デイリー・アップデート

2023年4月10日 (月)

[ベトナム・ミャンマー] 4月初旬、米調査会社S&Pグローバルは、3月の製造業購買管理者指数(PMI)を発表した。ベトナムの3月の製造業PMIは、前月から3.5ポイント低下の47.7となり、2か月ぶりに景況感の改善方向と悪化方向の判断を分ける節目の50を下回った。ミャンマーの3月の製造業PMIは、過去最高を記録した2018年4月と並ぶ55.5となり、前月を4.4ポイント上回った。前月実績を上回ったのは3か月連続。上昇は、ゼロコロナ政策を撤廃した中国との経済関係改善をはじめとする外的要因によるものとみられる。ただし、国内での高インフレと政局不安定が依然課題として残っている。

[台湾/中国] 4月8日、中国軍東部戦区は、台湾周辺における戦備パトロール(軍事演習)を4月8日から10日にかけて実施すると発表した。蔡英文総統がマッカーシー米下院議長と会談したことへの対抗措置とみられる。訪中していたフォンデアライエン欧州委員長やマクロン仏大統領、馬英九台湾元総統らの帰国後に発表された。また、2022年8月のペロシ米下院議長訪台後の軍事演習時に比べれば、軍事演習の実施場所など詳細は示されず、その規模も小さめになっている。4月10日午前時点で弾道ミサイルの発射は確認されておらず、航空便も正常に運行されている。中国側が発表した台湾海峡を航行する台湾船舶に対する臨検も実施されていないもよう。

[米国] 4月7日、タイ米通商代表がワシントン市内で通商政策について講演した。目新しい内容は無かったが、非関税障壁の撤廃・削減、ルールの厳格な執行と有志国間の産業政策連携を進めることで、労働者に実利をもたらす通商を実現できるとの従来からの主張を繰り返した。重要鉱物、そして鉄鋼・アルミの貿易に関しては、日本やEU等との連携を例示し、さらに台湾やアフリカとの交渉にも言及。有志国連携を通じて、市場開放に依存しない、新たな貿易のあり方を模索するとして講演を締めくくった。

[米国] 4月4日から5日にかけてブリュッセルのNATO本部でNATO外相会合が開催されたが、2023年7月にリトアニアの首都ビリニュスで開催予定の次回NATO首脳会議で、ゼレンスキー政権が要求しているウクライナのNATO加盟に向けた明確な「ロードマップ」の提示を巡り、積極姿勢のポーランドやバルト三国と、消極的な米、独やハンガリーとの立場の違いが表面化した。バイデン政権は短期的な軍事面、財政面、人道面での対ウクライナ支援をより重視すべきとの立場である。

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