デイリー・アップデート

2023年4月28日 (金)

[コロンビア] 4月26日、ペトロ大統領が内閣改造を行い、市場寄りだったオカンポ財務相も退任させた。オカンポ氏の退任により、コロンビアの金融資産が売られる可能性があり、GDP比6%以上の大幅な経常赤字を抱えるなど同国の脆弱なマクロ環境が懸念され、中央銀行は金融引き締めを長期化させる可能性がある。

[タイ/中国] 4月27日付のタイの報道によると、タイ中央銀行は中国人民銀行と、両国間の貿易において人民元・タイバーツ建ての決済を企業間で進めるため、追加協力について協議している。米ドルレートの変動が続く中、為替リスクの軽減を図るため同決済の利用を進める。両国の中央銀行は2021年、自国通貨による貿易・投資の促進、金融協力を目的に、2国間通貨スワップ協定(BSA)を改訂している。

[米国] 労働省によると、4月22日までの1週間の新規失業保険申請件数は23.0万件となり、前週から▲1.6万件と3週ぶりに減少した。15日までの週の継続受給者数は185.5万人、前週比▲0.3万人と2週ぶりに減少した。雇用環境はまだ底堅く推移しているものの、いずれも2023年初めに比べると増加しており、悪化する方向に向かっている。また商務省によると、米国の2023年第1四半期の実質GDP成長率は前期比年率+1.1%となり、2022年第4四半期の+2.6%から減速した。

[米国] 4月26日、米通商代表部(USTR)は、特別301条報告書を発表した。同報告書は、米国の通商相手国における知財保護や取り締り状況が不十分である場合は、それが貿易障壁になり得るとの問題意識に基づき、USTRがまとめ、連邦議会に報告するもの。2023年版報告書では特別監視国7か国(昨年と変わらず)、監視国22か国(ベラルーシ、ブルガリア追加)の現状がまとめられている。毎年、中国に対して割かれるページ数が多く、最新版においても知財保護強化の取り組みが中国で遅れていることに加え、戦略的技術の知財を握ることを重視する国家方針が知財移転強要につながっているとの懸念を改めて表明している。

[米国] 2024年共和党大統領候補指名獲得争いへの出馬を近く表明すると見られているフロリダ州のデサンティス知事に対して、同州で大規模なテーマパークを運営し、州内でも最大の雇用を創出している企業の1つであるウォルド・ディズニー・ワールドが提訴を行った。フロリダ州が長年同社に対して適用してきた税制上の優遇措置の廃止決定を受けて、同社の事業展開が脅かされるとして差し止めを求め、連邦地方裁判所に対してデサンティス知事を提訴した。

[ウズベキスタン] 4月30日(日曜日)、中央アジアのウズベキスタンでは、憲法改正案の賛否を問う国民投票が実施される。改正案には、大統領任期を現行の5年から7年へ延長し、現職のミルジヨーエフ大統領(65才)の権力を強化する内容などが盛り込まれているもよう。ミルジヨーエフ大統領は、3期目(新憲法下となれば1期目)への意欲については明らかにしてないが、国内での人気は高く、国民からの支持は得られやすいと考えられている。

[中国] 企業に対する中国当局の締め付けが強化される動きが相次いでおり、外資企業の間で不安の声が強まっている。コンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーの上海オフィスは4月に入り、複数回、警察による捜査を受けた。同様にデューデリジェンス(資産査定)会社ミンツ・グループの北京事務所は3月に家宅捜査されている。改正された反スパイ法は、保護の対象を「国家機密と情報」から「国家安全や利益に関する文書、データ、資料、物品」に拡大したが、安全のみならず「利益」も追加された上、基準は不明瞭なままで、ビジネス上の情報収集活動にも影響を及ぼすことが懸念される。

[台湾] 4月26日、世界最大の半導体ファウンドリーであるTSMC(台湾積体電路製造)は、世界初となる回路線幅2nmの半導体の量産を、2025年に開始すると発表した。 開発状況は良好で、新設計構造のナノシートを採用し、歩留まりや性能の改善で良い進展があったと説明。 また2nmは、3nmのコスト低減と生産性向上を図った改良版である「N3E」と比べ、同じ消費電力でも処理能力が15%向上し、処理速度を「N3E」と同レベルにした場合、消費電力は最大30%低減できると強調した。

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