2023年11月29日 (水)
[日本] 厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、2023年の1人平均賃金の改定率は+3.2%となり、2022年の+1.9%から上昇率を拡大させ、比較可能な1999年以降で最大になった。これには賃金表の改定、定期昇給、諸手当の改定が含まれている。また、管理職以外の常勤労働者を表す一般職を対象に、企業のうち79.5%(2022年74.1%)が定期昇給を、49.5%(同29.9%)がベースアップを実施する、または実施予定と回答した。
[米国] 定数が435議席である米議会下院の全議席改選は2年ごとに行われ、2024年11月に改選期を迎える。最近、今会期(第118議会)限りでの引退を表明する下院議員が党派を超えて増大しており、引退を表明した下院議員は、11月の1か月だけで民主、共和両党それぞれ6名ずつの12名、任期途中での辞任や死亡も含めて累計約40名に達しており、今後さらに増大するとみられている。引退表明の理由として、下院の機能不全や党派対立が挙げられている。
[マレーシア] 11月27日、連邦議会下院は、発声投票による賛成多数で2024年度(同年1~12月)国家予算案を可決した。同予算案は、財務省により10月13日に下院に提出された。歳出額が3,938億リンギ(約12兆5,000億円)と過去最大になる見込み。財政改革に重点が置かれている。財政収支の改善に向けて、サービス税率の引き上げや宝飾品や腕時計などのぜいたく品を対象にした奢侈(しゃし)税の導入などを行う。財政赤字のGDP比は4.3%に設定し、2023年の5.0%から改善する見通し。
[中国/ロシア/モンゴル] ロシアから中国に天然ガスを輸出するためのパイプライン「シベリアの力2」をめぐる中ロの交渉について、立場を強める中国が交渉に強気で臨んでおり、天然ガスの大幅な値下げを要求し、パイプライン建設のコストはすべてロシアが負担すべきだと主張しており、パイプラインの建設は遅れそうだと香港紙SCMPが報じている。また、「シベリアの力2」はモンゴルを通過することになっているが、モンゴルにとっても必要性・緊急性は低いため、2024年には建設着工されないというモンゴル元高官の見方を紹介している。
[イスラエル/パレスチナ] 11月28日、イスラエルとハマスによる停戦合意は、追加で合意された2日間の停戦延長期間に入った。合意に沿って、ハマス側はガザに捉えている人質のうち12人(イスラエル人10人とタイ人2人)を解放、イスラエル側はパレスチナ人の囚人30人を釈放した。また、イスラエルとハマスの紛争開始以降、ヨルダン川西岸地区でのイスラエル軍とパレスチナ人の衝突も激化しており、10月7日以降の同地区でのパレスチナ人死者数は既に242人、逮捕者も3,145人と急増している。ガザ情勢の地域への波及が懸念される。
[米国] 11月27日、ブリンケン国務長官は欧州、中東への外遊を開始した。ベルギーではNATO外相会議に臨み、2024年7月の首脳会議に向けた議論を行い、北マケドニアではOSCE(欧州安全保障協力機構)の外相会議に参加予定となっている。OSCEにはロシアも加盟しており、ラブロフ・ロシア外相が出席する可能性がある。その後、同氏はイスラエル、ヨルダン川西岸地区各地でそれぞれ関係者と協議を行い、UAEのドバイにてCOP28に参加する。COP28にはバイデン大統領の不参加が発表されており、国務長官および気候変動担当特使等が米国から参加する形となる。
[ロシア] 11月28日、プーチン大統領は、モスクワ市内で保守派の社会組織「全世界ロシア民族大会議」の大会にオンライン形式で参加した。ロシアの精神や文化、言語など伝統的価値を守ると演説し、2024年3月のロシア大統領選を前に、外国の干渉があれば侵略行為とみなすと西側諸国に警告した。プーチン大統領は今回、直接出馬表明をしなかったが、2024年3月の大統領選での5選に向け、選挙キャンペーンを事実上スタートさせたとみられる。
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