デイリー・アップデート

2018年9月13日 (木)

[トルコ] 今年に入り、米利上げに伴う経済脆弱性の表面化、エルドアン大統領の金融政策への介入、米国との関係悪化等を背景に投資家の信頼感を失い通貨リラは暴落。8月半ばに1ドル=7.23リラ(1リラ=15.46円)の安値をつけ、中銀がようやく利上げに踏み切るとの期待からやや反発。こうした中、9月12日、エルドアン大統領が政府系ファンドの首脳陣を刷新し、自らをそのトップに指名したことが驚きをもって伝えられた。これにより大統領はまた1つ国内主要金融機関への支配力を強めることとなる。

[インド] 9月10日、最大野党の国民会議派を中心とする野党勢力が原油高を理由にモディ政権を批判するデモを主導。8月のCPI上昇率は+3.7%に鈍化しているが原油価格は上昇しており、来年予定される総選挙を控えモディ政権にとっては向かい風になり得る。一方、デモには西ベンガル州やウッタル・プラデシュ州の有力政党が参加せず、野党勢力の間にも不一致がみられる。

[イラク] 先週、南部バスラで激化した暴動では、政府庁舎や政党事務所が放火されたのみならず、影響は戦略施設である港湾や石油施設にまで拡大。駐バスラ・イラン領事館も焼き討ちにあった。この事態を受け、イスラム教シーア派指導者で国会の最大勢力を率いるサドル師はアバディー首相に内閣総辞職と国民に対する謝罪を要求。サドル師はアバディー氏と連立を組むと思われていたが、「征服連合」のアーミリ氏と再交渉が行われている。9月15日に新議会が再招集され、国会議長が選出される予定。

[インド] 9月12日に中央統計局(CSO)が発表した2018年8月の消費者物価指数(CPI、基準年2012年=100)は、前月の前年同月比+4.17%(改定値)から低下し同+3.69%となった。都市部も農村部もそれぞれ+4.32%から+3.99%、+4.11%から+3.41%へと減速した。特にCPIの比重の半分近くを占める食料・飲料が+0.85%と伸び率が鈍化した。

[日本] 内閣府『機械受注統計』によると、7月の民需(除く船舶・電力)の受注額は前月比+11.0%と、2か月ぶりの増加となったものの、ならしてみれば4月以降は横ばい圏の動きに見える。一方、日本工作機械工業会『工作機械統計』によると、8月の受注額のうち民需は前年同月比+20.5%と堅調だったものの、外需は同▲4.4%と21か月ぶりに前年割れとなった。前年の好調さの裏返しとともに、貿易摩擦問題などから企業が慎重な姿勢に傾きつつあることを示唆している可能性がある。

[EU] ユンケル委員長が、EU外交の全会一致原則から特定多数決への見直しやEUの国際的な存在感の強化を提案。今年末までにユーロの役割拡大の戦略を発表する予定。EUの結束の弱体化を懸念し、イデオロギーや地理的な違いを乗り越えた結束を強調。Brexitに関し、イギリスが特権的な地位を維持することは出来ないが、緊密な関係構築が必要との考え。日EU経済連携協定(EPA)の発効も重要課題の一つと明言。

[日/中] 9月12日、ウラジオストクで日中首脳会談が行われたが、ポイントは以下の通り。◇日中平和友好条約発効40周年となる本年10月23日に安倍首相が訪中することを中国側は歓迎、実現に向けて調整することで一致、◇首脳間の相互往来の加速で一致、◇北朝鮮の日本人拉致問題に対し、中国は完全支持を表明、◇朝鮮半島の非核化を日中共通の目標として実現に向け緊密な連携を図ることを確認、◇両国が友好・協力関係を深めていくとの共通認識を再確認。

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