デイリー・アップデート

2023年4月19日 (水)

[ドイツ] 欧州経済研究センター(ZEW)が発表した4月のドイツ景気期待指数は+4.1となり、3月から▲8.9ptと予想外の低下となった。1月以降、4か月連続でプラス圏を推移しているものの、半年程度先のドイツ経済環境について慎重な見方が増えた。くすぶる金融不安など不確実性が増したことに加えて、高い物価上昇率、域内外の金融引き締めなどが景気の重石になるとみられる。また、足元の状況を表す現況指数は▲32.5と、3月の▲46.5から上昇したものの、依然厳しい状態が続いている。

[米国] 4月17日、マッカーシー下院議長は、債務上限引き上げと歳出削減に係る法案の策定を下院共和党が進めており、近日中に採決にかけると発表した。2023年7~9月までに債務上限引き上げを実施しないと連邦政府デフォルトのリスクがあるとされ、バイデン政権は速やかな引き上げを議会に求めている。共和党保守派は、政権与党・民主党の歳出拡大路線がインフレを招いたと批判しているが、共和党内部も、債務上限問題への対応については立場が割れている。バイデン政権は下院共和党と歳出をめぐる交渉は行わないとの立場を今のところ貫いており、今後の展開が注目される。

[ブラジル] 先週3日間の日程でルーラ大統領が中国を訪問した翌週の4月17日、ロシアのラブロフ外相がブラジルを公式訪問してビエイラ外相と外相会談を実施した。両国は通商関係の強化、多角化を図る目的で、総額100ドル規模の合意に達した。また、ラブロフ外相からはウクライナ戦争を巡りブラジルがロシアの立場に関して理解を示していることに対して謝意が表明された。米国をはじめとする西側陣営は、ブラジルの中ロ寄り姿勢に懸念を強めている。

[サウジアラビア/シリア] 4月18日、サウジアラビアのファイサル外相がシリアのダマスカスを訪問し、アサド大統領との会談を実施した。サウジの外相がシリアを訪問するのは、シリア内戦開始後では初めて。先週4月12日にシリアの外相が同じく十数年ぶりにサウジを訪問したばかり。シリアは2011年に民衆デモの武力弾圧を理由にアラブ連盟から資格を停止されたが、サウジ政府は5月19日にリヤドで開催するアラブ連盟首脳会議にアサド大統領を招待する方針を示しており、シリアのアラブ連盟への復帰の可能性も取りざたされている。

[中国] テスラ上海工場で2023年2月、中国人従業員1名が死亡した事故について、上海市当局が調査報告を明らかにした。同社の溶接作業工程で発生した事故は、従業員が安全規定に反したことが直接の原因だった。4月17日、別の中国人従業員がSNSに、「この事故が発生したことを理由に現場の従業員のボーナスが1人あたり日本円換算で約4万円あまり減額された事態に対しマスク氏に助けを求めたところ、マスク氏は自らが調査すると回答した」と投稿している。

[中国/G7] G7外相会合の共同声明が、中国に関して、東シナ海や南シナ海における現状変更の試み、中国国内の人権侵害、サイバーでの知的財産窃盗、核兵器拡大などの点で懸念を表明したのに加え、台湾海峡の平和と安定が重要だと言及したことに対し、中国外交部の汪文斌報道官は、「G7の傲慢、偏見、反中に満ちている」として非難し、開催国である日本に厳重に申し入れたと述べた。中国のGlobal Times紙は、今年の文書は中国関連のトピックを3番目に置き、中国(への攻撃)を狙っていると報じつつ、G7の中でも独仏は中国との関わりを持とうとしており、G7は足並みがそろっていないと報じている。

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