デイリー・アップデート

2018年9月20日 (木)

[日本] 政府観光局によると、8月の訪日外客数は257万人と、前年同月比+4.1%の増加となった。8月としては過去最高を記録したが、6月(270万人)、7月(283万人)を下回り、7月の豪雨の影響がみられる。8、9月の天候や自然災害の要因もあり、これまで地方経済の成長の下支え役となり、新たなサプライチェーンなどを構築してきたインバウンド観光の今後の動向が注目される。

[英国] 9月19日、政府統計局が発表した8月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は、前年同月比+2.7%と、7月の+2.5%より加速した。また、食品・エネルギー・たばこ・アルコール飲料を除くコアインフレ率は7月の+1.9%から8月の+2.1%に上昇した。消費者物価指数が高い水準にとどまっている現状に鑑み、市場参加者は、2019年5月に政策金利が0.25%ポイント引き上げられるとみている。

[インド] ルピーは年初来12%安、1ドル=72ルピー超の安値圏で推移。ルピー安と原油高により、4-6月期の経常赤字は158億ドルと対GDP比2.4%に急増(前期1.9%)。外貨準備は4月半ばの4260億ドルから直近で3990億ドルに急減した。こうした中、政府は不要不急の輸入を減らし外貨流出に歯止めをかける狙いで、金や一部鉄鋼製品の輸入関税引き上げを検討。鉄鋼は現行の5-12.5%から15%に引き上げ国産鋼の利用を奨励。金は足元で需要回復基調だったため、業界団体からは不満の声。

[仮想通貨] テックビューロが運営する仮想通貨取引所Zaifからハッキングにより67億円が流出。Zaifは取引高で世界第35位の仮想通貨取引所であり、改めて仮想通貨取引環境のセキュリティの難しさが露呈。テックビューロはもともとブロックチェーン技術を企業向けに提供する企業だったが、今回の流出を受けて創業者を含む現経営陣は引責辞任し、金融情報会社のフィスコが経営権を引き継ぐ。

[セルビア/中国] 9月18日、中国訪問中のセルビアのヴチッチ大統領は、習近平国家主席と首脳会談し、両国間の協力を一層深化することで合意した。中国はセルビアのインフラ整備や工業団地建設などに関する協力文書に調印し、セルビア進出への攻勢を強めている。シルクロード経済圏「一帯一路」構想を推進する中国は、欧州市場の投資拡大拠点の一つとしてセルビアを重視している。

[EU] 非公式EUサミット前の記者会見で、トゥスク大統領がメイ首相のChequers案におけるアイルランド島の国境と将来の通商関係に関しては更なる交渉が必要とコメント。当初の期限である10月のEUサミットまでに交渉がまとまらない公算が高く、11月半ばの緊急サミット開催に言及。メイ首相は、本日の公式ランチでChequers案をEU27各国の首相に説明・説得する見込み。

[韓国/北朝鮮] 9月19日、両国首脳は「9月平壌共同宣言」に署名し、共同記者会見を実施。同宣言では、両国間の戦争の危険除去・根本的な敵対関係解消、南北の鉄道・道路連結工事の着手、条件付きでの開城工業団地運営及び金剛山観光の正常化、離散家族問題の根本的解決への協力強化、2032年夏季五輪の南北共同誘致への協力などが合意され、核問題についても北の東倉里エンジン実験場とミサイル発射台を専門家監視の下で廃棄するとしたが、寧辺の核施設廃棄は米国側の相応の措置次第との条件付きとなった。

[パキスタン] 9月18日、パキスタン政府は2018年度(2018年7月~2019年6月)の修正予算案を発表した。財政危機に対処するための歳出削減策と増税案が含まれている。同日、イムラン・カーン首相が就任後初の外遊としてサウジアラビアを訪問。同国から資金援助を得る狙いがあるとみられる。

[イラク] 5月の議会選挙から4か月が経ち、ようやくイラクの次の政治体制が見えてきた。9月15日に新たな国会議長として、元アンバール県知事で弱冠37歳のムハンマド・ハルブーシ氏が選出された。大統領と首相は未確定であるが、最新の情報によると、大統領には元クルド自治政府首相のバルハム・サーリハ氏、首相には元石油大臣のアーデル・アブドゥルマハディー氏が選出される見込みが濃厚。アバディー首相再選の可能性はかなり薄れたとみられている。

[米国] 住宅着工件数(季節調整済み、年率換算)は前月比9.2%増の128万戸と3カ月ぶりに増加した。変動が激しい5世帯以上の集合住宅が同27.3%増の39万2千戸と急増したが、主力の一戸建ては同1.9%増の87万6千戸に留まった。しかし、着工件数の先行指標となる住宅着工許可件数は同5.7%減の123万件と、2017年5月以来の低水準となった。

記事のご利用について:当記事は、住友商事グローバルリサーチ株式会社(以下、「当社」)が信頼できると判断した情報に基づいて作成しており、作成にあたっては細心の注意を払っておりますが、当社及び住友商事グループは、その情報の正確性、完全性、信頼性、安全性等において、いかなる保証もいたしません。当記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、投資その他何らかの行動を勧誘するものではありません。また、当記事は筆者の見解に基づき作成されたものであり、当社及び住友商事グループの統一された見解ではありません。当記事の全部または一部を著作権法で認められる範囲を超えて無断で利用することはご遠慮ください。なお、当社は、予告なしに当記事の変更・削除等を行うことがあります。当サイト内の記事のご利用についての詳細は「サイトのご利用について」をご確認ください。

20人が「いいね!」と言っています。
<  2018年9月  >
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30