デイリー・アップデート

2024年12月10日 (火)

[ガーナ] 12月9日、選挙委員会(EC)は12月7日に実施された大統領選において、野党・国民民主会議党(NDC)党首のジョン・マハマ前大統領の勝利を宣言した。マハマ氏の暫定得票率は56.55%で、与党・新愛国党(NPP)候補のマハメドゥ・バウミア副大統領の41.61%に大差をつけた。マハマ氏の大統領就任は2012~2017年の1期以来、2回目となる。マハマ氏は現NPP政権が2022年の債務不履行や、その後の二桁の高インフレによる国民の生活苦を招いたとして、経済再生を最優先課題に掲げている。ガーナは今年アフリカで実施された大統領選で野党候補が勝利した4番目の国となった。

[フィリピン/チリ/カナダ] フィリピン政府はチリおよびカナダとの自由貿易協定(FTA)交渉を2025年に開始することで、両国政府と合意した。12月6日、フィリピンのクリスティーナ・アルデゲル・ロケ貿易産業相とチリのバン・クラベレン外務相が、フィリピンのマニラで包括的経済連携協定(CEPA)の交渉開始を正式に宣言する共同声明に署名した。この協定の枠組みは2025年1月に決定され、初回の交渉は同年3月末にチリで開催され、2026年末までの締結を目指す。また、カナダのメアリー・イン輸出促進・国際貿易・経済開発相は、12月4日から6日にかけてマニラを訪問し、FTAの予備交渉を2025年1~6月に実施することで合意した。

[米国] 労働省によると、11月の非農業部門雇用者数は前月比+22.7万人と、市場予想(+20万人)を上回った。10月にはハリケーンやボーイングのストライキの影響があったため、+3.6万人まで増加数は縮小したものの、11月はその影響が剥落し、大幅な増加に戻った。失業率は4.2%、9~10月(4.1%)から小幅に上昇し、8月(4.2%)と同じだった。この雇用統計の発表を踏まえて、市場では12月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げが実施されるという見方が強まった。

[シリア] 12月8日にシリア反体制派が首都ダマスカスに進軍し、アサド大統領がロシアに亡命したことで、1970年代からシリアを50年以上支配してきたアサド父子による政権が崩壊した。翌9日には、アルジャラーリー首相が、反体制派の支配地域であるイドリブ県を統治してきた「シリア救国政府」に権限を移譲することで合意し、救国政府のアルバシール首相(41歳)がシリア移行政府の首相に任命された。同氏は電子工学とイスラム法の学位を持つ人物で、救国政府で開発・人道問題担当大臣などを歴任した。

[シリア/米国/トルコ] 12月8日、シリアのアサド政権崩壊を受けて、バイデン大統領はホワイトハウスで演説を行い、シリア国民がより良い未来のために国を建て直す歴史的機会が訪れていると述べた。円滑な権力移行を図るべく、国連の枠組みの下、シリア内諸勢力と対話する意向も示した。ブリンケン国務長官は声明を発表し、反体制派は市民の保護を行う必要があると述べ、また、オースティン国防長官は、トルコのギュレル国防相と電話会談を行い、両国が協力して事態悪化を防止することを確認した。

[米国] ノートルダム大聖堂再開式典出席のため訪仏予定のトランプ氏は、12月6日、NBC Newsの単独取材に、次期大統領当選後初めて応じた。トランプ氏は、大統領選挙キャンペーン中から米国の対ウクライナ支援に対して消極発言を繰り返していたが、単独取材の中で、「大統領就任後、ウクライナは、米国の対ウクライナ支援の縮小に備えるべきか」との質問に対して「恐らくそうなるだろう」と発言した。

[シリア/ロシア] 12月8日、シリアのアサド大統領と家族がロシアのモスクワに到着し、ロシアへの亡命が認められたとロシアメディアが報じた。一部の報道では、アサド一家は、2013年から2019年までに親戚を通じてモスクワの高層マンション18部屋を購入、現在アサド氏が所有する不動産の資産価値は4千万ドル相当だという。

[シリア/EU/英国] 12月8日のシリアのアサド政権の崩壊を受け、欧州各国首脳らは歓迎のコメントを発表した。特に期待されているのは、シリアにおける民主主義の回復だが、アサド政権を支援しているロシアの影響力低下についても強調している。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

21人が「いいね!」と言っています。