デイリー・アップデート

2023年5月9日 (火)

[ブラジル] 大統領在職中の2022年12月30日から米フロリダ州に滞在していたボルソナロ前大統領は、2023年3月に帰国した。4月26日、ブラジル連邦警察本部に出頭して事情聴取に応じ、2023年1月8日に発生したボルソナロ支持者による大統領府等の襲撃事件への関与を否定した。ブラジル連邦警察は、新型コロナワクチン接種履歴に関するデータ改ざん疑惑についても捜査しており、5月3日にボルソナロ氏のブラジリアにある自宅が家宅捜索され、携帯電話が押収されるなど、捜査が強化されている。

[日本] 厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、3月の現金給与総額(名目賃金)は前年同月比+0.8%となり、2022年1月以降プラスが継続している。内訳をみると、所定内給与(基本給)は+0.5%、所定外給与(残業代)は+1.1%、特別に支払われた給与(ボーナスなど)は+4.6%とそれぞれ増加した。その一方で、実質賃金は▲2.9%と、2022年4月以降マイナスが継続、実質的な購買力が低下しているとみられる。

[韓国] 米国は2022年10月から米国の技術と部品を採用した先端半導体設備の対中輸出を事実上禁止しており、当時、韓国のSKハイニックスとサムスン電子は両社の中国工場向け先端設備導入に対し1年間の猶予を受けたが、本年10月に満了する予定の猶予期間が少なくとも1年間、延長される可能性が高くなった。今回の猶予期間延長については、「中国の先端半導体確保を遅らせながら、同盟国の経済的利益を害さないようにするため」との分析がされている。

[シリア] 5月7日にカイロで開催されたアラブ連盟外相会合において、12年ぶりにシリアを同連盟に復帰させることが決まった。シリアを巡っては、2011年に発生した「アラブの春」の民衆デモをアサド政権が武力で弾圧したとして、同年以降アラブ連盟の参加資格を停止されてきたが、2023年2月に発生したトルコ・シリア大地震や、サウジアラビアとイランの外交関係正常化の影響などもあり、今年に入ってシリアを連盟に復帰させる動きが加速していた。5月19日にリヤドで開催されるアラブ連盟首脳会議には、アサド大統領が招待されている。

[米国] 5月9日、バイデン大統領は上下両院の指導部を招き、連邦債務上限の引き上げ・凍結を巡り、協議を行う予定。バイデン政権と上院を押さえる民主党は、まずは債務上限を引き上げ、来年度以降の歳出水準については別途協議すべきとの立場だが、共和党は歳出削減と債務上限の問題を包括的に処理することを志向している。今回の協議で結論に至る見込みはないが、早ければ6月1日には連邦政府による支払いが滞るリスクがあると財務長官が警告したことで、早期に妥協点を見出す必要性が増している。現実的な妥協点は、今後数年間の歳出水準の抑制の引き換えに債務上限を引き上げ・凍結することではないかと観測されている。

[ウズベキスタン] 5月8日、中央アジアのウズベキスタンのミルジヨエフ大統領(65才)は、2026年に予定されている大統領選を2023年7月9日に前倒しする大統領令に署名した。ウズベキスタンでは最近、大統領任期を現行の5年から7年に延長する憲法改正の国民投票が行われ、9割の賛成で承認された。

[中国] 5月8日、中国中央電視台(CCTV)の報道番組『焦点訪談』は、「下心のあるコンサルティングを使ってはいけない」とする内容の番組を放映し、欧米企業のためのデューディリジェンス産業がスパイ行為に携わっていないか調査に力を入れる国家安全機関について報じた。番組は上海とニューヨークに共同本社を置くCapvisionへの捜査に焦点を当て、警察が同社の中国オフィスを家宅捜査する模様や、スタッフが不当な手段で大手国有企業の情報を入手したと告白するシーンなどを報じた。Capvisionはエキスパート・ネットワーク・コンサルティングを専門とするコンサルタントで、中国当局はコンサルティング業界に対する監視をさらに強化するとしている。

[中国] 米テスラは、中国で販売する4車種の値上げを発表した。値上げ幅は、中国産の「モデル3」と「モデルY」は日本円換算で約4万円(+0.8%)、輸入の「モデルS」と「モデルX」は日本円で約37万円(+2.3%)で、いずれも小幅である。2022年第4Q以降の値下げにより、販売は1月(前年同期比+10%)、2月(同+32%)、3月(同+35%)となり、好調に推移した。一方、今回の小幅な値上げにより、消費者の購入負担をあまり増やさずに、これ以上の値下げはしないというシグナルを発したといえる。

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