デイリー・アップデート

2024年12月16日 (月)

[メキシコ] シェインバウム政権が議会に提出した最初の経済パッケージは、12月に大きな変更なく承認される見通し。パッケージには、予算、歳入や来年の主要な経済見通しが含まれているが、楽観的な前提、歳入不足、トランプ次期米大統領による不確実性などから財政赤字の縮小を疑問視する声も出ている。(経済部:小橋)

[ECOWAS] 12月15日、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は首脳会議を開催し、2025年1月29日に予定されているマリ、ブルキナファソ、ニジェールの脱退について、2025年7月29日まで猶予期間を設けると決定した。クーデター後、軍事政権下で「サヘル諸国同盟(AES)」として独自の連携を強化する同3か国は、2024年1月28日にECOWASからの脱退を申請。地域共同体の分裂を防ぎたいECOWASは2月にニジェール向けの経済制裁を解除するなど譲歩の姿勢を示してきたが、AES側に意向の変化はみられない。ECOWASは6か月間の猶予期間の間に、AESに脱退を再考させたい狙いがあるとみられる。

[ミャンマー] 12月11日、世界銀行は最新のミャンマー経済報告を発表し、2024年度(2024年4月~2025年3月)の実質国内総生産(GDP)成長率を前年比▲1.0%と予測した。これは、2024年6月時点での+1.0%の見通しから下方修正されたものであり、2019年比ではGDPが約11%低い水準となる見込みである。過去6か月間で経済状況はさらに悪化しており、武力紛争やマクロ経済の不安定さに加え、9月初めに台風ヤギが引き起こした洪水が、農業をはじめとする広範な分野に深刻な影響を及ぼしたことが今回の見通しに反映された。

[中国] 中国の石油需要は当初予想より数年早くピークに近づいている。新エネルギー車(NEV)販売台数は内燃機関車を超え、大型輸送ではディーゼルトラックからLNGトラックへのシフトが進む。国営石油会社CNPCの研究調査部門による年次予測では、中国の2024年の原油輸入量は5億4,400万トンと前年割れ。精製石油消費量は2023年の3億9,900万トン(日量約798万バレル)に対し、2024年は前年比▲1.3%減の3億9,400万トン。2035年にかけて2億4,000~9,000万トンまで▲25~40%減少する見通し。航空機燃料と石油化学原料の需要は伸びが続くが、ガソリン・ディーゼル需要は減少、精製能力も2028年でピークと予想している。

[フランス] 12月13日、今月初めにバルニエ政権が崩壊したことを受け、マクロン大統領がバイル氏を新首相に任命した。バイル氏は中道政党民主運動(MoDem)の党首で、過去3回大統領選挙に出馬したが、いずれも第1回投票で落選している。

[フィリピン] 12月12日、ドゥテルテ前政権が進めた「麻薬戦争」の実態を調査していた下院の合同委員会が、ドゥテルテ前大統領は違法薬物撲滅を掲げながら、実際には麻薬犯罪組織の中心人物だったとする報告書を公表した。同前大統領は13日に委員会に出席して疑惑を否定した。

[イスラエル] イスラエル政府は、ゴラン高原におけるユダヤ人入植者の数を倍増させる計画を発表した。ゴラン高原は1967年の第3次中東戦争でイスラエルが占領し、その後1981年にイスラエル政府が併合した土地。国際法上はイスラエルが違法に占領している土地とされているが、トランプ政権時代に米政府は同地をイスラエルの主権下にあると宣言した。カタール外務省は、イスラエルによるこの計画を「明白な国際法違反」として非難。UAE外務省も、イスラエルによる入植地拡大の動きを強く非難した。

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