デイリー・アップデート

2024年12月18日 (水)

[コンゴ民主共和国(DRC)/ルワンダ/米国] 12月17日、DRC政府を代表する国際弁護士団は、同国から略奪された希少鉱物・3TG(スズ、タングステン、タンタル、金)が米アップル社のサプライチェーンに混入しているとして、フランスとベルギーにあるアップル子会社を刑事告訴した。「紛争鉱物」とも言われる3TGは、DRC東部を中心に活動するルワンダ系反政府勢力「M23」が違法採掘し、ルワンダ経由で売買・密輸が行われているとして、DRC政府は反発を強めていた。アップルは、2023年末時点で「サプライチェーン内の221の3TG関連企業が武装勢力に利益供与していると判断する合理的根拠はない」と関与を否定している。同国際弁護士団は、欧州委員会のフォンデアライエン委員長宛にも対話を要請する書簡を送付したとのこと。

[ミャンマー] 投資委員会(MIC)傘下の投資企業管理局(DICA)の発表によると、4~11月の海外直接投資(FDI)の認可額は前年同期比▲54%の約2億7,116万ドルだった。2021年2月の国軍によるクーデター以降、中国などによる繊維業をはじめとした製造業への小規模投資はあるものの、全体としては激減している。日本が開発したティラワ経済特区(SEZ)への認可額はその内3,545万ドル、国別ではシンガポールが8,917万ドルで最大となり、中国の5,092万ドルが続いた。

[ドイツ] Ifo経済研究所が発表した12月の企業景況感指数(2015年=100)は84.7と、11月から低下(▲0.9pt)した。内訳をみると、足元の状況を表す現況指数は85.1となり、11月から0.8pt上昇した一方で、先行きを表す期待指数は84.4と、11月から▲2.6ptの低下だった。また、欧州経済センター(ZEW)によると、12月のドイツ景気期待指数は15.7となり、11月(7.4)から上昇した。背景には、解散総選挙を経て、民間投資を促す経済政策が実施されるという期待や、追加利下げが実施されるという見通しがあるようだ。

[米国] 12月17日、エネルギー省は、米国のLNG輸出による経済・環境への影響を分析した報告書を公表。1月にバイデン政権が新規LNG輸出申請の承認を凍結した際に調査を開始していたもの。結論としては「既に承認済みの分を超えるLNG輸出は国内のコスト増・排出量増加・中国を支援するリスクとなり、持続可能でなく、推奨されない」というもの。S&P Globalは同日、これに真っ向から反論する報告書を公表。2016年の輸出開始以来、LNG産業は米国経済の重要部門に成長したが国内ガス価格は安定しており、現在の軌道上の輸出拡大は経済成長・国内雇用拡大に寄与するが、新規容量が増えない場合、経済的損失だけでなく国際的な米国の影響力にも響くとしている。

[米国] 12月16日、トランプ次期大統領は、次期駐日米国大使に、第1期トランプ政権では駐ポルトガル大使に就任していた実業家ジョージ・グラス氏を指名したと、自らのSNSに投稿した。グラス氏は、トランプ氏の大統領選挙キャンペーンを、大口政治資金調達者として資金面で支えていた。また同氏は対中強硬派として知られており、駐ポルトガル大使当時、ポルトガル政府が推進していた5G通信網整備施策へのHuaweiの関与を問題視していた。

[ベラルーシ] 12月下旬、ロシアの同盟国ベラルーシでは、現地メディアが南東部ゴメリ州で日本人男性1人が拘束されたと報じていた。拘束された日本人の個人情報については明かされておらず、現地の日本大使館は、邦人保護の観点から、適切に対応していくと表明している。ベラルーシでは、7月にも別の邦人男性がスパイ活動の容疑で拘束され、現在も拘置が続いている。同国における邦人の拘束は2人目となる。

[EU/トルコ] 12月17日、フォンデアライエン欧州委員会委員長がトルコを訪問して、エルドアン大統領と会談を行った。会談後の記者会見で、フォンデアライエン委員長は、同国との関係強化への期待に言及した。

[米国] 12月17日、下院の共和・民主両党指導部は、政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算について合意した。総額1,100億ドルの暫定予算は3月14日まで連邦政府の運営を可能にするもので、災害復興支援や、米国の農業政策を包括的に規定する農業法をさらに1年間延長する内容などを含む。議会は2025年度予算案に合意できず、つなぎ予算を9月末に可決しており、それが12月20日に失効する前に、さらなる、つなぎ予算を可決する必要があった。つなぎ予算法案が12月20日までに上下両院を通過し、大統領署名を得なければ、連邦政府の一部閉鎖という事態を招来する。

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