2024年12月2日 (月)
[インド] 11月29日、統計・計画実施省は2024年度第2四半期(7~9月)の実質GDP成長率が前年同期比+5.4%だったと発表した。3期連続の減速となった。前期の+6.7%から大幅に減速し、2023年度第3四半期以来の最低水準となった。インド準備銀行による同期の実質GDP成長率の予測では、7.0%だったがそれを大きく下回った。民間最終消費支出は、前年同期比+6.0%と前期の+7.4%からは減速した。一方、政府最終消費支出は前年同期の+4.4%と前期の▲0.2%からプラスに転じた。総固定資本形成は、前年同期比+5.4%と前期の+7.5%を下回った。財貨・サービス輸出は+2.8%にとどまり、前期の+8.7%から減速した。
[ユーロ圏] EU統計局(Eurostat)によると、11月のユーロ圏の消費者物価指数(HICP)は前年同月比+2.3%だった。上昇率は10月の+2.0%から拡大し、市場予想と一致した。内訳を見ると、食品が+2.8%、エネルギーが▲1.9%、財が+0.7%、サービスが+3.9%であり、サービスが物価のけん引役だった。国別に見ると、ドイツとスペインは+2.4%、フランスが+1.7%、イタリアが+1.6%だった。ユーロ圏内ではアイルランドの+0.5%からベルギーの+5.0%まで分布している。
[アルゼンチン] ミレイ大統領は、政府の緊縮財政策の目玉の一つとして、国営企業の民営化を掲げている。初めてとなる民間セクターへの売却の締め切りが12月15日に迫っているが、国営企業の債務や、労働者の反対など課題も多く、政府が事業売却を実行する難しさが浮き彫りとなっている。
[米国/アンゴラ] 12月1日、バイデン大統領が自身初となるサブサハラ・アフリカ公式訪問のため、アンゴラに向けて出発した。同日、ホワイトハウスが同訪問に関する記者会見を実施。米政府高官は、アンゴラを訪問先として選んだ理由について、「従来の「援助」ではなく「パートナーシップ」を重視した」とし、「戦略的鉱物の確保につながる「ロビト回廊」を整備していく」と説明した。また、「トランプ次期政権で米国のアフリカ向け支援の方向性が覆る可能性はないのか」との記者からの質問に対しては、「米国のアフリカ向け政策はこれまで超党派の強力な支持を受けてきた伝統がある」として、共和党政権下においてもロビト回廊支援等は継続されていくとの見方を示した。
[フィリピン] サラ・ドゥテルテ副大統領が11月23日にマルコス大統領の暗殺を示唆したことについて、議会で弾劾論が浮上している。国家捜査局は扇動などに当たる可能性があるとして、同副大統領に出頭を命じている。国家警察も暴行や公務執行妨害などの容疑でサラ氏らを検察に告発しており、刑事訴追される可能性がある。
[WTO] 11月29日、世界貿易機関(WTO)はオコンジョイウェアラ事務局長の再任を決定した。任期は2025年9月からの4年間となる。オコンジョイウェアラ氏はナイジェリア出身で、世界銀行専務理事やナイジェリア財務相などを務めた経験がある。2020年に当時のWTO事務局長が任期途中で辞職し、同氏が次期総裁の筆頭候補となったものの、米トランプ政権が反対したため、翌2021年のバイデン政権発足を受けて事務局長に選出されたという経緯がある。
[米国] 12月1日、トランプ次期大統領は、同氏の熱狂的支持者であるパテル氏を次期米連邦捜査局(FBI)長官に指名した。現在FBI長官に就任しているレイ長官の任期は2027年までであるが、任期途中での更迭となる。パテル氏は第1期トランプ政権で国防総省首席補佐官、国家情報副長官、ホワイトハウス国家安全保障会議(NEC)テロ対策担当上級部長を歴任した。パテル氏はFBIの抜本的刷新を主張しており、同氏の当該ポストへの指名に懸念も浮上している。
[シリア/ロシア/イラン] 11月30日、アサド政権の後ろ盾であるロシアのラブロフ外相は、イランのアラグチ外相らと電話で会談した。シリアでは、11月27日に反体制派による攻勢が始まって以降の死者数が410人を超え、激しい戦闘が続いているもよう。12月1日、シリア人権監視団は、シリア反体制派が大部分を制圧したとされる北部の要衝アレッポなどに対し、政権側を支援するロシアの戦闘機が空爆を実施したと伝えた。
[EU/ウクライナ] 12月1日、EUの各ポストに就任したコスタ大統領、カラス上級代表、コス委員(拡大担当)が、就任当日にウクライナを訪問してゼレンスキー大統領と会談を行った。コスタ大統領は、ウクライナに対しては、人道支援、経済支援、外交支援、軍事支援、エネルギー支援を継続すること、ロシアに対しては、第15弾制裁を準備中と発言するなど、EUの基本方針に変化はないとみられる。
[中国/台湾] 11月28日、「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」第8回委員会が、今年議長国を務めるカナダで開催された。中国と台湾は2021年9月にそれぞれ加盟申請を行ったが、委員会は、加盟の順は申請の順番に従わないことを決定した。加盟が認められるためには、申請国が①CPTPP協定の高い基準を満たす能力、②既存の協定のルール順守、③CPTPP加盟国間のコンセンサスの「オークランド原則」を満たす必要があるが、台湾は①と②はほぼクリアしているものの、③加盟国間のコンセンサスが欠けており、米政治紙ポリティコは特にマレーシア、ベトナム、シンガポールが反対していると報じている。
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