デイリー・アップデート

2024年12月5日 (木)

[南アフリカ/G20] 12月3日、ラマポーザ大統領は南アフリカのG20議長国就任の演説を行った。アフリカ初の議長国として「連帯、平等、持続性」をテーマとし、「アフリカをはじめとするグローバル・サウスのニーズをG20のアジェンダにしっかりと位置付ける」と述べた。特に(気候)災害への耐性強化、低所得国の債務持続性の確保、公正なエネルギー移行の三つを優先課題として挙げた。G20サミットは、2025年11月に南ア経済の中心地であるヨハネスブルグで開催される予定。

[ブラジル] 第3四半期のブラジルGDPは前期比+0.9%となり、中銀の景気過熱への懸念をさらに強めることとなった。最近の歳出削減策への失望からブラジルレアルが売られていることもあり、中銀による利上げペース拡大の可能性が高まっている。

[米国/欧州] 12月7日にトランプ次期大統領は、仏政府の招待で5年前の火災後に修復作業が完了したノートルダム大聖堂の再開式典出席のために、大統領選挙での勝利後初めて外遊する。仏滞在中にマクロン大統領と会談し、ウクライナ戦争、中東情勢を中心に協議すると見られる。12月4日にフランス国民議会下院ではバルニエ内閣の不信任決議案が可決されて総辞職することになり、マクロン氏の求心力が低下する中でのトランプ氏訪仏となる。

[アジア] S&Pグローバルは11月の購買担当者指数(PMI)を発表した。PMIの節目は50であり、50を上回れば改善、下回れば悪化を示す。11月の製造業PMIは、ヨーロッパで製造業が悪化する一方、新興アジアではわずかに改善したことを示した。中国の製造業PMIは51.1を記録し、前月の50.3を上回り、6月以来の高水準となった。これは、2025年に米国で輸入品に対する関税が導入される可能性があるため、取引が前倒しで行われたことが影響したとみられる。また、韓国、台湾、ASEAN諸国でも需要は堅調であった。インドの製造業PMIも10月の57.5から11月には56.5へと低下したが、依然として高水準を維持しており、アジアでは最も高い水準であった。

[米国] 連邦準備理事会(FRB)が4日発表した「地区連銀経済報告(ベージュブック)」によると、経済活動が前回方向から「わずかに拡大した」と報告された。企業から、向こう数か月で需要が拡大するという見通しが示された。ただし、消費者は引き続き価格に敏感であり、品質も考慮に入れつつあるという。雇用は横ばい、もしくはわずかに増加したものの、抑制的だった。物価の上昇ペースは緩やかになっている。今回の結果は、12月のFOMCでの金融政策の判断に活用される。

[中国] 中国で著名なエコノミストである高善文氏(安信証券首席エコノミスト)が12月3日に深センの投資家向け会議で行った講演が中国国内で話題となっている。高氏は現在中国経済が直面している問題は「循環的な圧力」であり解決可能だという見方を示す一方、現在の中国は「活気あふれる高齢者、活力のない若者、希望のない中年世代」という問題に直面し、パンデミック以降、若年層の割合が高い省ほど消費が低迷していると述べている。また、中国のGDP成長率は累計で10ポイント過大評価されており、これは都市部の雇用者4,700万人分の損失となり、実際の失業データと合致するとしている。

[米国] 12月4日、ブリンケン国務長官はNATO(北大西洋条約機構)外相会合のために訪れていたベルギーにて記者会見に臨んだ。国務長官は、これが自身にとって最後のNATO閣僚会合出席であると述べ、バイデン政権の同盟外交によって、NATOは新たな安保環境に対応し、その抑止力を強化することに成功したと振り返った。インド太平洋地域との連携強化も重要な成果として認識した。メディアの問いに答える形で、韓国情勢についても言及し、今後も韓国が民主主義の強靭性を体現する存在であり続けることを期待すると発言した。

[ロシア] 11月4日、プーチン大統領は、ロシアの大手国営銀行VTBが首都モスクワで開いた国際投資フォーラムに参加し、演説と質疑応答を行った。政府と中央銀行が協調してインフレ抑制に取り組むよう要請した。ロシア中央銀行のナビウリナ総裁も同日、現在約9%で推移している年間インフレ率は減速が見られていないとした上で、2025年には低下し、2026年に中銀目標の4%に達する見通しだと述べた。

[フランス] 12月4日に国民議会で行われた新人民戦線が提出した不信任決議で、議員総数577人のところ331人が不信任に賛成票を投じたことから、バルニエ政権が崩壊した。バルニエ首相は12月5日に辞任するとみられる。

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