2023年11月14日 (火)
[タイ] セター首相は、11月に入り、16歳以上の全国民に1万バーツ(280ドル)を支給するという「デジタルウォレット」配布計画の詳細を発表した。この計画は当初、総額5,600億バーツ(156億ドル)と見積もられていたが、月収が少なくとも7万バーツ(1,900ドル)以上ある個人や、50万バーツ(1万4,000ドル)以上の貯蓄を持つ個人を除外することで、推定コストは5,000億バーツ(140億ドル)に縮小した。配布の開始は当初の2024年2月ではなく、5月に延期されることとなった。このデジタルウォレットは借り入れによって資金調達される。
[米国] NY連銀の10月の「消費者期待調査」によると、1年先の期待インフレ率(中央値)は3.6%となり、9月調査の3.7%から▲0.1pt低下した。直近ボトムの7月の3.5%から9月まで2か月連続で上昇していたため、3か月ぶりに低下した。3年先の期待インフレ率は3.0%となり、9月から横ばいとなった。3月以降、2.8~3.0%のレンジで安定している。5年先の期待インフレ率は2.7%となり、9月から▲0.1pt低下し、中期的なインフレ期待は、これまでのところ安定している。
[ウクライナ] ウクライナ産穀物の輸出合意からロシアが7月に離脱したことを受け、8月にウクライナが独自に設けた黒海の臨時航路を利用した貨物船が計100隻に達したと、米国のブリンク駐ウクライナ大使が明らかにした。総計370万トンの食糧や物資を輸送した。また、ウクライナの鉄道当局者によると、臨時航路が機能しており、オデーサ(オデッサ)地方の港湾に穀物を輸送する貨物車が急増していると明らかにした。
[中国/米国] 米半導体企業のエヌビディアは、2022年10月の米国政府の対中輸出規制で、同社の画像処理半導体(GPU)の「A100」、「H100」を中国に販売できなくなり、中国向けに性能を落とした「A800」、「H800」を生産・販売していたが、2023年10月の規制更新で後者二つの半導体も規制対象となった。しかし、同社は早くも中国市場向けに「HGX H20」、「L20 PCIe」「L2 PCIe」の3種類の新たな半導体を近く投入する予定だと報じられている。H20はH100の改良版で、AI機能において重要なLLM推論がH100より20%以上高速化しているという分析もある。
[中国/日本] 11月11日、日産自動車の中国合弁会社である東風汽車有限公司は、中国で開発した新エネルギー車(NEV)を2024年下半期に中国市場へ投入し、2025年から10万台/年を目標に輸出をスタートすると発表した。同社の2022年の販売台数は104.5万台で前年比▲24.3%、2023年1月~9月は54.6万台で、前年同期比▲34.7%となり、販売の減少が続いている。これに先駆け、11月9日、日産の内田社長が決算発表の席上で、中国における事業戦略を更新し、NEVのラインアップを強化していく方針を打ち出し、2026年までにNEVを4車種投入すると発表していた。
[米国/インドネシア] 11月13日、バイデン大統領は、インドネシアのジョコ大統領とホワイトハウスで会談を行った。両国首脳は、経済協力、気候変動対策、安全保障協力などについて合意し、二国間関係を包括的・戦略的パートナーシップへと格上げすることにも同意した。同首脳会談についての米メディアの扱いは大きくはないが、11月15日開催予定の米中首脳会談に先駆けて、バイデン政権がアジア諸国との連携をアピールすることを企図したとの文脈で報道された。また、ジョコ大統領がガザ情勢をめぐり、米国のさらなる外交努力を求めたことも取り上げられた。
[米国] イスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃を受けて始まったハマスとイスラエルとの戦闘が開始されて1か月以上が経過する中、11月9日に、11月2~5日に全米の成人1,239人を対象としたAP/NORCの最新共同世論調査結果が公表された。民主党支持者の間でのバイデン氏の大統領としての働きぶりについては約70%が支持している一方、同氏のパレスチナ・イスラエル紛争の対応に関しては、支持が50%に低下していることが判明した。
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