2023年11月16日 (木)
[ユーロ圏] 欧州委員会が発表した「秋季経済見通し」によると、ユーロ圏の実質GDP成長率は2023年に前年比+0.6%、2024年に+1.2%、2025年に+1.6%と予想された。前回9月時点に比べると、小幅下方修正された。2023年は、生活費が予想以上に上昇したことで個人消費が停滞し、外需も弱く輸出が成長の下支えにならず、けん引役が不在だった。また、ドイツの実質GDP成長率は2023年に▲0.3%と、前回からやや上方修正されたものの、マイナス成長になると見通されている。
[エチオピア] エチオピア政府は、公式債権者委員会(OCC)が二国間債務の利払いの一時支払い停止で合意をしたと発表した。これは、8月に中国と2024年7月まで支払いを停止すると合意をしたことに続く。加えて、2024年12月に満期を迎える10億米ドルのユーロ債の再編についても協議を開始する予定であることを明らかにし、IMFとの新しいプログラムの合意も期待される。
[中国] 国家統計局は11月15日、主要経済指標を発表した。鉱工業生産、小売売上高は前月より加速した一方、1~10月期の固定資産投資は1~9月期を下回り低調だった。不動産市場の低迷は依然として景気回復の足かせとなっている。10月の鉱工業生産は前年同月比+4.6%と、9月の+4.5%からやや加速した。輸出の回復が背景にある。自動車と電子が好調だった。小売売上高も前年同月比+7.6%、9月の+5.5%から加速した。国慶節に伴う大型連休などが寄与した。一方、1~10月期の固定資産投資は前年同期比+2.9%、1~9月期の+3.1%を下回った。23か月ぶりの低水準だった。不動産投資は▲9.3%と、1~9月期の▲9.1%から下落幅が拡大した。
[ロシア] 11月15日、ロシア連邦統計局は、2023年7?9月の国内総生産(GDP、速報値)が前年同期比で+5.5%になったと発表した。2四半期連続のプラスとなった。軍需品の増産や個人消費などがけん引し、農業や建設業など幅広い業種が改善した。ロシア中央銀行は10月、2023年のGDP見通しについて前年比+2.2?+2.7%に上方修正していた。
[台湾] 11月15日、台湾総統選に向け、野党の国民党と台湾民衆党が統一候補を立てる方針で合意したと発表した。総統選候補の中では、与党・民進党の頼清徳氏が3割程度の支持率でトップを維持しており、台湾民衆党の柯文哲氏、国民党の候友宜氏が2割ほどの支持率で後を追う展開となっている。野党の共闘も模索されつつ、実現の可能性は小さいと見られていたところ、国民党の元総統・馬英九氏の仲介で共闘が合意された。11月18日に候氏と柯氏のどちらを総統候補にするかが発表される。総統選の行方が一気に読みにくくなった。
[イスラエル/パレスチナ] 11月15日、国連安全保障理事会は緊急会合を開催し、ガザ全域における戦闘の人道的な一時停止と人質の即時および無条件開放を求める決議案に対して、12か国が賛成票を投じ、またどの国も反対票を投じなかったため、同決議案は採択された。10月7日のハマスによるイスラエル奇襲以来、安保理で決議が採択されたのは初めて。なお、米国、英国、ロシアは採決を棄権した。同決議案は非常任理事国のマルタが提出したもの。この採択が戦況にどのように影響するかは今のところ不明である。
[米国] 9月30日成立の暫定予算の「つなぎ予算(CR)」の期限は11月17日であり、新たな「つなぎ予算案(CR)」が同期限までに成立しない場合、米連邦政府が閉鎖に陥るリスクが存在している状況下、11月14日、ジョンソン下院議長が主導して下院共和党が提出していた「つなぎ予算案(CR)」がほとんどの民主党下院議員の支持を取り付けて下院本会議で賛成多数で可決され上院に送付された。11月15日、上院本会議でも圧倒的賛成で可決され、この後バイデン大統領の署名を受けて成立する見込み。
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