ドルは双方向、日本円は一方向(タイがタイバーツを日本円で交換できる)で融通し合う。このBSAだけで通貨を融通する場合の限度額は6億ドル、このBSAと「多国間チェンマイ・イニシアチブ(CMIM)」の連携での限度額は12億ドル、このBSAとCMIM、国際通貨基金(IMF)で連携する場合の限度額は30億ドルとなっている。参考レートはCMIMで決定される。このBSAは、1997~98年のアジア通貨危機でタイをはじめとしたアジア諸国で通貨が下落し、外貨不足に陥ったため、CMIMの取り決めに沿って2001年から始まった。その後5回の延長を繰り返し、現在の協定は2021年7月23日に発効したものの期限が2024年7月23日だったため、翌日の24日に更新された。

[米国] 米商務省によると、2024年Q2の実質GDP成長率は前期比年率+2.8%だった。8四半期連続のプラス成長であり、成長率はQ1(+1.4%)から加速、市場予想(+2.0%)を上回った。内訳をみると、個人消費や設備投資など内需が堅調だった。また、個人消費支出(PCE)物価指数は前年比年率+2.9%と、2%目標を上回るぺースで上昇したものの、Q1(+3.7%)から減速した。これらは、米国経済の軟着陸と物価上昇の鈍化というシナリオを崩すような結果ではなかったようだ。

[ロシア] 7月26日、ロシア中央銀行は、金融政策決定会合を開く予定だが、多くのエコノミストは、今回中銀が主要政策金利を現在の16.0%から大幅に引き上げると予測している。国内で物価上昇が再燃し、足元のインフレ率は1年半ぶりの高い水準となっている。高金利は戦時経済を支える企業投資や個人消費に水を差しかねないとも考えられる。

[英国] 7月25日に英国政府が、GB Energy社の詳細第1弾を発表した。GB Energy社は2030年までのクリーンな電力供給、2050年までのCO2実質ゼロを目指すスターマー政権のグリーン政策の中核として位置づけられている。

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